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今回はマイクロホンの形の上での分類を紹介する。ここまで来れば、マイクロホンの全体が見渡せるだろうし、自分が必要としているタイプも絞り込んで考えられるようになるはずだ。
バウンダリー型
風呂に浸かって頭を沈めていくと聞こえる音が変化する。これは音源から直接耳に入って来る音と、水面に当たってはね返って聞こえる音の時間差が少なくなっていくからだ。
このようにマイクロホンが反射面に近づくにつれて、反射音からの影響が減少する原理を応用して開発されたのが、バウンダリー型である。響きの多い場所でも高い明瞭度で狙った音を捉えられるのが特長。平たい亀のような形で視界に入らずすっきりするため、テレビ・ニュースや会議、講演の場に進出している。またヘビー・デューティー仕様に仕立てられた物は、陸上競技などスポーツの臨場感ある音を収録するのに活躍中だ。音楽ライブではバスドラムやアコースティックピアノによく使われる。ユニットには単一指向/無指向の両方が用途に応じて使い分けられている。
ラベリア型
タイピンマイクとも呼ばれる小型のマイクロホン。ピンやクリップで衣服にとめるため邪魔にならず、狙った声を体の動きに関係なく捉える事ができる。基本的に人間の声専用であり、外形10mm以下である程度の性能を確保するためコンデンサー型が多い。業務用機器は襟元に見えるヘッドユニット部だけでなくタバコ箱程度の大きさの電源部が付属していて、テレビの取材番組などの出演者はそれをウエストや背中に取り付けている。ワイヤレスシステムと共にミュージカルや演劇でも使われるようになってきた。広いフィールドを走り回るアメリカン・フットボールの主審が、反則判定などを即座に会場全体へアナウンスできるのも、ジャージに着けたラベリア型マイクロホンがあるからだ。
同じようなラベリア型で、もっと大きな音量に耐えられるヘッドユニットに入れ換えた楽器用もある。短めのフレキシブル・パイプとクリップ仕様になっているものは、タムタムやコンガのデッキ部分、管楽器のアサガオ部分などに取り付けられるので、ライブ用として大いに重宝されている。
ハンドヘルド型
いわゆるハンドマイク。手に持って使う時の理想的な大きさや質量バランスを考えていくと、だいたいグリップ部分直径19〜24mm、プラグを含めた全体の長さ200mm、質量300g程度に落ち着くようだ。P.A.の世界ではボーカル用にこの形、大きさ、重さが定着した観がある。カラオケ用もこのタイプに類似したデザインのものが主流で、こちらは歌う本人が手許で音の入/切をコントロール出来るようにスイッチの付いた機種が多い。
使われる現場では息を吹きかけられたり叩かれたりという過酷な使用状況にあるため、頑丈なダイナミック型がほとんどだったが、最近はタフになったコンデンサー型も出回り始めている。
卓上スタンド型
マイクロホン本体がストレート・パイプやフレキシブル・パイプでテーブルスタンドや演台につながれて、一体になっている形。マイクロホン本体は小型の物が多い。講演やスピーチやパーソナル・コンピューターの音声入力用などに使われる。こういう用途では原稿を持ったり、キーボードを叩くために両手を空けておきたいので、このように自立できる形が便利だ。内閣官房長官の定例記者会見時の演台には、このスタンド型マイクロホンが左右に組み込まれている。
ハンズフリー型
両手を自由にしておけるという他、体の動きやある程度の移動にも対応できるマイクロホンの総称。現状では各分野で独自の呼び方が使われているようだが、ここでは頭に装着する形をオーディオテクニカの分類で説明する。
ヘッドウォーンは頭で固定する形状のマイクロホンを指す。ミュージカルや演劇では、舞台化粧に合わせた特殊なホルダーで耳の脇や喉元、カツラの中に先のラベリア型を仕込んでいたが、近年ではヘッドウォーン型がライブのボーカル用に使われ出した。ワイヤレスシステムと一緒になれば、歌い手の舞台上での動きと行動範囲が自由になる。音楽ライブに視覚的娯楽要素を多く求められる現在、見た目も新しいこの型は特性の向上で大いに活躍の場を拡げて行きそうだ。一方、通信用のヘッドウォーン型マイクロホンには、ファーストフード店のカウンターなどで出会う事ができる。またパーソナル・コンピューターの音声入力用としても台頭しつつある。マイクロホン・ユニットにはコンデンサー型が増えている。
ヘッドセットと呼ばれるものは、ヘッドホンとアームで支えられたマイクロホンが一体になった形だ。ボクシングのリングサイドや野球場の中継席で使われているのはマイク付きヘッドホンとも呼ばれる。放送用という性格から音質にも配慮が為されている。通信連絡用としては、テレビコマーシャルに登場する電話対応のオペレイターが着けているタイプを想像していただければよろしい。同じく飲食店関係では、大きなレストランの客席誘導係用などに最近は多く導入され始めた。業務用の通信連絡用ヘッドセットは、別名インカムとも呼ばれ、飛行機の発着現場で使われるような特殊なものは、暗騒音を打ち消す機能を備えている。
ヘッドウォーン
音楽用
通信用

ヘッドセット
音楽/パソコン用
ステレオマイク
モノラルのマイクロホン2本を、水平軸上に距離を持たせ角度を付けて置けば、それぞれの地点で捉えられた違った音が出力され、定位を伴ったステレオ空間が作り出せる。これは生録効果音の場合、表現の可能性を大いに拡げてくれる。ただし2本のマイクを離れた所に立てると機動力がなくなり、特に野外では音源の移動を追う事が出来ない。そこで生まれたのが、ひとつのマイクボディに左側用と右側用の単一指向性ユニットを配したステレオマイクロホンだ。ユニット自体をケースの中で動かすメカニズムによって指向軸の角度を90度から180度の間で切り換えられるものもある。
このタイプの出現によってステレオ収録はとても手軽に行えるようになった。このように一カ所に左用と右用のマイクロホンをセットするのはワンポイント・ステレオ方式と呼ばれ、マルチ・マイク方式が当り前になった現在でも、クラシック録音などではホール・アンビエントをとるために用いられている。狭いスタジオ内で行なうバンドのリハーサルもステレオ・マイクで収録すれば、左右分離によってそれぞれの楽器の音をよりはっきりと捉える事ができる利点もある。
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