ヘッドホンとともに33年・2007 legend of ATH headphones audio-technica
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高井 1988年当時、アマチュアの間でDJ遊びがたいへん流行っていました。そこでDJヘッドホンが欲しいという市場からの声に応えるためにATH-30iにマイクブームをつけ、ATH-30COMとして発売しました。この製品は発売してから20年近く経つわけですが、いまだに現役で頑張っています。マイクは使い勝手の関係でダイナミック型にしましたが、実をいえばインナーイヤー用のヘッドホンユニットをマイク用にモディファイしたものです。

宮田 Uシリーズは、私がカートリッジを卒業して、初めて本格的に取り組んだ製品です。Uシリーズでは、構造面で「先がけ」という新しい方法を提案しました。
米ノ井 基本的な考え方は軽量型のヘッドホンを直接耳介に引っ掛けて、そこで支えるヘッドホンを作るということでした。先がけ方式と後がけ方式の2通りを提案して先がけタイプのUが採用されました。当時、通っていた床屋で、パーマをかける時にコテで耳がやけどをしないようにある道具が使われているのを見た時に、これにユニットを入れればヘッドホンに使えそうだというアイデアがひらめいたのです。

宮田 設計で難しかったことは、片出しコードなのでコードをどうやってわたすかということでした。散々悩んだ末に、ピアノ線を使ってワタリ線と一緒にパイプで隠せば何とかなりそうだということに気がつきました。ユニバーサルで動かなければいけないので、そこが一番難しかったところです。

宮田 この製品はネーミングでも苦労しました。今までまったくなかった形ですから、パッと聞いてわからないと困ります。でも前掛けや下掛けではイメージが良くありません。そこで、新提案という意味を引っ掛けて「先がけ」というネーミングにしました。

宮田 折りたたみ式のATH-U88は、当初内側にたたむ方式で設計を進めていましたが、当時、このタイプは世の中にいっぱいありました。他社と同じことをやっても面白くありませんので、随分悩んだ末に、どこもやっていなかったジャックナイフのようにL型に折りたためるものに変更しました。良い悪いはともかく、特徴のある商品にしたかったというのが理由です。
宮田 AT-HSP5はAV絡みの商品で、映画を迫力ある音で聞くためにヘッドホンのスピーカーを震動させて臨場感を出そうという試みをしたものです。

斉藤 低域が入ってきた時にスピーカーを震わせるために、スピーカーに真鍮のウェイトを付けました。この商品はスピーカーの動きを直かに振動に変えようという非常に面白いコンセプトの商品でした。

小澤 ですからヘッドホンではなくて、ヘッドスピーカーと呼んでいました。

宮田 Fシリーズの流れで、入門用のオーソドックスなものとして、Tシリーズを作りました。折りたためて、しかもヘッドバンドの調整がいらないタイプは世の中にありませんでしたので、それに挑戦しました。Fシリーズではスライダーの中のローラーが見えないようにしましたが、Tではローラーを積極的に見せています。斉藤さんに多大な協力をいただいて作ったATH-T2,T3,T4はベストセラー、ロングセラーになりました。この流れの製品はATH-T22,33,44として今につながっています。
宮田 PCの普及を背景に、PCで音楽を聴く人が増えてきました。そこでPCのアナログ出力端子経由ではなく、USBから送り出されるデジタル出力をきちんとアナログ変換して綺麗な音質で聴けることを狙ってATC-HA4USBを開発しました。この製品を開発するにあたっては、ヘッドホンチームだけでなく、ワイヤレスチームも加わっています。

小澤 ATH-DCL3000はAV用に開発された商品で、5.1chサラウンドのすべてのフォーマットに対応させました。ただ8万円と価格が高かったので、AV用途での販売数量は限られていました。そこで高級オーディオファンに向けて、ヘッドホン本体としての音の良さを強力に訴求しました。その結果、コードレスの中ではいちばん良いという評価を受けることができました。

高井 PROシリーズでは、1989年に発売されたM7PROaも超ロングセラーで、いまだに現役です。PROシリーズのステータスがその頃確立されました。

米ノ井 デザイン的にはヘッドホンらしいヘッドホンで、非常にオーソドックスだから寿命が長いですね。

宮田 ATH-A3,A4はAシリーズの中で一番安いタイプなので、コストダウンを余儀なくされました。廉価版とはいえAシリーズの特徴であるウイングサポートは捨てるわけにはいけません。ところが、付け根の部分に使っているバネの値段は非常に高価でした。そこで、これをふつうの単純なコイルばねに変更するとともに、2本バンドだったものを1本バンドに変更しました。この製品を作るために開発したコイルばねの技術は、後につながっていって現在の製品にも使われています。  Next→
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