ヘッドホンとともに33年・2007 legend of ATH headphones audio-technica
introduction contents now&future history roots interview 座談会
高井  時代がまた戻りますが、オープンタイプが主流になっていた1970年代の末期、ヘッドホンステレオの登場によって各社から小型軽量で高音質の製品が続々と出てきました。ただ小型軽量タイプは、低域の再生能力に限界があります。そこでATH-3,4,5の後継機として、中型で軽量、なおかつ音がいいものを作ろうということになりました。それがATH-50です。開発コンセプトは磁気回路にサマリウムコバルトマグネットを使って、できるだけ大きなユニットでしかも筐体をできるだけ小さくまとめるということでした。このコンセプトを実現するために、マグネット以外でも様々な工夫をしました。ドライバーユニットの止め方もそのひとつです。通常はユニットを前面の板にネジで取り付けますが、ATH-50ではネジ止めスペースも勿体ないということで、樹脂で作ったユニットのフレームを直接前面のバッフル板に熱溶着しました。その結果、ケースの外形いっぱい近くまでユニットを大きくすることができました。この商品は月に1000台以上も売れるほど大ヒットモデルになりましたが、非常に凝った作りで部品数が多く、しかも動く部分を持っていたので、部材コストや工数がかかってビジネス的には厳しかったですね。
宮田 私は1980年にカートリッジの設計要員として入社しました。ヘッドホンの担当になったのは1990年頃からですが、それまでカートリッジをやっていたので製品のコストを見積もる時にうっかり1個だけで計算してしまいました。ヘッドホンには左右がありますが、それを片一方だけで原価見積もりをやってしまったということです。後でそのことに気が付いて青くなりました。その時にヘッドホンは採算の厳しいビジネスだということを実感しました。それは今でも変わっていませんが。
高井 当時のオープンタイプは耳乗せ型でしたが、中大型の耳覆い型が欲しいという市場の要望に応えるために、オープンタイプのATH-V7と密閉型のATH-M7を作りました。M7のつぎにATH-M7Proが出ます。ベースモデルになったM7との最大の違いはイヤーパッドのスポンジの表面にゴムコーティングを施した点です。自動車のドアパッキンのような感じで、非常に密閉性がいいのが特徴でフィット感にも優れています。音質もこれにあわせて再チューニングしました。この製品も非常によく売れました。

高井 PROという新しいシリーズが、この製品からスタートしました。当社のプロオーディオ営業から現場で使えるものが作れないかというアプローチがあったことがきっかけでした。

米ノ井 NHKなどで使われていたヘッドホンを見せられた時はやたら重たくて、デザイナーの感覚ではこれがプロなのかとびっくりしました。   Next→
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