寝転がって映画を楽しめたら、がきっかけでした ATH-DWL3300開発秘話1

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―カナル型ヘッドホンを採用するワイヤレスサラウンドヘッドホンシステムという、画期的なコンセプトを持つ「ATH-DWL3300」ですが、その開発に至った経緯をまずは教えてください。

高橋氏(以下敬称略):きっかけとなったのは、国内市場のシェアでした。近年はカナル型ヘッドホンが大きくシェアを伸ばしていて、いまでは販売台数の約半分がカナル型ヘッドホンとなっています。同時に、高級モデルも多数登場していて、こちらも今までにないくらいの売り上げを示しています。そういった事情もあって、家でもカナル型ヘッドホンで音楽を楽しんでいる、という人がずいぶん増えてきました。我々の中では、屋外では手軽にカナル型ヘッドホン、室内ではゆったりとオーバー型ヘッドホンで楽しむというイメージがあったのですが、そうではない楽しみかたを皆さんがはじめているということを知り、サラウンドヘッドホンにもカナル型ヘッドホンが必要なのではないか、という考えに至りました。

―ニーズがあると、考えたのですね。

高橋:はい。とはいえ、確信を持つことができたのは、イベント会場などでユーザー様から直接リクエストをいただいてからです。数人のかたから、カナル型のワイヤレスサラウンドヘッドホンをリクエストされたときに、是非とも製品化しなければ、と強く感じました。

―それにしても、よく思いつきましたね。技術的には不可能ではないのでしょうが、カナル型ヘッドホンの持つ"スピーディなキレの良い音"というイメージと、広がり感を重視するサラウンドとでは、なかなか結びつかないような気もします。

高橋:そもそものはじまりはちょっとしたきっかけでした。私自身、家でオープンエアー型のワイヤレスサラウンドヘッドホンシステム「ATH-DWL5500」(「ATH-DWL3300」の兄弟モデル)を使用しているのですが、こういったヘッドホンですと、寝転がって映画を観るのはまず不可能なのです。大変ズボラな話で恐縮ですが(笑)、もっと手軽にサラウンドを楽しめたらなぁ、と思ったのが、カナル型とサラウンドヘッドホンとを結びつけるきっかけとなりました。


―そして開発がスタートしたのですね。

高橋:ええ。しかしこの段階ではまだ、コンセプトに対して完璧な自信を持てなかったのも事実です。先に発売した「ATH-DWL5500」では、サラウンド音声ならではの広がり感や空気感を楽しんでいただけるよう、オープンエアー型のヘッドホンを採用しています。それが大きな魅力となって、皆さんから好評をいただくことができましたが、カナル型ヘッドホンを採用すると、全く異なる方向性となってしまう。それで大丈夫なのか、という思いはその時点でまだ残っていました。

―確信を持てたのはいつ頃からなのでしょうか。

高橋:最初の試作を作ってもらい、その音を聴いたときです。確かに、空気感の自然さに関しては「ATH-DWL5500」に大きなアドバンテージがありましたが、カナル型ヘッドホンならではの力強い音も大いにありだと思ったのです。



デジタルワイヤレスヘッドホンシステム
ATH-DWL5500 製品情報

「ATH-DWL3300」の兄貴分は自然に広がる音場感が魅力

2010年に発売された「ATH-DWL5500」は、同社ヘッドホンラインナップのなかでも根強い人気を誇るオープンエアー型ヘッドホンを採用したワイヤレスサラウンドヘッドホンシステム。サラウンドヘッドホンとしては最大級となるダイナミック型Φ53mm口径ドライバーを搭載するほか、電池ボックスや電子回路基板などのパーツを音に影響しないヘッドバンド部に集約。音切れがほとんど発生せず音質的にも有利な2.4GHzデジタル無線方式を採用するなど、サウンドクオリティを重視した設計と本来のオープンエアー型の特色によって、自然な空気感と広がりを持つ音場を実現。サラウンド用としてだけでなく、オーディオ用としても充分活用できる高い実力を持ち合わせている。サラウンド機能としては、7.1ch「Dolby Pro Logic IIx」や「ドルビーヘッドホン」など、「ATH-DWL3300」と同等のシステムを搭載。「ATH-DWL3300」の兄貴分と言える製品だ。


寝転がって映画を楽しめたら、がきっかけでした ATH-DWL3300開発秘話1カナル型最大口径のΦ14.5mmドライバーを搭載 ATH-DWL3300開発秘話2カナル型でサラウンドを実現している驚き。さらに魅力的な手軽さ。野村ケンジによる製品レビュー
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