カナル型最大光景のΦ14.5mmドライバーを搭載することでさらなるクオリティアップを実現

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―開発時には、さまざまなトライが行なわれたのでしょうか。

高橋:はい。開発工程では3段階の試作・音質調整を行ないましたが、まず最初のプロトタイプでは、3タイプのヘッドホンを作成してもらいました。このうちのひとつの印象が良かったため、おかげでコンセプトがとても明確になって、一気に方向性が固まりました。

―具体的には、どういったサウンドだったのでしょう。

高橋:カナル型ヘッドホンならではの特長を活かした、ダイナミックでスピード感のある音です。それまでは、私も広がり感や空気感を意識的に表現しなくてはならないのでは、と考えていたのですが、そうではなく、カナル型ヘッドホンらしさを求めることが、この製品にとって最も重要なことだと思えたのです。「ATH-DWL3300」を求められるかたは、カナル型ヘッドホンだからこそほしいと思ってくださるのでしょうし、我々には「ATH-DWL5500」もある。空気感を一番大切にしたいというかたには、そちらをおすすめすることができますから。

―カナル型ヘッドホンの本体部分ですが、御社“CKM”シリーズと似ているようでいて違う、独自の形状をしていますね。

田上氏(以下敬称略):ヘッドホンに関しては、「ATH-DWL3300」専用に一から開発したものです。サウンド傾向としては"CKM"シリーズとの共通点もありますが、基本的には全く方向性の異なるものです。


―具体的にはどういったところが、"CKM"シリーズなど一般的なカナル型ヘッドホンと違うのでしょう。

田上:まずは、Φ14.5mm口径のダイナミック型ドライバーが新開発となります。当社カナル型としては、最大サイズのものです。

荒井氏(以下敬称略):ちなみにこのサイズは、単に低音のボリューム感を上げるためではなく、サウンドクオリティ向上のために採用したものです。筐体も含めて、迫力はサラウンド機能に任せられるので、かえって純粋に音質を追求することができました。

―それは興味深いですね。

荒井:ワイヤレスサラウンドヘッドホンであっても、音質的な妥協は許されません。サラウンドで楽しむ映画もステレオの音楽再生も高音質に楽しめるよう、クオリティの向上には最大限の努力を行ないました。

高橋:これは、当社製品としてのポリシーでもあります。音質サンプルはかなりの数を作ることになりましたが、そのひとつひとつで格段にクオリティアップを実現することができました。私たち企画課が指示する、時には抽象的な表現も混ざっている改善項目を、確実に把握して次のサンプルでは確実に向上させてくるスキルの高さについては、手前味噌ながら、自社で製品開発を行なっているオーディオテクニカならではと改めて感じました。

荒井:時には結構な無茶も言われましたが(笑)、頑張りました。

―低音のボリューム感のほかにも、ワイヤレスサラウンドヘッドホンだからこその優位性はありましたか。

荒井:室内での使用が前提となるため、音漏れに関して厳密さを求められないことがとても有利でした。実際、「ATH-DWL3300」のヘッドホン部には従来のカナル型より多くの通気穴が設けられていますが、それらは音質的なチューニングを施す際に有効活用でき、かなりのレベルまでサウンドクオリティを向上させることができました。カナル型ヘッドホン単体としても、魅力あるものに仕上がったと自負しています。しかも、結果として音漏れは少なく仕上げることができました。

―一方で、カナル型であることの優位点として、リモコン部の存在も上げられますが。

高橋:初期の段階では、ヘッドホン本体にワイヤレス機能を内蔵させようかというプランもありましたが、それではボディがあまりに大きくなりすぎ、装着感がかなり劣ってしまうため、レシーバー部を用意することにしました。

―先ほど少し使わせていただきましたが、御社ラインナップのブルートゥースヘッドホンのように、使い勝手が良いと感じました。手元でサラウンド調整が行なえるのは、とても便利です。

田上:ありがとうございます。「ATH-DWL5500」ではヘッドホンの軽量化、操作のわかりやすさを追求するため、サラウンド系の操作はトランスミッターのみとなっていました。「ATH-DWL3300」では、レシーバーにリモコン機能を搭載し、すべての操作が手元で行なえるようになりました。その際、使い勝手の面ではかなり工夫を凝らしています。例えばボタン類は、暗闇で操作されることを前提に、どんなボタンが手探りでも分かりやすいかを考慮し、配置も含めてさまざまなタイプを検討しました。同時に、ワイヤレスヘッドホンとしての収まりが良くなるよう、ヘッドホンジャックや充電用ポートの設置場所などの細部に至るまで、徹底的に検討させていただきました。

高橋:全く新しいコンセプトを持つ製品だけに、音質はもちろんのこと、使い勝手についても充分に配慮させていただきました。ワイヤレスであることと同時に、カナル型ヘッドホンである手軽さを、大いに楽しんでいただけるとうれしいです。


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