レコード針は音溝から音を拾う針先(スタイラスチップ)とその振動を伝えるカンチレバー(+ダンパー)で構成されています。 現在流通しているレコード針先の多くはダイヤモンドチップでできています。
カンチレバー
カンチレバーのコンプライアンス(サスペンション性能)や形状によって音質が変化します。
■ハイ・コンプライアンスタイプ
カンチレバーが自由に動くタイプで、リスニングに必要な繊細なトレースが可能です。
■ロー・コンプライアンスタイプ
カンチレバーの動きが固いタイプで、力強い低音再生や、DJプレイのようにスクラッチやバックキューのような動作に向いています。
■カンチレバーの形状
パイプカンチ:通常カンチレバーに使われる細い円柱状のタイプです。
テーパーカンチ:振動をより効率よく伝える為に、パイプの先を細く加工した形状です。
■素材
チタンやアルミの他にベリリウム、ジュラルミン、ボロン、液晶ポリマーなどの素材が使われていて、ダンパーの素材や機構とともにコンプライアンスの方向性を決定づけます。
針先の種類
無垢針
針先(スタイラスチップ)全体がダイヤモンド製の針で、高域特性やトランジェント特性(音の立ち上がり)に優れています。
接合(ポンテッド)針
ダイヤモンドチップとカンチレバーの間を金属製台座で接合した針です。コストを押さえた生産が可能で、無垢針よりも重くなります。台座に使う金属によって優れたトランジェント特性を発揮するモノもあります。
針先(スタイラスチップ)形状
レコード針の先端部分は丸形状や楕円形状に加工されています。この形状の違いによって音質が変化します。
(マスターレコードを彫る際にはカッター針と呼ばれる鋭角な形状の針が使用されますが、レコードを再生するときにこのような鋭角な形状を使うと音を拾いきれないばかりか、レコード盤面を傷つけてしまいますので、音溝をできるだけ正確に再生しつつ盤面を傷つけない形状が考案されてきました。)
また針圧(針先にかかる重さ)が数グラムであったとしても、2.5mil程度(1mil=0.0254mm)の小さい針先には非常に大きな圧力がかかります。そのためレコード針には寿命があり、素材や針先形状によって変わってきます。
丸針
ボールペンの様に針先が丸型の針で、汎用モデルに多く採用されています。低音が力強く安定した再生ができます。針先が音溝に深く入り込まないためスクラッチやキューイングなどにも強く、DJの針としても多く採用されています。
楕円針
丸針の先端を楕円上にした針先で、音溝に深く入ってトレースするため、高域特性が良くなります。針の前後が薄くなっているため針先への負担が大きく針寿命が短くなります。
特殊ラインコンタクト針
楕円針を更に細く加工し、音溝への追従性を更に高くした形状で、低音から高音まで幅広い再現が可能なモデルです。線接触(ラインコンタクト)となるため摩擦係数が低く長寿命化を実現しています。マイクロリニア針やシバタ針といったバリエーションがあります。
マイクロリニア針
ラインコンタクト針の一種で接地面を特殊形状に加工することで針先が摩耗した際にも曲率半径(円の曲がり具合を示す指数)が変化しない形状です。
シバタ針
ラインコンタクト針の一種で4chレコード(CD-4形式)にも対応した針です。音溝への追従性が高く、再生周波数特性も広く設計されています。摩擦係数も低くなるため長寿命です。