会社案内
技術部1課 SQDグループ
カートリッジ設計担当
小泉洋介
2002年入社
充実した製品ラインアップで挑む
アナログオーディオ無限の未来
2012年の創立50周年記念モデルとして、限定仕様のAT50ANVを開発し、つぎにその技術を活かしてレギュラー製品AT-ART7をつくりました。これらは空芯型というたいへん珍しい構造だったわけですが、お蔭さまで予想以上の評価をいただきました。
MCカートリッジといえば歴史的にも鉄心型が主流でしたので、空芯型の成功によって、アナログオー
ディオの楽しみをまた新しく広げることができたのではないだろうかと思っています。音の持ち味が鉄心型と違うのですね。
今回設計した新製品AT-ART9は空芯型ではありません。鉄心型です。空芯型でじゅうぶんな出力電圧を確保するためには特別に強力な磁気回路が必要ですが、その磁気回路を使って鉄心型をつくったらどんな音が聴けるだろうと、ふと思ったのです。話としては単純ですし、原理試作の段階では予想どおり中低音域のしっかりしたダイナミックでパワフルなサウンドが得られ、きっとこれはいけると確信しました。
軽やかでナチュラルな空芯型の音とは、はっきり別の個性があっておもしろかったのです。
ところが、工場での量産を考えて詳細に検討すると、そう簡単にはいかないことが分かってきました。通常の鉄心型よりもはるかに強力な磁気回路がわざわいして、ものすごくデリケートになってしまう。組立てがむずかしくて品質が安定しにくいのです。その後これでよしとなるまで、9か月もかかったでしょうか、
こまかな見直しとテストを繰り返しながら完成度を高め、徹底的に音質を磨き上げたのがAT-ART9です。結果として、このカートリッジは従来の鉄心型MCの技術水準を超えるばかりでなく、空芯型を含めたラインアップ全体の最高級機という位置づけになりました。
力強くキレのよい鉄心型MCの音に、磁気ひずみが少ない空芯型のピュアな空気感や音場表現を加味した新しいサウンド。その意味で、アナログオーディオにまたフレッシュな魅力を感じていただければと願っています。
といっても、これが決定版ではありません。
昨年も申しましたが、アナログは0か1かで済まない無限の世界なので、いろいろ多角的な方法論があっていいと思うのです。
もっともっとチャレンジを重ね、カートリッジのラインアップを強化していきたいですね。
●ケースカバーを取り外したAT-ART9(試作機)
先の50周年記念モデルAT50ANVと、それに続くAT-ART7は空芯型のMCでしたが、AT-ART9はそれらの開発技術を生かした磁気回路を採用しながら、振動系をオーソドックスな鉄心型に改めた新しい設計です。強磁力ネオジウムマグネットとパーメンジュールヨークのパワーを的確に引き出し最適化することで、繊細さと力強さが絶妙に調和した新次元のリファレンスアナログサウンドを実現。写真は開発途上の試作機で、カンチレバーの素材が最終製品と異なっています。
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