主将／トロンボーン　岩瀬歌音さん（3年生）

この状況でも最高の演奏を届けられるチームに。

「オンライン演奏会だけど、実は通常の演奏会と気持ちは大きく変わらないんです」。
新主将に就任したばかりの岩瀬さんは、少し緊張した面持ちでそう話してくれた。「お客さんの反応がダイレクトに見られないのは寂しいですが、私たちの演奏を聞いて笑顔になってほしい。その思いを込めて一音一音を大事にする点は、どんな演奏会でも同じだと改めて感じました」。
その言葉通り、長丁場にも関わらず最初から最後までパワフルなパフォーマンスを見せてくれた花咲徳栄高校吹奏楽部。しかし、そのパフォーマンスの裏には数ヶ月に渡る休校や休部といったコロナウイルスの影響があった。今も部活動の時間短縮は続いている。それでも岩瀬さんはまっすぐ前を向き、力強く言い切る。「コロナウイルスの影響を受けた代だから『かわいそう』と思われるより、それでも『ここまでできるんだ』というところを見せられる代にしていきたいと思っています。例年以上に明るく、元気に！」その意気は、今回のオンライン演奏会でご家族や友人、全国の吹奏楽を愛する仲間たちにも届いただろう。目標は、花咲徳栄高校吹奏楽部初の全国大会出場。新体制披露の場となるこのオンライン演奏会が、新たな夢へのスタート地点となった。

学生指揮者／ユーフォニアム　石井愛空さん（3年生）

両親への「ありがとう」を本気の音に込める。

「オンライン演奏会決まったよ！」石井さんが『オンライン配信サポートキャンペーン』当選を顧問の川口先生から聞き、まっさきに伝えた相手は両親だった。中学から続けている吹奏楽。両親はいつも応援してくれた。「毎日、がんばってねと送り出してくれる。それがすごく力になっています。この１年は観客を入れた演奏会ができず、演奏を見てもらう機会がありませんでした。だから、オンラインでも見てもらえるのが本当にうれしくて。吹奏楽に本気で取り組む姿を見せることで、両親の期待に応えたいです」。
コロナウイルスの感染拡大は、演奏会だけでなく日々の練習にも影響を与えた。休部になった数ヶ月は寂しさも感じたと言うが、だからこそ休部明けに石井さんの気持ちは高まった。「やっぱり、“吹奏楽”が好きだなって。一人で吹くのも楽しいけど、久々にみんなで音を合わせた時、心からそう思いました」。そんな花咲徳栄高校吹奏楽部の“音を合わせる力”が発揮される曲が『富士山』。リズムが変化するなかで、木管と金管が互いに息をあわせながら掛け合う様を楽しんでほしいと石井さんは話す。
2021年度の目標は、全国大会出場。「この高校で全国大会に行くと決意して入学してきました。今年こそ川口先生を全国大会開催の地・名古屋に連れていきます」。