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Live Report top 2007.8.11 sat 2007.8.12 sun
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— どのようにしてこの仕事を始められたのですか?

FD: 私は母親の言うことを聴かなかっただけです! 私が毎日いろいろな会場でトラックから機材を降ろしている時に頭の中で母親の声が聴こえます。私の母は素晴らしい女性ですが、いつも「弁護士か医者になることだってできたのに!」と言い、私は「そうだね、よーく分かっているから !」と答えます。
全ての12〜13歳の子供がそういったことを始めるのと同じでした。私の母親はたくさんの音楽を聴いていました。私の家族はイタリアからの移民で、彼女はいつもたくさんのイタリアのポップ・ミュージックを聴いていました。私も幼い頃から影響を受けていました。ティーンエイジャーになるとラジオを聴き始めました。その時点でラジオが生活を支配するようになります。そうやっていろいろなものを聴くようになりました。
私はミュージシャンになりたくて、ドラマーを目指しましたがあまり長続きはしませんでした。一生懸命練習していたのですが、そのうちいろいろなことが重なって、結局エンジニアのクラスで勉強することになりました。最終的な職業としての目標はスタジオ・エンジニアになることでしたが、バンクーバーにはニューヨークやシカゴのように大きな録音スタジオがあるわけでもなく、比較的小さなマーケットです。私がやりたかったようなフルタイムの仕事には結び付きませんでしたが、結果として功を成すことになります。
私の親友であるマイク・ランドルト (Mike Landolt) は素晴らしいエンジニアですが、一時期一緒に小さなスタジオを持っていました。彼は別の仕事でしばらく留守にしなければならなくなり、私が彼の代わりをするように頼んだのです。そのときにバンドのツアーの仕事がありました。それが1985〜1986年頃です。これが別の仕事につながり、今でも家に帰っていません。

Mike Landolt - Maroon 5, Spin Doctors, Sugarcultなどの録音エンジニア

— ずっとツアーに出ているのですね。

FD:  ほとんどそうです。そんなに悪いものではありませんが、ほとんどの時間をツアーで費やしています。びっくりですね。今はツアーで費やす時間を少し減らすようにして、自分の時間を家で楽しもうとしています。

— ヒンダーとはどのくらい一緒にやられているのですか?

FD:  ほぼ一年です。8月29日が彼らと一緒に始めた日です。彼らは私がやっていた別のバンドの前座だったのです。セオリー・オブ・ア・デッド・マン (Theory of a Dead Man) というバンドで、そのバンドでもaudio-technicaマイクロホンを使っていました。
ヒンダーは前座の時代にサウンドチェックを見ていましたが、直感的にシンガーを見て思ったのが、もしこのバンドが成功しないのなら、世の中何かが間違っている、ということでした。彼にはその要素がありました。
私にはこの若者たちが成功することは分かっていました。バンドの他のメンバーも素晴らしくて、ドラムのコーディー (Cordy) はとてもやる気に満ちた若者です。賢くて、色んなものを学習しようという気持ちが強く、部分的に音楽、ほとんどがビジネスのこのゲームの頂点に立ちたいと思っています。とても頭の切れる若者です。
彼らとツアーをやり始めて半年ほど経ったときに彼らが「仕事がないときか、このプロジェクトが終わったときに知らせて欲しい、話をしたいんだ」と言ってきました。私は腰を降ろして彼らと会話をしました。私はバンドのための仕事をするためだけに仕事をして行きたくなかったので、彼らの考えがどうであるのか知りたかったのです。私はバンドに何らかのチャレンジのためだけに私の技術を提供するだけではなく、成功したいと考えているバンドのために仕事をしたいと思っていたのです。
そのときすぐに出てきたアイデアは素晴らしいチャレンジで、私たちがやっていたあるプロジェクトで使っていたドラムのトリガーのことについてでした。コーディーは「トリガーは使いたくないんだ。全部マイクロホンでやって欲しい」と私に言いました。テクノロジーに頼りすぎると怠け者になってしまうのでいいことだと思いました。自分自身に底力を見せてやるんだ、と言っているのと同じで、そういったチャレンジを前面に持ってくることは本当にいいことでした。

 
HINDER
— あなたはビジネスのつながりだけでなく、彼らにとっての友人であり指導者のような立場のように聴こえます。

FD:  彼らは24歳で私は44歳ですから、状況は理解できると思います。私たちはたくさんの会話をしますが、彼らはいろいろな話題に触れてきます。この若者たちが世間の注目を浴びながら成長し、そしてさらに、次のアルバムの準備などの、とても成功したバンドの違う側面をやり繰りする姿を見ることは本当に注目に値することなのです。彼らはライブのセット・リストに新曲を盛り込んでいて観客への受けも良く、曲も素晴らしいものです。コーディーは私にライブで演奏する新曲を録音するように頼んでくるので、CDでいつでも彼らが聴ける状態に残してあります。空き時間がある場合にすぐに新曲に取り掛かれるように、彼は自宅に小さなスタジオを作りたがっています。ツアーが終了すれば、全てのaudio-technicaマイクロホンをそこに持ち込んで、できる限りのことをやりたいと考えています。

 
— あなたは聴覚の健康維持をどうされていますか?

FD:  そこに居る必要がないときにはなるべく音圧レベルが高い場所を避けるようにしています。バスで移動をするときは耳栓をしています。よく眠れますし、毎日生活しなければならない場所での環境音を減少してくれます。長い時間目的もなく大音量で音楽を聴く主義でもありませんし、レコードを聴くときには十分に快適な音量で聴きます。それで自分を傷つけるようなことはしません。聴覚を維持しあらゆる健康の維持は、快適な暮らしときちんとした食生活をおくるために本当に重要なことです。最後に残っている私の悪習は喫煙です。これが唯一やめなければならないことです。飲酒は何年も前にやめました。アルコールはそれ自体があなたの体全体をむしばみます。別にロケット学者でなくても分かるようなことですが。

— 経験の浅いエンジニアが起こしてしまう問題はどんなことでしょうか?

HZ: いろいろなタイプのエンジニアがいます。男女に関わらず経験が浅い人、始めたばかりの人など。たくさんの質問をされます。多くの場合は、「あの素晴らしいキック・ドラムの音はどうやって出すのですか」というものから始まり色々な質問が飛び交います。時々少し後戻りして、この仕事がさまざまな異なった要素から成り立っていることを理解させなければなりません。
オーディオに関して今まで聴いた中で最高の言葉は「利得は得るもので、与えられるものではない」というものです。この仕事を始めるのであればオーディオに関わる利得の構造にいかに対処するか、ということを学習しなければなりません。そうしないと結局のところ何も身に付きません。彼らは自分のために穴を掘り始めたところです。それはとても大きく、決して出ることのできない穴です。ですので私は利得構造について若者を励ますようにして、その基本を学ぶように教えています。入力から出力までの利得構造の特性、それが結局のところ常について回るものです。これは周波数で端から端まで測定可能なものではありませんが、全体の信号の流れを通していつでも特定することが可能です。
音質と音量の違いについて理解できない人がたくさんいます。音質が私たちの欲しいもので、音量は私たちが管理するものです。ブライアン・アダムス (Brian Adams) や他の多くのアーチストをミックスするジョディー・パーピック (Jody Perpick) というとても素晴らしいカナダ人のエンジニアとミキシングとその哲学について話していたときの彼のコメントは、「誰でも何かを大音量にできる。しかし何かを本当に高音質にすることができる、というのが本物のエンジニアである」というものでした。
私はこの言葉に打ちのめされました。というのも、私が同業者の仕事、本当に尊敬するブラッド・マディクスやロバート・スコヴィルなどのミックスを熱心に聴き始めた頃に感じたのは、彼らは大音量ではなく、死ぬほど激しい音ではない、ということでした。しかしとても高音質で、とてもはっきりしていたので、ミックスされた音をひとつひとつ聴き分けられたのです。
メーターがレッド・ゾーンにあるからと言ってピザが焼けた、ということではないのです。レッド・ゾーンの本当の意味はストップであって、それ以上進むな、ということです。その意味をちゃんと汲み取って管理するのです。毎晩110dBで轟音を鳴らす必要はないのです。それはそこにいる公衆を虐待しているだけでなく、同時に自分を虐待していることなのです。オーディオの正しい管理を持ってすれば、誰かの健康に影響を与えることなく、音をBigに、そして多くのインパクトを持たすことができます。
このことは別の興味深いポイントにつながります。ヒンダーは過去4〜5カ月の間にヨーロッパへ2回行っています。そこで顕著なことは、多くの地方、州、政府などの団体が300〜500席のライブハウスからもっと大きな会場まで全部の場所でオーディオ・レベルを規制し始めたということです。全く驚きです。
ドイツのあるライブハウスでは、ステージから4〜5メートル下がったあたりの床に赤い線が引いてあり、もっと後ろに行くと黄色い線、さらに緑の線が引いてありました。それぞれが決まったデシベル・ゾーンになっていて、各ゾーンでの決まったデシベルのレベルを超えることができないのです。そのレベルはモニターされていて「音量を下げなさい」と言ってくるのです。
フランスで行ったライブハウスには驚きました。触ることのできない制御システムがあり、簡単な画面にデシベル数値が表示され、プログラムされたレベルを超えるとPAが下げられてしまうのです。こちらではどうすることもできないのです。このシステムへのチャレンジはおもしろかったですね。
時々息が詰まりますが、こういったものは増えてきています。ヨーロッパにあるのですから、残りの場所でもこういう方向に進むのは時間の問題だと思います。問題が起きる一歩手前で、裁判沙汰になりかねませんね。誰か一人が「そっちの都合で私の仕事の質を下げさせるつもりか!」と言うだけでそうなります。この問題で特定の個人やバンドの具体例が指摘され始めれば、あとは増える一方でしょう。そうならないことを願いますが。

 
それらの制限下でミックスしなければならなかったときに、あなたが目指しているインパクトのある音を出すことはできましたか?

FD:  ヒンダーの場合はステージの音量に対するコントロールが十分にできています。もう一度言いますが、全ては音質と音量の違いにあります。正しくやるのには大音量である必要はありません。ですので、私たちはギター・アンプやベース・アンプの音質が管理可能なレベルであるかどうかを確認します。その上、バンドのメンバーはイン・イヤー・モニターを使っているので、必要以上に大音量にしなくてもすみますし、必要であればそうすることも可能です。ですので、ステージからのレベルは管理されコントロールされていて、私はそこで起こっていることに対してより良い絵を描くことが可能なのです。

ありがとうございました。

(訳:国際営業部 木村英樹)

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