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Live Report top 2010.8.7 sat 2010.8.8 sun
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— 日本はどうですか? ここでのサマーソニックを楽しんでいますか?

NP:日本に来るのは今回で52回目になりますが、何回来ても飽きませんね。文化が魅力的で、時間がある時はいつも、通りを歩いて自分の中に吸収しようとします。日本人の生活のある側面は少し管理され過ぎており、私にとって居心地が悪い時もありますが、日本での生活様式については多くの敬服と尊敬に値するものがあり、それを理解するにはもっと視野を広げる必要があると思います。いつ来ても時間が足りませんね。
もう何回もサマーソニックで仕事をしていますが、常にどこを取っても非常にうまく組織化され、運営されています。今年も例外ではありません。いつも楽しめて、ここを訪れる全てのバンドやクルーにとっても非常に良い経験になっていると思います。ここに連れて来て、何がどのように運営されているかについていろいろと見せてやりたいと思う他国のプロモーターたちもいるくらいですね。

— 今回のツアーでの最大のチャレンジは何でしょうか?

NP:
いかに機材が沢山あって集中していようと、また、いかに会場の音響特性が独特なものであろうと、一貫してクリーンでクリア、そしてはっきりと音が伝わるミックスを届ける、ということです。ドリーム・シアターのメンバーたちは、全員がそれぞれの楽器での名手たちで、ドリーム・シアターを見に来ているミュージシャンの多くは、一音一音の音符とビート、そしてそのニュアンスを聴き、味わいたいと思っています。特に世界中で出会う、それぞれの会場の音響特性の全域においてそういった驚異的な音楽の才能を充分に発揮させるということは確かにチャレンジかもしれませんが、それがうまく行くとわかった時はとても満たされた気持ちになります。たまに、ある会場で悪戦苦闘するということもありますが、そういう時は自分のベストを尽くだけです。欲求不満を抱えないようにして、もう何もできることはないと自覚するようにします。実際には口で言うほど簡単なことではありませんけどね。

— ライブが始まる前あるいは本番中で一番つらい、またはストレスがたまると思うことは何ですか?

NP:オーディオのクルーとして、私たちはどのライブに対しても起こりうる問題と、潜在的に緊張を強いられる状況を、最小限に食い止めるために細心の注意を払っています。必然的に、予想できない何かがたまに起きてしまいますが、それがこの仕事の本質です。しかし問題が起きても、クルーの相応の経験値とプロ意識で、いつもは素早く静かに解決させることができます。とは言うものの、オスローのスペクトラム・アリーナで、サウンドチェックの間に私のコンソールの電源が突然火を噴きながら落ちた時は心臓が止まりそうになりましたが。幸いにも消火器が私の真後ろにあり、電源ユニットの予備もあったので事なきを得ました。レアなケースですが、間違いなく注目すべき事件でしょう。本番前と本番中に専念することは、私にとって普通のことですし、こうしたライブをミックスする上で必要なことなので特にストレスではありません。徹底的な準備が信頼と自信を呼び起こし、物事をリラックスさせる状態にさせることに役立つのです。自己満足ではなくリラックスですね。
— 何か特定の機材で、あなたの音作りに欠かすことのできないものはありますか(特定のマイクロホンやリバーブ、コンプレッサーなど)?

NP:特定の一つのオーディオ機器で、全ての音楽ジャンルにおいて、全体的にベストな音響特性と音質を実現することを手助けするものを挙げろということであれば、アナログかデジタルかは問わず、ハイエンドの「Midas」のコンソールと答えますね。それでミックスをしていると、私にとって全てが音響的に正しい場所に収まるのです。ユニークで一貫した音の筋が、「Midas」の一連のコンソールを通して広がるので、直感的にそれが自分にとって“ふさわしい”ものであると感じます。ただの一個人としての意見になりますが、それが答えですね。彼らは何とか継続しながら、議論の余地なくデジタルのコンソールでさえ改良してしまいます。全く卓越した功績と言えるでしょうね。ハイエンドの「Midas」のコンソールがあれば、私はほとんどのアーチスト、ほとんどの良質なPAシステムに対して何とかやっていけると思います。もちろん理にかなった範囲でのことですが。

あとは、「TC 6000」か「Lexicon 180/960」がラックにいつも収まっているリバーブで、「TC 2290」か「D-Two」がディレイです。メインのL-R出力の全域で「Waves MaxxBCL」のかなり薄いコンプレッションを全体のミックスにかけています。ほかの皆と同じように、私にも特定のマイクロホンの好みはありますが、結局は聴いている音源をベストな状態で引き立てることができると思ったものを選びます。デジタル入力だと「Radial」の製品が気に入っています。アナログだと、最初に選ぶノイズゲートは「XTA G2」か「Aphex 622」ですね。コンプレッサーだと「XTA C2」「Smart C2」「Tube Tech」「Summit」「Avalon」が好みですが、もちろん何に利用するかによります。
— ドリーム・シアターのライブ公演には何名のスタッフが関わっていますか?

NP:
バンドメンバーの他に、ツアーに同行するコアメンバーは以下の人員です。
ツアー・マネージャー、プロダクション・マネージャー、プロダクション・アシスタント、FOHエンジニア、モニター・エンジニア、照明ディレクター、映像ディレクター、テクニシャン4名、物販担当、バス運転手、トラック運転手です。
それに加えて、その日ごとにプロモーターによって用意される相当な数の現地クルーにアシストされています。通常その内訳は、12〜16名の音響、照明、映像をアシストするスタッフ、バックラインのテクニシャン、6〜8名のローディー、2〜3名の設営係、2〜3名の仕出し係、そして多数の会場警備係です。

— ミックスにおけるアーチストからの影響はどの程度ありますか?あるいは、彼らはあなたにやりたいようにやらせてくれていますか?

NP:
その質問に対する答えはアーチストによってさまざまですね。大まかに言うなら、通常だと特定の曲か、曲の具体的な部分に関して、あちこちからいくつかのアドバイスか提案があったりはしますが、そのほかの大抵の行動の自由は与えられていると思います。こうしたことはいつも協調精神の元で生まれ、すべてはエンジニアとアーチストの間の、出会いと信頼を築く過程で生まれてくるものなのです。私にはそれらが理解に足る正しいことで、本当に前向きなことだと考えます。
あらかじめ、そのアーチストのことを調べもせずに雇われることは稀です。特定のアーチストをミックスするために雇われるのであれば、そのアーチストについて知っていなければなりませんし、あるいはアーチスト側が信頼を置いてくれているか、誰かが私の能力について肯定的な意見をすでに持っている場合だと思います。でなければ、最初の段階で仕事をオファーしてこないでしょう。雇う方も、私がそのアーチストの仕事について勉強し、また充分に用意をしてからそのプロジェクトにやってくることをわかっており、すぐに気づいてくれます。いい人材を雇ってアーチストがやっていることをどんどん進めるには、たくさんの利点がある一方、芸術的な試みについてはもう少し込み入った状況があります。ほとんどのアーチストは伝えたい何らかの考えや提案を持っていますからね。もちろん優秀な人材の技能は長持ちしますが。結局のところ、私は言うなれば彼らの音楽的な考え方の表現を手助けするためにそこにいるのです。その過程のある程度が私にとって直感的なものであると同時に、アーチストが出すいかなる提案や助言についても聞くし、受け入れます。ほとんどのアーチストたちが、提案に関する練られた知的な意見に対して評価し反応する一方で、過度に頑固な、あるいは否定的な人物に対しての彼らの反応は概ね、長期の雇用に消極的です。

— 特にその仕事に感心したエンジニアはいますか?

NP: 最近ミックスを聞いて感心したのは、コールドプレイ(Coldplay) のダン・グリーン(Dan Green)です。ある会社が、とあるシステムの音を聞かせるためにシアトルのフェスティバル・タイプのライブに私を送り込んでくれたのですが、ちょうどコールドプレイが出演していました。ほかの皆は可もなく不可もないような音でしたが、ダンのミックスは一級品でした。私たちは一度も会ったことはありませんが、ダンには脱帽しますね。

— 経験の浅いエンジニアが作る音について、目につく問題とはどういったものですか?

NP:過度の音量ですね。公正な立場で言うなら、経験を積んだエンジニアにおいてもそれはあてはまることなので、もっとそのことを知るべきだと思います。また、全体がひずんでいて、キックドラム中心のミックスも本当にうんざりしますね。まっすぐの道で車を速く運転して目立とうとしているようなものです。何の腕前もいりません。カーブのところでどうするかを見てやりましょう。
目による過度のミックスとシステムのセットアップばかりで、耳を充分に使っていないのです。

— 何かお教えいただけるマイクロホンのセットアップについてのヒントや裏技などはありますか?

NP:任意の用途でマイクロホンを選ぶのであれば、先入観を持たないことです。機会があるなら色々な種類のマイクロホンを試して、自分の耳と特定のセッティング状況下で音がベストだと感じたものを選んでください。自分の判断/直感を信用して、ほかの皆が使っているものに左右されないことです。偉大な発見はそうやって成されて来たのですから。
自分のマイクロホンに対し尊敬の念を持って接すれば、何年も信頼を持って使用することができます。仕事の終わりに引き出しに投げ入れるようなことだけはしないことです。

— 現在、オーディオテクニカのマイクロホンをお使いですか? 選ばれた理由とあなたにとってどのように役立っているかについてお聞かせいただけますか?

NP:『ATM350』×3本 小型のタムとティンバレス用
『AE3000』×5本 大型のタム用
『AE3000』×2本 ウィンドチャイム用
『AT4060』×4本 ドラムオーバーヘッド用
『ATM450』×2本 スネアのボトム用
私はオーディオテクニカのマイクロホンを長年ドラムで使用しています。上記のチョイスでも分かるとおり、私たちが持っているオーディオテクニカのマイクロホンは全てマイク・ポートノイ(Mike Portnoy)のドラムキットで使っているものです。ドラムキットが大きいだけでなく、多くの要素から成り立っていますが、タムにシンバルが付いているか、部分的にタムがかなりの近距離で覆われているので、ほんのわずかな隙間に私がマイクロホンを入れます。さらに小さなタムの場合には小さくて目立たない、それでいて全域の周波数特性を持ち、狭いポーラーパターンを持つマイクロホンを使う必然性があるのです。『ATM350』が当然の選択でした。
大き目のタムだと、もう少しマイクロホンの位置に自由度があるので、『AE3000』を選びました。このマイクロホンはパンチのある音がする一方、とても制御されたポーラーパターンを持っています。ウィンドチャイムには数種類の違うマイクロホンを試しましたが、大口径の『AE3000』がチャイムの全域の音を均等でスムーズに拾っていて、ポーラーパターンも不必要な入力を受け入れない特性なので、チャイムの場所と他のキットとの位置関係に適していました。

『ATM450』は過渡特性に優れていたので選びました。その小さなサイズとサイドアドレスのデザインが、このドラムキットでアクセスが少々制限されているスネアのボトムの用途に理想的でした。

『AT4060』は、オーバーヘッドに使ったことがあるエンジニアの友人が私の好みに合っているかも知れない、ということで勧めてくれました。まさにその通りでしたね。

— オーディオテクニカ製品に対する信頼性についてお聞かせいただけますか? 相当タフなツアーを行なわれていることと思いますが、私たちの製品は役に立っているでしょうか?

NP:オーディオテクニカのほとんどのマイクロホンを世界中のツアーで何年もの間使ってきましたが、不注意や誤使用以外での不具合はこれまで全くありませんでした。その一言に尽きると思います。

— ありがとうございました。

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