All about ARTIST ELITE 5000 audio-technica
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サウンド・エンジニア
安藤清氏
AI
2.現場リポート
 今や日本を代表する夏フェス『サマーソニック』でも全面的に使用されるなど、「オーディオテクニカ」のマイクはライヴ・シーンにおいて欠かせない存在となってきている。中でも「ARTIST ELITE 5000シリーズ」は、同社が技術の粋を集めて作り上げたワイヤレス・システムとして大きな注目を集めている。海外では2年前にリリースされ、グッド・シャーロットやフーバスタンクといったメジャーどころが愛用、いよいよここ日本でもデビューを果たした。そのポテンシャルにいち早く反応したのが、ジャパニーズR&B界のホープ、AIを手がけるサウンド・エンジニア、安藤 清氏(KEY-3)であった。これまでCHAGE & ASKAやMISIAなどの音響も手がけた大ベテランの氏が、どのようにこのワイヤレス・システムと出会い、惹かれていったのか、話を聞いた。

サマーソニック2005での使用

 安藤氏がARTIST ELITE 5000シリーズのワイヤレス・マイクを本格的に使用したのは、今年8月に開催された「サマーソニック2005」でのAIのライブだった。
 「ライブに先立って、ランニングのためにお借りして2日間試用し、本番ではAEW-T3300を使用しました。実は4年ほど前、知り合いのエンジニアの方の仕事をサポートした際に、オーディオテクニカのワイヤレス・マイクを使う機会がありまして……それは演歌のステージだったのですが、演歌の世界ではワイヤレス・マイクが当たり前のように使用されていて、それに非常に手応えを感じていたので、ロックやヒップホップのライブもワイヤレスの方に移行していきたいなと考えていたんです。なので、今回ARTIST ELITE 5000シリーズが出るという話はとても気になっていたんですよ」
 氏がチョイスしたAEW-T3300はコンデンサー型マイク・ユニットである。ARTIST ELITE 5000シリーズにはコンデンサー型とダイナミック型、それぞれ2種類のユニットが用意されている。“ライブはダイナミック型”という通説もあるが、あえてコンデンサー型を選んだのには、どんな理由があったのだろうか。
 「まず、コンデンサー型とダイナミック型、ユニットを載せ替えていろいろ音を試すことが可能で、“弊害があるから使わない”ということになる心配がなかったのは大きいですね。その上で、ダイナミック型では音質的な限界があると判断しました。先ほどお話しした演歌のステージで使用したワイヤレス・マイクもコンデンサー型ユニットを載せたものでしたし、これからの時代、特にヴォーカルに関しては必ずコンデンサー型の時代になると確信しています。大口径ダイアフラムの『AEW-T5400』も素晴らしかったのですが、技術的にも納得する部分の多かった『AEW-T3300』を選びました。コンデンサー型は音の回り込みが気になると言われたりしますが、修羅場をくぐり抜けてきていれば、回り込みの弊害よりもとらえる音色のメリットを優先させることができると思います」
 『サマソニ』のステージにはラッパーのDELIがゲストとして登場している。彼には当初「AEW-T5400」があてがわれたが、そのヘッドを握るようなスタイルにはダイアフラムの小さい「AEW-T3300」が適しているだろうということで、「AEW-T3300」に統一された。
 「『サマソニ』では、ダイナミック型を使っていたラッパーのステージをいくつか聴いてみたのですが、少し歪んでいるように聴こえました。ボクは事前にテストをさせていただけましたし、DELIさんやAIさんの声や歌い方のマッチングもあらかじめチェックできていたので歪みからはほぼ解放されましたね。『ARTIST ELITE 5000シリーズ』は、マイクの選択肢の幅が広いことが大きな魅力です。他社のワイヤレス・システムではほとんど選ぶ余地がありませんので、この点だけでも非常に期待できる製品だと感じました」

ライブ・ツアーにも投入

 氏は『サマソニ』に続き、AIのライヴ・ツアー『MIC-A-HOLIC A.I. JAPAN TOUR '05』でも「AEW-T3300」を使用している。
 「ファイナル公演は撮影され、DVDで発売されることが決まっていて、映像として露出することを考えると、動きもかなりアクティブですしワイヤレスの方がいいだろうという判断です。昨年のツアーではケーブル・マイクを使っていましたが、これはAIさんに合ったワイヤレスはまだないなと思っていたし、AIさん自身もワイヤレス・マイクを信頼できていない部分があったからです。確かにケーブル・マイクは絶対に安全だし、使い慣れたマイクならば音の調整ひとつとってもたくさんの引き出しがありますからね。でも、『サマソニ』での成功と経験があったので、それなりに緊張はしましたがスムーズに使用できましたね。しかもファイナル公演では、ゲストを含め4本のコンデンサー・マイクを同時使用したわけですが、何の問題もなく使うことができました」
 このファイナル公演は「ZEPP東京」で行なわれた。2階建てのステージ上部にバンドが乗り、1階部分はAIとダンサーのためのパフォーマンス・エリアが広くとられ、モニター・スピーカーは後ろ側に配置された。
 「映像になったとき、AIさんをできるだけ大きく、履いているスニーカーまで見せたいと考え、バック・モニターを選択しました。歌っている本人からすると、PAの音が正面から聴こえモニターの音は後ろから聴こえるわけですが、これを線で結ぶと、自分の出した声の実体をその線上のどこにでも定位することができるんです。自分の発した声がマイクにすーっと吸い込まれてメイン・スピーカーでドーンと発せられ、そこに観客の声援がある。これはヴォーカリストにとって一番の快楽だと思うんですね。これを実現するためにも、先ほど言った線上に音があるとコントロールしやすいんです。バック・モニターはマイクへの負担も大きいですから、コンデンサーだとどうかな…とも思いましたが、結果何の問題もなく使うことができました。…気合いですよ(笑)。信念を持って120%の努力を惜しまずにやった結果と言えます」
 

総評

 『サマソニ』、AIのライヴ・ツアーを通じて「ARTIST ELITE 5000シリーズ」を使用してきた安藤氏。特にツアーではコンソールに「デジデザイン」の「ベニュー」が使用されたこともあり、デジタル・コンソールやスピーカーなど、最新のPAシステムとの相性の良さも確認できたのではないだろうか。最後に総評を聞いてみた。
 「DVDのために録られた音を聴きましたが、非常にヌケのいいリアリティのある音でした。イメージどおりで、クオリティが高いですね。ワイヤレスはこれから先、もっと需要が高まるでしょうし、“この人の声にはこのモデルが合う”というマッチングは絶対にありますから、ラインナップが充実していることが大事でしょう。その点、冒頭でも申し上げたとおり4つのモデルがある『ARTIST ELITE 5000シリーズ』は選択肢の幅が広いのが魅力です。今後、さらなるラインナップの充実に期待します」
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