世界中のプロから愛されるロングセラーマイクと日本伝統職人技のコラボレーション。

高S/Nによる広いダイナミックレンジ、そして、コンデンサー型の常識を超えた耐湿度、高耐入力が特長のDCバイアス・コンデンサーマイク AT4050 は、F1のエグゾーストノートからギターアンプ、繊細なアコースティック楽器収録までありとあらゆるシーンで使用されている。この世界中のプロフェッショナルの間で広い支持を得ているロングセラーマイクロホンのフレームに、日本が誇る伝統技工「漆」と「蒔絵」を施した50周年記念モデルがAT4050URUSHI である。

前例のない漆塗りのマイクロホンに求めたのは、プロフェッショナルの過酷な環境での使用でも施した繊細な加工が失われないこと。この理想を実現するため、現在でも多くの漆器や漆工芸品を生産する石川県の(株)箔一に依頼した。石川県には「輪島塗り」「山中漆器」「金沢漆器」と3つの漆器産地があり、その漆塗りの技術は日本屈指。蒔絵に関しても、絢爛豪華な「加賀蒔絵」として広く知られる日本を代表する産地である。

塗り

フレームに施した黒漆塗装は、普段は神社仏閣の建材を始め、家具などの漆塗りを行なっているという工場に依頼した。この工場には、粘り気の強い漆の塗装をエアーブラシで行なう高度な技術を持つ職人がいる。細かな凹凸があるグリルまで漆塗りを施すのは、筆塗りでは不可能だったのだ。
AT4050URUSHIの漆塗りは12工程。まず塗装前に塗料の食い付きをよくするため、フレーム全体を紙ヤスリで磨き、下塗りを行なう。下塗りの回数は2回。その都度、乾燥、磨きの工程が入る。漆は、乾燥時の湿度と温度によって乾燥時間や仕上がりが異なる。この湿度と温度管理が職人の腕の見せ所で、乾燥が早すぎると縮んだり茶色が強くなってしまうのだそうだ。季節や天候に左右されずに、求める色に仕上げるには長年の経験が必要となる。漆の乾燥には3日ほど掛かるので、下塗りだけでも7日を要する。

2回目の下塗りを終えたフレーム。

下塗り後、紙ヤスリで表面を磨いたフレーム。塗料の食い付きを良くするための大切な工程。

上塗りを終えたフレーム。黒の質感に深みが増しているのがわかるが、さらに艶を出す「呂色仕上げ」と焼き付けが行なわれてから蒔絵の工程に移る。


仕上がりを左右する上塗りは、ホコリが付かないように細心の注意を払いながら行なう。その後は、表面を柔らかい炭で研ぐ。この工程を経ることで、独特のしっとりとした深みのある、文字通り「漆黒」の艶が生まれるのだ。最後に、厳密な温度管理を行なった焼き付けを行ない、一旦、オーディオテクニカの工場に送られ型番などのプリントを施し、蒔絵職人のところへ送られる。

高い湿度を保ち乾燥を促進させる室(ムロ)。およそ湿度80%、温度25度に保たれている。

粘り気の強い漆をエアーブラシで塗装するのは、非常に高い技術を要する。



今でこそ、漆といえば、食器や家具、建材など木材への塗装をイメージする人が多いだろうが、かつては鎧の装飾にも使われたほどに金属との相性も良いそうで、焼き付けを行なうだけでも漆の剥落はほとんどない。しかし、さらに万全を期すためAT4050URUSHIでは、漆とウレタン塗料を配合した塗料を使用した。これにより、漆の持つ艶やかな質感に加え、一段上の耐久性を兼ね備えた漆塗りとなっている。

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