マイクロホンを識る

マイクスタンド

マイクスタンド
マイクスタンドは、マイクロホンを支えておくためのもの。マイクロホンの重さや使用方法と、マイクスタンドの形状と質量のバランスなどは密接な関係にあります。第一に安定性、次に使い勝手の良さが求められます。さらに置いた場所の不必要な振動を遮断する機能も備えていなければなりません。専門領域ではたくさんの種類がありますが、ここでは一般的なものを紹介します。

卓上型

机や演台の上に置かれる、低い高さのストレートスタンド。外形、質量、コストの点から、土台が鋳鉄(ダイキャスト)の丸い形をしているものが主流。用途のほとんどは講演やスピーチだが、バスドラムなどを録る時にも案外うまく使えます。

ストレート型

垂直に立っているだけの単純な構造のスタンド。ハンドヘルド型マイクロホンが当たり前になってしまった現在では、オールドスクールな司会者用としか思われていない印象を持つかたも多いかもしれませんが、実はマイクスタンドの基本形となるものです。直径の違うパイプを組み合わせてあり、細いほうを出し入れして希望の高さに調節し、中間部のネジを締めて留めます。上のパイプが滑り落ちて精密機器であるマイクロホンを痛めないよう、大抵はバネなどを使った衝撃吸収装置が組み込まれています。調節時にいちいちネジを緩めたり締めたりする必要のない、フリーストップ構造を取り入れた機種もあります。支える土台の部分は、折り畳み可能な軽い金属パイプの先に、振動吸収用のゴムを巻いた3本足が現代の標準といえます。

ブーム型

マイクスタンドの立てられる場所からマイクロホンを置きたいポイントに距離のある場合、このブームスタンドが活躍します。本来は映画の世界で演技を追って音声を収録するために開発された大がかりなもので、操作するのも専門技能が必要。これをもっと小型化、簡素化したのがブーム型で、多くは先のストレート型にブーム(さお)構造を取り付けています。支点で水平方向、ブームによって上下方向の角度調節ができるため、ほぼ全方位にマイクロホンを持っていくことが可能。ブームのマイクロホンの反対側には重りが付いていて、これでバランスを取ります。ライブ・ステージでは、ドラムスのオーバーヘッド用に2本立っているのがまず目に入ることでしょう。
その他ピアノ、パーカッションなどの楽器用に重宝されています。また、低い位置専用の短い足仕様もあります。テレビ局や大きな録音スタジオでは、もう少し大きくて頑丈な構造を持つ中型のものを見かけることがあります。

グースネック型(フレキシブル)

ストレート型や卓上型にフレキシブル・アームをつけたもの。マイクスタンド位置からマイクロホン・ポイントまでの距離が、比較的短い場合に有効です。ブーム型より占有する空間が小さく各種機材が所狭しと並んでいるステージ上で、例えばサクソフォーン、アコースティック・ギターなどによく用いられます。見た目もすっきりしている点から、純邦楽のテレビ収録でも琴や三弦用に使われることも多くあります。さらに、スタンドではなくクリップ形式のものは床の上を占有しないので、セッティングが入り組みがちなパーカッション周辺では重宝されています。これらのスタンドは、高さや向きを固定する仕組みが命。くれぐれも取り扱いに注意して、その部分を大切に。位置を変えるときは必ずネジを「緩めて動かし、締めて留める」こと、また「回すのはマイクロホンではなくスタンドのほう」ということを覚えておきましょう。
*ATM350U、ATM350ULは楽器収音用にグースネックマウントを付属したタイプで、マイクロホンはコンデンサー型です。