”ハイソな大人の街”のイメージが強い銀座。 四半世紀以上の歴史を誇るレコード屋「Face Records」の新事業『Space Is the Place by Face Records』がオープンした。

店内の入口

Face Recordsの歴史は1994年に横浜でスタート。 当初はオーナーの武井進一氏がアメリカやヨーロッパから買い付けたレコードをメールオーダーで通信販売していた。 そして1996年に、渋谷区宇田川町で実店舗をオープン。 まだインターネットもなければCDJもない90年代当時のシスコ坂は、CISCOを筆頭にマンハッタンレコードやディスクジャムなど、数々のレコードショップや機材店がひしめきあうレコード文化の聖地だった。 日本全国からはもちろん、海外からもレア盤や日本のDJのミックステープを購入しに沢山の人々が訪れ、レコードカルチャーは盛り上がりをみせた。
2016年には下北沢に「General Record Store」をオープン。 そしてその活動は国内に留まらず、2018年にブルックリンのウィリアムズバーグ地区に進出し、「Face Records NYC」を開店した。 日本盤のレコードを中心としたセレクトが現地でも人気を博している。 そして2020年、渋谷でより若い世代に向けてレコードカルチャーを発信する場所として「Face Records Miyashita Park」の営業をスタートさせた。

レコードの棚

常に進化を遂げているFace Recordsが次なるステップに選んだ地が、銀座だ。 店名はスピリチュアルジャズシーンの鬼才、サン・ラーの「Space Is the Place」から名付けられた。 この曲の一節「Space is the place where…(その場所は…)」は、where以降に続く歌詞について “そこは何をする場所なのか” を伝えている。

Spaceには英語で、ただ存在しているだけの「カラの空間」という意味が含まれる。 そしてPlaceは「目的を持った場所」という意味がある。 これらを咀嚼して、『存在しているだけの何もない ”カラの空間” を、自分自身で意味合いをつけていくことで ”目的をもった場所” にしていく』という意味を見出した。 これから作っていく新しい店舗にフィットしたネーミングだ。

ターンテーブル、アンプ、スピーカー

店舗は駅構内からのアクセスも良好な東急プラザ銀座の五階にある。 天井が高く、広々としたフロアの角に面した開放感あふれるスペースだ。 ここでは従来のレコードショップの枠を超え、レコードを中心としたライフスタイルを総合的に提案している。
現代社会に全く新しい価値を生み出す総合クリエイティブカンパニー「ANYNAL INC.」のセレクトした家具、植物と暮らすをコンセプトに愛知県豊橋市で誕生した「GARAGE」の植物、都内屈指のオーディオ専門店「ホーム商会」のオーディオ機器、酒類食品の中間流通のプロ集団「日本酒類販売株式会社」のセレクトした酒類、そしてFace Records Miyashita Parkの内装や造作家具のデザイン、製作までを一手に担当した入江剛志氏が代表を務める工房「DESERGO」によるFace Recordsオリジナル家具など、それぞれの分野のプロフェッショナル達がキュレーションしたアイテムが揃っている。 その他にも音楽やアートに関する書籍やオリジナルのアパレルアイテムなどもあり、幅広い年代や様々な分野の感度が高い人々が必ず楽しめる空間だ。

レコードの棚

今回取材した広報の佐取温子さんは、ヨガの講師でもありDJとしても活動している。 学生の頃にTLCやデスティニーズ・チャイルドなど、R&Bやヒップホップを聴いて音楽に目覚めた。 同時に始めたダンスを通してクラブという存在を知り、その場の雰囲気にあわせて即興で曲を繋いでいくDJに憧れを抱く。 当時の佐取さんにとってターンテーブルは手が届かない高価なものであったが、いつか購入することを夢見ながら好きなアーティストのレコードを買い集めた。
卒業後はすぐに行きつけのクラブで自分のイベントを開きながらDJの腕を磨く。 現在はソロとして、そしてユニット「PALM BABYS」として都内を中心に様々な場所で活動している。 今後はヨガと音楽、両方の活動をさらにシンクロさせて独自のスタイルを作っていきたいとのこと。 今後もFace Recordsの動向と共に、彼女の活躍にも注目していきたい。

佐取温子氏

Space Is The Place by Face Records

〒104-0061
東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座5F
営業時間:11:00~21:00(当面の間 20:00)不定休
TEL : 03-6263-8879
WEB : https://space-is-the.place/

Photos & Words by Masahiro Takai