レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。

第31回のテーマは「オーディオを楽しむということ」です。 今回はアナログ・レコードにも繋がる、そもそもオーディオって何だろう。 という初歩的な質問をぶつけてみようと思います。 私のイメージではオーディオって音楽を再生するためのツールです。 どのツールを選ぶのか、どうやってツールを使うのか、その違いを楽しむということなのかな…と。 プロである先生に「オーディオを楽しむとは」を聞いてみましょう!

円盤好子とさぶろう先生のプロフィール

こんにちは、円盤好子です。 レコード・アナログにまつわるお話をしていますが、今回はさらに枠を広げて”オーディオ”ってなんだろうという大きなテーマでオーディオのプロであるさぶろう先生にお話を聞いてみようと思います。 すごく広い意味がありそうですが、先生の考えるオーディオの楽しみ方・考え方を聞いてひとつ踏み込んだオーディオの世界を勉強します。

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さぶろう先生:みなさんが「オーディオ」という言葉を聞いてまず頭に思い浮かぶのは、どんなイメージでしょうか?

円盤:スピーカー、アンプ、ケーブル、、準備しないといけないものが多くどれも高級なイメージです!

さぶろう先生:「オーディオ=Audio」という世界は、実にふしぎな世界だと思います。
Audioは、本来、世界に存在する空気振動としての音や音楽、電気的に作られたシンセサイザーなどの信号を記録したり、それを再び空気の振動として音に蘇らせる「ツール=手段」ではありますが、そこには、やはり、それならではの世界観や美学が存在しています。

円盤:んんー…深い、ですね。 当たり前のようにある空気の振動を音に変換して、楽しむためのもの。 ということですね。 様々な発明も同様ですが、最初にひらめいた人はが本当にすごいですよね!

さぶろう先生:感性、ですね。 音楽を聴くということに加えて、その音をどのように再現するのかというような、機器としての味わいや能力に魅力を感じるような世界観があるのです。  例えるなら、やはり「料理やお酒」、「クルマ」でしょうか。

例えば同じ料理であっても、作り方の微妙な違い、素材の違い、アレンジの違いなど、その味わいは多種多様な魅力を持っています。 お酒も、そのお酒が生まれた文化や民族性そのものと結びついていたり、作り方や素材によって大きく味が異なります。 グルメと呼ばれるような人たちにとっては、料理やお酒は単にお腹を満たしたり酔ったりするだけのものではなく、それらがもつ妙や美学を感じ取り、味わい、楽しむための対象でもあります。

円盤:なるほど、わかりやすいです!カレーが国やお店、家庭によって全く違うのもそれぞれの世界観の違いなのですね。

さぶろう先生:そうですね、カレーは特にスパイスひとつとっても味が変わるので奥深いですよね。 楽しみ方は自由ということです。

また、オーディオ好きの方は得てして車好きの方も多いですが、クルマは単なる移動手段としてその機能性だけでなく、走る、曲がる、止まる、といった機械としての性能やデザインなど、そのブランドならではの思想や技術に魅力を感じる世界観があります。 そこでは、例えば燃費よりもクルマの走行性能が重視されたり、単純な使い勝手よりもクルマとしてのデザインが重視されたり、画期的な機構や装備が評価されたりということがあります。

円盤:たしかに特定のブランドが好きな方って多いですよね。 乗り換えても同じブランドで違う車種、というような…。 そのブランドならではの思想や技術に魅力を感じる世界観、納得です。

自分好みの音を探す
自分好みの音を探す

さぶろう先生:オーディオもそれと同じで、音楽を楽しむという大前提がありつつ、音楽を料理に例えるなら、それをどんな食材でもってどんな味わいで描き出して楽しませてくれるのかや、機器の能力としてどれだけ音楽作品を詳細に表現できるのか、リアルに再現してくれるのか、また、それはどんなリアリティなのか、といった観点を楽しむ世界なのではないでしょうか。

まさにオーディオは、音の「グルメ」や「モータースポーツ」とも言えるような世界なのだと思います。 私も、そんな世界に魅せられてしまった一人です。

円盤:人によって感じ方、捉え方が変わってくるので無限通りの楽しみ方があるということですね。 最初は難しいイメージがありましたが、考えすぎずに感じるまま入り込むのがオーディオへの一歩かもしれませんね。

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今回は「オーディオとは」という大きなテーマをさぶろう先生に質問してみました。 オーディオというワードだけ聞くとやや小難しいイメージを持ってしまいがちですが、そんなことはなくて、自由に自分の感じるままに楽しむことが大事ということですね。 音の再生という部分でいえば歴史はかなり古いですが、これだけ長い間時代が変わっても多くの人々を魅了させるオーディオは一生の趣味にもってこいではないでしょうか!

では!

Supervision:Saburo Ubukata
Words:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki