レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。

第37回のテーマは「やぎ座先輩とレコード vol.2」です。 中古のレコードが売っているということは、もともとは誰かの持ち物でそれが手放されたということ。 レコードショップの中古レコードたちは新しい持ち主の元へ引っ越すために査定を受けて、店頭に並んでいるわけです。 そこにはどんな思い入れがあったのでしょうか?

円盤好子とやぎ座先輩のプロフィール

こんにちは、円盤好子です。 好きなアーティストだから、アートワークが素敵だから、視聴して良かったから、、レコードを買う理由は人それぞれ。 中には思い出の円盤や今では入手できない一枚など、思い入れのあるレコードをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 そんな大切なレコードですが、引越しや結婚など人生のステージのどこかで手放したことがある人も多いはず。 今回は、やぎ座先輩に過去にレコードを手放したときのお話を伺います。

前回のやぎ座先輩とレコードのお話はコチラ:円盤好子のアナログジャーニー~やぎ座先輩とレコード~

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円盤:では、本日はよろしくお願いします!

やぎ座先輩:こちらこそ!

円盤:まずは、レコードを集めまくっていたという学生時代の話を聞かせてください。 当時、特によく買っていたアーティストはいますか?

やぎ座先輩:アーティストでは、ハイスタ(Hi-Standard)とTHA BLUE HERBが一番買っているかなぁ。 ジャンルでは、日本のメロコアと邦楽HIPHOPがメインになるね。 実家暮らしで週4〜5日程度のシフトを入れていたこともあり、かなりバイト代を注ぎ込んでいたと思う!

この手のジャンルに全く詳しくなかったんだけど、バイト先の仲間が素敵な音楽やアーティストを教えてくれたおかげでめちゃめちゃハマっちゃったね。 しかも、夜のシフトでお客様が少ない時は、お店の中で好きな音源を自由にかけられる最高な環境もあって、その日におすすめされたアーティストをすぐに、お店の大音量で聞けたというインパクトも大きかった。

う〜ん、査定に出したくないかも(笑)。

アーティストでは、ハイスタとTHA BLUE HERB。 ジャンルでは、日本のメロコアと邦楽HIPHOPがメイン

円盤:気持ちはすごくわかります (笑) じゃあハイスタとTHA BLUE HERB以外にして…。
聴くためはもちろんですが、コレクションとしてもレコードを集めてましたか?

やぎ座先輩:バイト先から真っ直ぐ歩いたところに新宿タワーレコードがオープンして、アルタにはCISCOがあって、西新宿には個性的なレコ屋がたくさんあって……。 新宿で働いていたおかげで、音源を入手しやすい、アクセス良好な状況が整っていたんだなぁと今では思います。

前回お話しした通り、自分自身が働いていたお店でもレコード・CD販売をしていたし、発売情報を入手したら自店で予約することも結構あったかな。

そんな幸せな環境があったのだけど、就職して一人暮らしになったり、結婚して引っ越したり、お金がなくなったり(笑)と色々な変化があったから、今は手元には数枚のレコードしか残ってないよ…(涙)。

今は手元には数枚のレコードしか残ってない

やぎ座先輩:アーティストを好きになると、次はそのアーティストが所属しているレーベルから何か出たら買うという流れになったね~。 多分音楽好きあるあるに乗っただけなんだけどね。 果てしないDIG! (笑)

メロコアとHIPHOP界隈を周回しながら、結果的に一番集めたのがハイスタのレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS(ピザ・オブ・デス・レコーズ)」と、THA BLUE HERBのレーベル「TBHR [THA BLUE HERB RECORDINGS](ザ・ブルーハーブレコーディングス)」。 この2つは何かしら音源が出るたびに大人買いしてたね。

円盤:レーベル買いですか。 それはお金が立て続けに出ていきそう…。 今は手元にレコードは数枚しか残っていないということですが、いつ頃から手放しはじめたんですか?

やぎ座先輩:実際に売り始めたのは、一人暮らしになってから。 江古田周辺に住んでいたこともあった、新宿というより池袋が近くなったね。 当時は、池袋のディスクユニオンとレコファンの2店舗がかなり近い距離だったので、両店舗を行き来して相場感を掴んだ上で売りに行った記憶があるね。 お金もないし、暇だったんだと思う(笑)引っ越しのタイミングとかで少しずつ売っていった感じかな。

円盤:売る時にかなり渋った盤や、泣く泣く手放した盤もあったりしますか?

当時、ハイスタと並んで人気のあったレーベル「ROTTEN ORANGE」や「HOWLIING BULL」、K.C.H.C.(柏シティ・ハードコア)関連は泣く泣く手放したね…

中でも後ろ髪を引かれたレコードを1枚だけあげるとしたら、ヌンチャクの『ヌンチャクラ』だろうね。 私にとってはバイトや学生時代の青春を蘇らせてくれる1枚。 日本の当時のメロコアを知ってる人は、みんな大好きなバンドだったと思う。 レコードとCDのイラストが違うっていうのもあるけど、入手も困難なこともあって高値。 ディスクユニオン新宿の年末年始セールで販売される情報を掴んだので、早めに並んで、普段使わないクレジットカード払いで大人買いした思い出があるね。

その後、ヌンチャクの3rdアルバム『都部ふぶく』も当然買ったけど、『ヌンチャクラ』の件があったから、レコードとCDを両方買った。 その後、ヌンチャクは突然の解散を迎えて…その辺りから日本のHIPHOPに興味がスライドしていったかな。 だから手放したっていうこともあるね。

円盤:なんだか音楽シーンの移り変わりも垣間見えますね!そしてやぎ座先輩の葛藤も。 学生時代って限られたお金でどれだけ楽しむか、特に娯楽は取捨選択が迫られましたよね~。
じゃあ今、一家の大黒柱となった先輩はレコードを査定に出そうかな、と思うことってあるんですか?

やぎ座先輩:今手に入るものは売っていいかもな~。 洋楽の残骸もあるにはあるから、その辺りと一緒に、今思い出の品はいくらになるんだろうという興味もあるので、少し査定してみたいかな。

円盤:おおー!私、1年でレコードを集めはじめましたがまだ売ったことってないんですよね。 もしよければぜひ、貴重なレコード査定に同行させてください!

やぎ座先輩:いいよ(笑) 売るか、やっぱり手放したくない!ってなるかわかんないけど、査定してみよう!

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日本のメロコア好きなやぎ座先輩の思い入れのある音楽話を伺いました。 とあるアメリカの研究によると、10代の前半から半ば頃に聴いた音楽はその後の音楽の好みに大きく影響するそう。 皆さんも、周りの人の音楽遍歴を聞いてみてはいかがですか?

次回はやぎ座先輩に同行していざ、レコード買取査定へ…!

では!

Words & Photos:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki
Special Thanks:Yagi The Senior