お気に入りの音に包まれる至福の瞬間、こだわりのデザイン、そして自分らしいスタイルとの調和。耳元を彩るヘッドホンは、音を届けるツールだけではなく、自分自身の個性を表現する大切な一部です。

音とスタイルを自由に掛け合わせる、My Headphone Style。第2回はハウスを基盤に多彩なジャンルを融合させ、多くのリスナーを惹きつけるDJ hirocoさんのスタイルを紹介します。

音、スタイル、そしてパーソナルなことを探るQ&A。

自己紹介をお願いします。

DJのhirocoです。2010年からDJをはじめて、今年で15年目を迎えます。ハウスを軸に、さまざまなジャンルをミックスするのが私のスタイルです。いまは、渋谷周辺のイベントを中心に、幅広い場所でプレイさせてもらっています。

DJをはじめたきっかけを教えてください。

小学生の頃からCDショップやレコードショップに通い詰め、とにかく音楽を聴きまくっていました。そこで自分の中に溜まっていった音楽をアウトプットしたくなったのがきっかけで、DJをはじめたんです。当時流行っていたエレクトロミュージックや、DJ KYOKOさんのミックスCDシリーズ『XXX(チュチュチュ)』に特に影響を受けました。「DJってこんなにかっこいいアレンジができるんだ」と衝撃を受け、高校3年生の時に地元の先輩に教えてもらい、上京を機に本格的にDJとしての活動をスタートさせました。

最近よく聴いているアーティスト / 楽曲を教えてください。

最近は、ロンドンのエマ=ジーン・サックレイ(Emma-Jean Thackray)をよく聴いています。めちゃくちゃ踊れるハウス系で、2年前の渋谷 WWWでの来日公演も最高でした。日本人アーティストでは、N.S. DANCEMBLEのライブによく足を運びます。いつ聴いても最高で、かっこいいんです。私はオーケストラ部だったのですが、ジャズのナンバーが好きでよく聴いていたこともあり、特にジャズハウスが一番耳馴染みが良いんです。


このレコードは、最近買ったシカゴのハウスDJ、ロン・トレント(Ron Trent)の最新アルバム『LIFT OFF』です。Spotifyで聴いて、気になっていたのでレコードも買っちゃいました。

これまでの人生で最もたくさん聴いている楽曲を教えてください。

やっぱり久石 譲さんですね。ジブリ作品の曲含めて、あんなに情緒的で心に響く音楽は他にないと思います。特に好きなのは「あの夏へ」 で、良すぎて泣いちゃいますね。毎年Spotifyの再生回数トップになるくらい聴き込んでいます。あとは、ハウスミュージックの入口でもあるベースメント・ジャックス(Basement Jaxx)の曲も定期的に聴きます。特にアマピアノっぽい感じの楽曲が好きですね。テンションを上げたい時には、ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)もよく聴きます。去年の2月の来日公演にも行きました。最高でした。

最近行ったライブやイベントで、特に印象に残っているものを教えてください。

毎年参加しているハウスのパーティー・Body&SOULは、昔からの知り合いが集まる同窓会のような雰囲気も大好きで、今年で参加しはじめて11年目になります。毎回新しい出会いもあって、楽しいんです。最近は自然の中でのイベントも好きで、先日行ったRainbow Disco Clubや、去年のTHE CAMP BOOKは、デジタルデトックスにもなって最高でした。いつかベルギーのダンスミュージックフェス・Tomorrowlandにも行ってみたいです。

好きな洋服のスタイルを教えてください。

CDやレコードをジャケット買いすることが多いのと同じで、洋服も直感で気に入ったものを買うことが多いです。特に、作家さんが描いたグラフィックTシャツのような、一点で目を引くようなデザイン性のあるアイテムが好きです。最近は昔ほど服を買わなくなりましたが、福岡のリメイクブランド「MIMAE」のお洋服はとても可愛くてお気に入りです。全て一点ものなので、すぐに売り切れてしまうんです。

自身の個性を表現する上で大切にしていることを教えてください。

私の個性というか、一番の特徴は、常に生活のベースに音楽があることです。頭の中ではいつも何かしらBGMが流れているんですよね。パーティーでみんなと乾杯する時は賑やかなダンスミュージック、一人で温泉や山登りに行く時間はアンビエント…というように、自分の気分や状況に合わせて頭の中のプレイリストを流しています。


どんなことをしている時間が好きですか?

みんなで同じ空間に集まってライブで熱狂したり、乾杯したりするような賑やかな時間も大好きですし、その一方で、一人でふらっと温泉に行ったり、山登りをしたりするようなオフの時間もとても大切にしています。

生まれ変わるなら何になりたいですか?

生まれ変わるなら、浮遊している植物になりたいです。例えば山の中のススキのように、風に揺られながら自由に生きてみたいですね。

hiroco

東京を拠点に活動するDJ/トラックメーカー。2009年より活動を開始し、ジャンルにとらわれない柔軟なスタイルで、現場ごとに空間を自在にデザインするプレイに定評がある。2000年代のエレクトロハウスに強く影響を受けつつ、現在はハウスを軸に、ディスコ、ファンク、ジャズなどを有機的にクロスオーバー。グルーヴ重視のセレクションと温度感のあるミックスが特徴。近年はサンプリングを取り入れたトラック制作もマイペースに展開。クラシックとモダンが交差するサウンドで、フロアとリスナーの双方に向けた表現を追求している。

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Words:Mizuki Kanno
Photos:Ryuichi Taniura

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