日常的にマイクを使う機会が増えてきた。良い音で聴きたいと思うのと同じように、良い音で録りたいと思っても、いざマイクを使おうとなると、たくさんの種類があって、選ぶだけでも途方に暮れてしまう。話すのか、歌うのか、楽器を演奏するのか、使う人のシチュエーションもさまざまだ。
そこで、オーディオテクニカ「アストロスタジオ」のスタジオマネージャーが、マイクの基礎や使用方法、目的に合ったマイク選びを、簡単、簡潔に徹底解説。これでもうマイク選びには迷わない!
(第3回はこちら

▼第4回
「オールマイティーに使えるAT2020USB 後編」

適切な位置を知ろう

適切な位置を知ろう

マイクに慣れていない人は、テレビで歌う、喋る人のマイクのイメージがあって、ついマイクに近づきがちかもしれません。適切な距離を離すのは大事だということですね。

テレビならオペレーションする人がいて、自分がマイクに近づいてもコントロールされてるから下げてもらえます。自分一人でやる場合は、自分で全部オペレーションしないといけないので、マイクはちゃんと適した位置に自分でセットアップすることが一番大事です。

一人で全部やるんだったら、まずは適切な位置を見つけることですね。

そうですね。フラットに録れる、自分が良いと思う適切な位置というのは自ずとヘッドホンで分かるので、その位置にセットします。パソコン直結なのでボリュームがあるんですけど、パソコンでどれくらいの出力で出てるか、テストもしないといけないです。近づいて喋ってると、コンデンサーマイクなのでパソコン側の出力が赤くピークになりやすいんです。なので、無理して近づけるよりは、ちょっと離した位置に置いて喋ってもらえると、ちょうど良いですね。パソコン側の入力のゲインがあるので、そこはMAXにして問題ないです。または、コンプを調整しながら使います。

マイクのサイド、リアも録れるようなデザインですが、指向性を持ってることを理解しないといけないですね。

はい。繊細に録れるようにコンデンサーマイクにしてあるので、向きを変えると、リアルに向いた方の音が録れちゃうわけです。

実際にAT2020USBを使った方からの反応はどうでしょう?

僕が耳にした反応としては、さまざまなシーンに対応できる素晴らしいマイクということですね。ボーカルに特化せず、ギターなどの楽器をちょっと録りたいとか、そういうシーンでも結構評判良いです。このマイク一本で色んなことができるので、バイオリンでもピアノでも録れるし、例えばビールのシュワシュワみたいな音を録りたいとか、そういう使い方もされてます(笑)。本当に様々なシチュエーションに使える幅広い素晴らしいマイクです。

AT2020USB+

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目的別で選べるAT2020USBの20シリーズ

マイクは何買ったら良いかと問われたら、やはりAT2020USBですか?

これ一択ですね(笑)。AT2020USBの20シリーズも、この後に色々出てくるんですけど、2020ベースで2035、2040、2050などが出ました。

それらは、何が違うのでしょう?

指向性と、どれくらい感度がアップしてるかというところです。あとは周波数特性が2020は結構フラットなので、それと比べて、どこの周波数が上がってるのかという特徴を掴むと違いを分かっていただけると思います。

2020が標準とすると、それ以降に出たものは何かに特化したモデルなのですか?

例えば、2035の話をすると、ダイヤフラムと言われるものの規格が2020と変わってきます。ダブルウェーブダイヤフラム搭載って言われても「?」ってなりますけど、ローカットスイッチが付いて、例えばエアコンの低域をカットできたり、アイソレーションと言われる隣同士との干渉もあまりないです。2020と2035との比較で、アイソレーションの良さは2035で、複数人で録るとか、色んな楽器を交えてやるとかそういう時には適していますね。2035も単一指向性で一緒なんですけど。

自分のシチュエーションや目的がはっきりしていたら、選択肢は拡がりそうですね。

ギターアンプの音を録りたい時は、アイソレーションが良くないとできないんです。なので、2035をギターアンプの前に置いて、2020でボーカルを録るといいですね。

適切な位置を知ろう

AT2020USBが決定版になったのは、それまでにないマイクだったからですか?

それぞれ他メーカーさんにはこういうマイクがあって、無かった訳ではないです。この値段で色んなものが録れるものは無かったということですね。それと、レギュラー品でいうとSHURE SM58が有名ですけど、あれも色々なシチュエーションで使えます。それと同じだと思っていて、使っていただいてるユーザーさんからの声だったり、クリエイターさんからのレビューだったりが蓄積されて、2020もレギュラー品になったと思うんです。

使っている方のフィードバックも重要だったわけですね。

重要ですね。勝手に売れる訳ではないので。2006年から出して、様々なアーティストさん、クリエーターさんが愛してくれたから、この製品が今でも人気があるんだと思います。うちの本当に定番商品で、今も人気があるんです。これのカラバリ、ブルーやゴールド、豪華モデルの絵柄も出ているくらいです。もう堪んないですよね、ファンからしたら。

マイクでカラバリまで出ているとは知らなかったです(笑)。

愛されてます(笑)。

第5回「手のひらサイズのAT993USB 前編」へ続く