スマートフォンひとつあれば、音楽や映画にドラマ、膨大なコンテンツと情報にアクセスできるようになった昨今。さまざまなフィールドでデジタル化は進むものの、写真や映像では感じられない手触りや温度を体験したり、ライブやフェスで身体で感じることの価値は決して失われることはなく、むしろ高まっている感覚すらあるだろう。
ライブ後は、お風呂に浸かって疲れた体を癒したい——「音の余韻は湯けむりの中で」は、そんな思いを持つ人たちに送る連載企画。
第2回は、11月1日〜11月2日に開催される音楽フェス『Festival de FRUE 2025』(『FRUE』)に足を運ぶ人におすすめしたい温泉を紹介。温泉ライターの泉よしかをガイド役に、静岡県・掛川市つま恋リゾート彩の郷の近隣にある名湯をピックアップし、身も心もさらに充実させる湯けむりの世界へご案内しよう。
濃密かつ快適、音楽のための祝祭『Festival de FRUE』
東京駅から新幹線こだまで約2時間ほど、静岡県・掛川にある「つま恋リゾート 彩の郷」はかつて「フォークソングの聖地」として知られた風光明媚なリゾート地。
FRUEの最大の魅力は何といっても、その濃さと快適さ。ステージと客席が大きな屋根で覆われた半野外の施設のメインステージ「The Hall」では、これまでエルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)やブレイク・ミルズ(Blake Mills)、Pino Palladino(ピノ・パラディーノ)をはじめとした、日本ではなかなか観られる機会のない貴重なライブアクトが名演を繰り広げてきた。
野外レイヴのような会場のサブステージ「Grass Stage」は、ホワットエヴァー・ザ・ウェザー(Whatever The Weather)、サラマンダ(Salamanda)のライブセットをはじめ、腕利きのDJたちが過去に出演。フロアは質のいい芝生ということもあり、裸足で踊ったり、ごろごろ横になることもできるなど、リラックスしたクラブ体験ができる。
今年は、レス・クレイプールズ・バスタード・ジャズ(Les Claypool’s Bastard Jazz)、ナキベンベ・エンバイレ・グループ ft. 内田直之(Nakibembe Embaire Group ft. Naoyuki Uchida)といったFRUEらしい特別なアクトに加えて、エンジ(Enji)といった注目の新鋭もラインナップされている。
そんなステージ周辺には地域の食材を活かした飲食店や酒場、レコードショップなどがマルシェのように軒を連ね、ゴルフ場を活用したキャンプサイトはテントも張りやすく、会場内にはサウナ付きのお風呂もあるという充実ぶり。
この濃さと快適さがFRUEを唯一無二のフェスにしているといっても過言ではないが、今回はその体験をさらに昇華してくれるツウな温泉を温泉ライターの泉よしかが紹介する。
充実したお風呂・サウナ・休憩室がある「島田市田代の郷温泉 伊太和里の湯」
まずは定番の「伊太和里の湯」がおすすめ!
全身でフェスを満喫した後は、きっと想像以上に体が疲れているはず。そんな時に何も考えずふらっと寄って、ゆったりとリラックスしたいなら、日帰り温泉として必要なものがすべてそろっているここが良いでしょう。
泉質はナトリウム―塩化物・炭酸水素塩温泉で、肌の汚れを落とし保温効果を高めてくれます。入浴の順番をアドバイスするとしたら、まず人工炭酸泉で血行をアップさせ、サウナと水風呂でととのい、最後に露天風呂や寝湯で〆てはいかがでしょう。きっとすっきりリフレッシュできます。
浴後はマンガ2,000冊を備えた休憩室で時間調整すれば、渋滞を避けて帰途に就けるでしょう。
島田市田代の郷温泉 伊太和里の湯
住所:
〒427-0034 静岡県島田市伊太1番地22
アクセス:
・Festival de FRUE 2025会場より車で約30分
・JR島田駅よりコミュニティバス田代の郷温泉線で約35分
※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください
SLの見える露天風呂がユニーク「川根温泉 ふれあいの泉」
道の駅、ホテル、コテージといった施設がそろう川根温泉には、「ふれあいの泉」という源泉掛け流しが自慢の日帰り温泉もあります。
泉質は “熱の湯” の異名を持つナトリウム―塩化物温泉。ただの塩化物泉ではなく高張性(濃度が高い)なのでとにかくしょっぱい!体を温める働きが強いので、寒い時期にこそ本領を発揮します。
もしタイミングが合えば、露天風呂から大井川を渡るSLを眺めることもできるはず。ライブの余韻に浸りながら、非日常的な景色の中でのんびりくつろいじゃいましょう。
電源完備の車中泊サイトがあるので、いっそ泊まってしまうのもアリ!
川根温泉 ふれあいの泉
住所:
〒428-0101 静岡県島田市川根町笹間渡220
アクセス:
・Festival de FRUE 2025会場より車で約50分
・大井川鐵道 川根温泉笹間渡駅より徒歩10分
※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください
ICや空港に近くて便利「さがら子生れ温泉」
東名高速道路の牧之原ICや富士山静岡空港から近いため、帰りがけに立ち寄るにはぴったりな立地。「本物志向の自家源泉かけ流し」をうたう内湯と露天風呂は、ゆったり手足を伸ばしてくつろげます。
泉質は弱アルカリ性のナトリウム―塩化物温泉で、近隣の大興寺で信仰をあつめる「子生れ石」にちなんで「さがら子生れ温泉」と名づけられたそう。
長寿の湯、子授けの湯、安産の湯として親しまれているというからおめでたい温泉であること間違いなし。音楽に身をゆだねた後に入浴してリラックスすれば寿命も伸びそうです。
本格的なサウナ、信州そばが自慢の食事処、休憩室も完備。どこに寄ろうか迷った時はここへ。
さがら子生れ温泉会館
住所:
〒421-0508 静岡県牧之原市西萩間672-1
アクセス:
・Festival de FRUE 2025会場より車で約30分
・JR掛川駅より電車、バスを乗り継いで約90分
※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください
Words:Yoshika Izumi
Edit:Shoichi Yamamoto