『Always Listening』がセレクトするおすすめ音楽映画コーナー。今回は、「年代別にピックアップ!多彩な音楽に彩られたイギリスの青春音楽映画6選」!

イギリスで青春映画が作られるようになったのは、1950年代後半から60年代初頭。そこから、労働階級の人々の様子や社会情勢を色濃く反映した名作の数々が生み出されていきます。イギリスの青春映画は、当時からテイストやファッションが普遍的で、時代を経ても古びない魅力で溢れているのも特徴。また、各時代を代表する音楽が重要な役割を果たしています。そんな“イギリス青春音楽映画”を、年代別にご紹介します。

1. 1950年代:『ビギナーズ』

1958年のロンドン。カメラマン志望のコリンは、大物ファッションデザイナーのヘンリーに恋人のスゼットを奪われてしまう。コリンは悔しさをバネにして人気カメラマンに成長するが、その頃、街では大変な事件が起ころうとしていた。ミュージック・ビデオの監督として注目を集めたジュリアン・テンプルが映画監督に初挑戦した本作は、80年代感覚とオールディーズ・ファッションが融合したミュージカル仕立ての青春映画。エイス・ワンダーのヴォーカル、パッツィ・ケンジットがスゼットを演じたほか、デヴィッド・ボウイやレイ・デイヴィス(キンクス)、シャーデー等、様々なミュージシャンが出演。彼らが歌う曲に加えて、スタイル・カウンシルやワーキング・ウィーク等による多彩な楽曲が使われている。そして、ジャズ界の巨匠、ギル・エヴァンスが手掛けたサントラが、モッズの登場前夜のロンドンの熱気を伝える。

『ビギナーズ 【HDニューマスター版】』

発売中
Blu-ray:4,800円(税抜)
発売元:是空
販売元:TCエンタテインメント

監督:ジュリアン・テンプル(『アリア』『NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM』)
原作:コリン・マックィネス
脚本:リチャード・バーリッジ、クリストファー・ウィッキング (『チャタレイ夫人の恋人』)、ドン・マクファーソン(『アベンジャーズ』)
撮影:オリヴァー・ステイプルトン(『マイ・ビューティフル・ランドレット』『サイダーハウス・ルール』)
音楽:ギル・エヴァンス
主題歌:デヴィッド・ボウイ

1986年/イギリス/カラー/本編107分+映像特典10分/16:9[1080p Hi-Def] シネスコサイズ(本編映像のみ)/片面1層/音声:1.英語(DTS-HD Master Audio 5.1chサラウンド)、2.英語(DTS-HD Master Audio 2.0ch ステレオ)/日本語字幕/1枚組
1986年6月7日 日本公開(日本ヘラルド映画配給)

(C)1986 Goldcrest Films and TV Ltd & Virgin Vision Ltd. All rights reserved.

2. 1960年代:『さらば青春の光』

60年代のイギリスでは、階級社会や古い価値観に反抗する若者たちの間で「モッズ」という新しいカルチャーが生まれた。一人のモッズの青年が経験する、憧れ、怒り、挫折等、様々な経験を描いた『さらば青春の光』は、イギリス青春映画のクラシックスだ。原作はイギリスを代表するロックバンド、ザ・フーのアルバム『四重人格』。このアルバムは、ザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントの体験をロック・オペラ化したもので、劇中にはザ・フーの曲が高らかに鳴り響く。ポリスとしてデビューしたばかりのスティングがキャストとして出演。細身のスーツにミリタリーコートをはおり、ミラーやライトで飾り付けたバイクにまたがって走り回るモッズたちの姿は、公開当時、パンクスたちにも影響を与えた。

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.

『さらば青春の光』

発売中
Blu-ray: 1,886 円+税/DVD: 1,429 円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

監督:フランク・ロダム
出演:フィル・ダニエルズ、レスリー・アッシュ、スティング、フィリップ・デイヴィス、マーク・ウィンゲット
音楽:ジョン・エントウィッスル、ピート・タウンゼント

1979年/イギリス/カラー/本編115分//片面2層/音声:1英語(DTS-HD Master Audio)/日本語字幕
1986年6月7日 日本公開(日本ヘラルド映画配給)

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

3. 1970年代:『アウェイデイズ』

ビートルズを生んだリヴァプールの川向こうの街、バーケンヘッド。そこで公務員をしているカーティは、地元のストリート・ギャング、パックのメンバー、エルヴィスと仲良くなる。パックは地元のサッカーチームを応援して、試合の後に敵チームのサポーターと乱闘を繰り広げていた。そんなパックの荒々しさに惹かれていくカーティと、暴力よりアートや音楽を愛するエルヴィスとの友情を描いた『アウェイデイズ』は、完成から11年を経て日本で初公開されて話題を呼んだ。娯楽も希望もない街で寄り添ったり、すれ違ったりする二人の傷だらけの青春。ウルトラヴォックス、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・キュアー等、物語の舞台になった1979年前後のUKパンク/ニュー・ウェイヴの曲がドラマを彩っていて、行き場のない怒りや焦燥感を抱えた若者たちの姿をエモーショナルに浮かび上がらせる。

『アウェイデイズ』

原題:AWAYDAYS

全国順次公開中!

2009年/イギリス/105分/カラー/ビスタ/5.1ch/DCP/R18+
本国公開2009年5月22日|日本語字幕:額賀深雪|日本語字幕監修:イノベヒロキ/LRF

プロデューサー:デヴィッド・A・ヒューズ
監督:パット・ホールデン
脚本:ケヴィン・サンプソン(原作「AWAYDAYS」ケヴィン・サンプソン著)
出演:ニッキー・ベル、リアム・ボイル、スティーブン・グレアム、イアン・プレストン・デイビーズ、ホリデイ・グレインジャー、サシャ・パーキンソン、オリヴァー・リー、ショーン・ワード、マイケル・ライアン、リー・バトル、レベッカ・アトキンソン、ダニエレ・マローン、デヴィッド・バーロウ、アンソニー・ボロウズ 他

宣伝:VALERIA|配給:SPACE SHOWER FILMS

© Copyright RED UNION FILMS 2008
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4. 1980年代:『シング・ストリート 未来への歌』

1985年のダブリン。父親が失業した14歳の少年、コナーは学費がかかる私立学校から、公立のシング・ストリート高校に転校する。荒れた学校の雰囲気に馴染めず、喧嘩が絶えない両親が家にいてもつまらないコナーは、兄の影響でロックにのめり込んでいく。そんなある日、一目惚れしたラフィーナの気を引くために、コナーは学校で知り合った仲間たちとバンドを結成することに。一人の少年が音楽を通じて成長する姿を描いた本作は、デュラン・デュランやスパンダー・バレエ等様々なバンドに影響を受けて変化するコナーのファッションや手作りのミュージック・ビデオをはじめ、80年代ロックのネタ満載。コナーが結成したバンド、シング・ストリートのオリジナル曲は、80年代に活動したバンド、ダニー・ウィルソンのゲイリー・クラークが手掛けた。

『シング・ストリート 未来へのうた』

原題:Sing Street

発売中
Blu-ray:¥2,000(税抜)
DVD:¥1,143(税抜)
発売・販売元:ギャガ

監督・脚本:ジョン・カーニー
音楽監修:ベッキー・ベンサム
主題歌:アダム・レビーン
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン、ジャック・レイナー

2016年/アイルランド・イギリス・アメリカ合作/106分

(C) 2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved

5. 1990年代:『トレインスポッティング』

『トレインスポッティング』©Channel Four Television Corporation MCMXCV

90年代に世界を席巻したブリットポップ・ブーム。その勢いは映画の世界にも飛び火した。エディンバラで暮らしているレントンは、ドラッグに溺れた日々を送っていた。周りの友達もドラッグやアルコール中毒のロクでもないヤツばかり。レントンは何度もドラッグをやめようとするけれど、結局仲間に引っ張られてどん底の生活に舞い戻る。そんな人生を変えるため、レントンはロンドンに出て仲間たちと危険な橋を渡ることに。ドラッグと暴力に満ちたどん底の日々を、ダニー・ボイル監督が斬新な映像で描いた本作は世界的な大ヒットを記録。音楽と映像と巧みにリンクさせた演出も冴え渡り、ブラー、プライマル・スクリーム、イギー・ポップ、ルー・リード等、様々な楽曲を収録したサントラも話題を呼んだ。

『トレインスポッティング』

原題:Trainspotting

発売中
Blu-ray 1,800円(税抜)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

監督:ダニー・ボイル
原作:アービン・ウェルシュ
出演: ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ケビン・マクキッド、ロバート・カー

1996年/イギリス/93分/R15+

©Channel Four Television Corporation MCMXCV

6. 2000年代:『FRANK フランク』

田舎町に住む青年、ジョンの夢は、シンガー・ソングライターとして成功すること。ある日、ジョンは見知らぬ男性の自殺を止めたのが縁で、その男性の代わりに風変わりなバンド、ソロンフォルブスに加入する。そこにいたのが、大きなかぶりものをして決して誰にも素顔を見せない謎めいたヴォーカル、フランクだった。なぜかフランクに気に入られたジョンは、バンドと一緒にアルバムを制作するためにアイルランドに向かう。イギリスのコメディアン、クリス・シーヴィが生み出した人気キャラクター、フランク・サイドボトムに着想を得た本作は、マイケル・ファスベンダーが最後まで顔を見せずに熱演。ソロンフォルブスが演奏するアヴァンギャルドなロックナンバーも、フランクに負けないほどユニークだ。

『FRANK フランク』

原題:Frank

TSUTAYAでレンタル中

監督:レニー・アブラハムソン
原作:ジョン・ロンスン
出演: マイケル・ファスベンダー、ドーナル・グリーソン、マギー・ギレンホール他

2014年/イギリス・アイルランド合作/95分
© 2013 EP Frank Limited, Channel Four Television Corporation and the British Film Institute

Cover Photo:『トレインスポッティング』©Channel Four Television Corporation MCMXCV

Words:村尾泰郎