音楽は、触れることはおろか、見ることさえできない時間芸術。
レコード盤に閉じ込めたそんな音楽を美しい姿のまま再現するには、相応のメンテナンスが必要。
初めは面倒に感じるメンテナンスですが、触れることのできないはずの音楽を、あたかも自分の手で慈しんでいるかのような、いつしかそんな心持ちにあなたを誘うでしょう。

レコードメンテナンスの代表は盤面の埃(ホコリ)や汚れをとるクリーニング。
拭き取るだけなら何でも役に立ちそうですが、やはり専用のクリーナーは卓越した効果を発揮します。
ここではレコードクリーナーの2つの種類と、それぞれの使用上の注意について解説しましょう。

普段のメンテナンスには乾式のクリーニング

レコードをプレーヤーにセットする度に行うべき「乾式クリーニング」です。
つまり「から拭き」。
目に見えていなくても毎回サッと拭き上げることで埃などの蓄積を減少させます。

乾式のクリーニングには、専用の乾式クリーナーAT6012Xaを使うのがおすすめ。
拭き取り面が柔らかいベルベットになっており、盤面を傷つけずに汚れをしっかりと拭き取れます。

AT6012Xa

レコードクリーナー

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高級ベルベットでレコードを優しく、効果的にクリーニング。

汚れがひどくなったら湿式のクリーニング

長年月にわたって何度も再生が繰り返されたレコードは、埃だけでなく、手指の脂や空気中に漂う様々な異物が付着しています。
乾式クリーニングで日常的に埃をとるメンテナンスも、そうしたしつこい汚れを呼ばないようにする効果がありますが、状態の悪いものには、クリーニング液を使った「湿式クリーニング」を試しましょう。
溝の奥に潜んだ微細な埃や脂汚れを特殊なクリーニング液に取り込んで除去するものです。
埃を呼ぶ静電気が起こりにくいのも特筆ものです。

乾式と湿式の両方に対応している専用クリーナーがおすすめです。

AT6012a

レコードクリーナー

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レコードのメンテナンスに最適な専用クリーナー。クリーニング効果の高い方向性ベルベット採用。

AT6018a

レコードクリーナー

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レコードのメンテナンスに最適な専用クリーナー。湿式面と乾式面の2ウェイベルベットで汚れを除去。

クリーナーを使う時の注意点

レコードをクリーニングする際には、以下の3つのことに注意をしましょう。

・クリーナーはレコードの溝に沿って円を描くように動かす

クリーナーの動かし方は、「レコードの溝に沿って円を描くよう」が大原則です。CDのように内側から外側に向けて拭かないように注意しましょう。また、クリーナーによっては、動かす方向を指定する矢印が書かれている場合もあります。特に指定がない場合には、反時計回りにクリーナーを動かすと良いでしょう。

・湿式でクリーニングしたあとはレコードをしっかり乾燥させる

レコードについた水分や湿気はカビの原因になってしまいます。湿式でクリーニングしたときは、ジャケットに戻す前にしっかりと乾燥させるようにしてください。

・静電気に気をつける

静電気はレコードの大敵です。ノイズの原因となるチリやホコリを吸い寄せてしまうほか、静電気そのものがノイズを発生させることもあります。冬場など静電気が起きやすい環境でクリーニングをする場合には、レコード用の静電気防止スプレーなどを使って静電気を除去するのがおすすめです。

AT6086

レコードクリニカ EP/LPレコード専用

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帯電防止効果でホコリからレコードを防護。

慈しむほどに恵みをもたらす。

針と溝の接点の精度を究極に高めた現代のレコード再生技術。
しかし、音が刻まれた溝を針がなぞって再び振動を起こし、音を蘇らせるという基本原理はエジソンの発明以来、現代でもなんら変わっていません。
だから、針と溝の間に「異物」が入り込めば、とたんに音楽も異物の犠牲に。
この心もとないバランスの上にようやく成り立っているのがレコード再生です。

クリーニングというひと手間で、あなたもその究極バランスの作り手になる。
クリーニングという地味な作業でさえ、不思議な魅力が隠されているレコード再生の奥深さ。ほんとうに計り知れません。

Words: Kikuchiyo KG