お気に入りの音に包まれる至福の瞬間、こだわりのデザイン、そして自分らしいスタイルとの調和。耳元を彩るヘッドホンは、音を届けるツールだけではなく、自分自身の個性を表現する大切な一部です。

音とスタイルを自由に掛け合わせる、My Headphone Style。第3回は自由奔放な感性で純粋な音像を描き出すミュージシャン・UCARY & THE VALENTINEのスタイルを切り取ります。

音、スタイル、そしてパーソナルなことを探るQ&A。

自己紹介をお願いします。

UCARY & THE VALENTINEです。ミュージシャンをしています。

最近はどんな音楽を聴いていますか。

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)に出会った日からずっと、彼女の作る音楽が大好きです。家で流す音楽は、もうノラ・ジョーンズ一択というくらい。ジャズなのでライブごとにアレンジも違えば、ギタリストのプレイも毎回変わる。でも、いつだって最高にかっこいい。永遠に大ファンです。

では、今までで最も聴いている曲も彼女の作品になりますか。

ノラ・ジョーンズに関しては、特定の曲に心を掴まれているというより、彼女が奏でる音楽全体が心地良いんです。 なので、 “人生のこの一曲” を挙げるなら、ビル・エヴァンス(Bill Evans)とジム・ホール(Jim Hall)の共演作『Undercurrent』に収録されている「Skating In Central Park」。自分のお葬式で流してほしいくらい好きです。曲はもちろん、ジャケットも本当にかっこよくて。歌のない曲が好きなので、ビル・エヴァンスもよく聴いています。

ジャズには以前から親しみがありましたか。

私の父と母がいろんな音楽を聴く人たちだったので、二十歳くらいまではその影響もあって、感覚だけで音楽に向き合えていたんです。でもそこからは、新しいジャンルを意識的に聴いて勉強するようになり、一度クラシックにハマったんですけど、いざ自分の曲に取り入れるとなると、少し壮大すぎるのかなと感じてしまって。

父がフォークやレゲエを好きなように、「私にとってのそういう音楽ってなんだろう?」って探したんです。求めていたのはただ美しいだけじゃなくて、どこか “悪口” のような毒っぽさやひねくれているような要素も含まれている音楽。そうしてジャズに辿り着いたのですが、とっても難解で、だからこそ面白いと思ったんです。一曲の中に、怒りも喜びもいろんな感情が混ざり合っている。その表現力の豊かさに魅了されました。

いつから音楽を作り始めましたか。

小学校5年生くらいからです。でも当時は恥ずかしくて、家でひっそり自作の曲を歌っているだけでした。転機は高校1年生の時。よく通っていたライブハウスの人に「バンドのボーカルをやってほしい」と誘われたんです。「楽器もできないし楽譜も読めないけれど、自分の作った曲なら歌えます」と伝えて、そこからはオリジナル曲を歌い続けてきました。 幼少期にピアノを習っていた時期もありましたが、どうしても楽譜が読めなかった(笑)。だから先生に一度弾いてもらって、それを神経を研ぎ澄まして耳と目で覚える。そのせいか、今でも記憶力はいい方で、人が忘れているような些細なこともよく覚えています。

最近、ライブを観て印象的だったアーティストを教えてください。

結構前になってしまいますが、一昨年のフジロックで観たキング・クルー(King Krule)が忘れられません。元々大好きでしたが、RED MARQUEEでのステージはもう、とんでもない領域に達していて。 圧倒的なステージを目の当たりにして、「この人は音楽の子供なんだな」と感じました。生身の人間だけであんなにも衝撃を与えてくれるバンドが存在することに、ただただ感謝したくなるような時間でした。

気になっているライブやフェスはありますか。

ドイツで開催されている「Fusion Festival(フュージョン・フェスティバル)」に行ってみたいです。あまり情報が公になっていないフェスなのですが、噂によると、ロボット同士が対決している背後でバンドやDJがプレイしていたり、スポンサーが一切入っていないからなのか、とにかく自由らしいんです。

そもそもドイツ、特にベルリンの街そのものが大好きで。テクノが根付いている街だからなのか、お店や街中で普通に流れている音楽がいちいちかっこいいんです。以前、楽器屋さんに行った時の光景が象徴的だったのですが、誰か一人がモジュラーシンセでビートを刻み始めると、周りにいた人たちが、自由に自分の好きな音を重ね始めるんです。

「周りに合わせる」という協調性とは少し違って、個々のスタイルがぶつかり合った結果、気づけばすごいライブが生まれているような感覚。音楽がみんなを繋いでいるけれど、決して群れない。終わればまた、それぞれ自分の時間に戻っていく。その心地よい距離感が、私にはすごく合っているんだと思います。

音楽が必要なシチュエーションはどんなときですか。

絶対に聴くのは、人が多い街中。そうすると、大嫌いなはずの人混みが違った景色に見えてくるんです。ちょっとした映画の登場人物になったような気分になれるというか。その時の季節や、自分が着ている服に合わせて選曲も変えています。

逆に、曲を作った直後の2日間くらいは、一切何も聴きません。制作後は興奮状態で、どんな曲もかっこよく聴こえてしまうので、一度耳をフラットにするんです。数日置いてから改めて自分の曲を聴き直して、良いと思えたら完成です。

好きな洋服のスタイルを教えてください。

どこかに「色」を置くこと。あとは、行く場所に合わせて、自分の中のギリギリのラインまで攻めたコーディネートを組んで、そこから微調整します。 基本的には、パジャマのままでも外に出られるくらい、可愛いと心から思ったものしか身につけません。

ご自身の「個性」は何だと思いますか。

楽譜が読めない、文字が読めない。気遣いが行き過ぎて喋りすぎてしまうところ。……あと、多分センスがいい(笑)。自分がハマったものが数年後に流行ったり、かっこいいと思った人が後に大活躍したりすることが多いので。自分のことは客観視できないけれど、人の才能を見つけるのは得意なのかもしれません。

最近、楽しいな〜と思った出来事を教えてください。

毎日楽しいことはたくさんありますが、久しぶりにセブンイレブンのアメリカンドッグを食べたら、美味しすぎてテンションがぶち上がりました(笑)。

あとは、何かを「やりたい」と思った時に、それをすぐ実行できる環境にいられることが、何より嬉しいし、幸せだなと感じます。

最後に、もし生まれ変わるなら何になりたいですか?

また旦那さんのTAPPEIくんに会えるなら、なんだっていいです。もし彼が蚊なら私も蚊として生まれたいし、彼が木なら私は鳥になってそこに住みたい。どんな姿でもいいから、また会いたいです。

ATH-HL7BT
ATH-HL7BT
ATH-M50xBT2
ATH-M50xBT2

My Headphone Style その他の記事

UCARY & THE VALENTINE

1992年9月16日生まれ。16歳で初めて結成したバンド “The Dim” は神戸を中心にカルト的な人気を誇り、2016年に自主レーベル “ANARCHY TECHNO” を立ち上げ、フリーランスとしての活動を始める。レーベル名にもなっている “ANARCHY TECHNO” という独自ジャンルを掲げたソロプロジェクトでの音楽制作だけでなく、くるり、銀杏boyz、木村カエラ、The Hiatusなど様々なアーティストのバックコーラスやゲストボーカル、CM楽曲提供なども務めている。また、国内外の雑誌やWebでのモデル活動、ANARCHY TECHNOのグッズデザイン、他アーティストのアートワークやブランドディレクションなど、音楽だけにとどまらず多方面で活動中。

Instagram

Words:Mizuki Kanno
Photos:Reina Tokonami

SNS SHARE