オーディオ機器接続の主要規格であるRCAケーブルとXLRケーブルは、構造と伝送方式に大きな違いがあります。RCAケーブルは信号線とアース線が非対称の「アンバランス伝送」、XLRケーブルはノイズを逆相で打ち消す「バランス伝送」を採用しており、XLRは特に業務用やハイエンド機器で高い優位性を発揮します。
このように「ケーブルで音が変わる」という考え方がオーディオ業界に認識されたきっかけのひとつに、1970年代後半の江川三郎氏による実験があります。導体の純度や構造が音に作用することが明らかにされ、高音質ケーブル市場は急速に発展していきました。
素材でいうと、一般的な電線の導体材料といえば銅ですが、より良い音質を求めて多様な金属が試されてきました。たとえば銀は当初、音のバランスが偏ると敬遠されていましたが、技術の発達により金属から不純物を極限まで除去することが可能となった結果、超高純度の銀導体が開発されたことで普及していきました。
近年は金やプラチナを含むハイブリッド線や、信号の流れを最適化するために生み出されたPC-Triple C/EXといった革新的構造も登場し、周波数特性を精密に制御する設計が進んでいます。
物理構造では、一本の太い芯線である単線は力強い音、複数の細い線を束ねた撚り線は繊細な音が特徴です。また、芯線の構成だけでなく外被覆の制振性も音質に大きく関与するほか、導体を保護する絶縁体の素材も音の質感を左右します。
また、端子技術も進化しています。一般的なRCA接続では安定した接続を実現するコレットチャック方式、スピーカー端子では導通性能に優れるYラグ、そして電源端子では金やロジウムといった貴金属メッキが現在では標準とされており、最終的な音質傾向を左右します。
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Words & Edit:May Mochizuki