東京都立川市にある「PLAY! 」は、美術館(PLAY! MUSEUM)と子どもの遊び場(PLAY! PARK)を中心とする複合文化施設。 広い空間でアートやユニークな遊具を楽しめる、親子のお出かけ先として注目の遊び場だ。

オーディオテクニカは創業60周年を機にアナログ・レコードの魅力をより多くの人に知ってもらうべく、さまざまなコンテンツを展開してきた。 その一環として2022年はPLAY! PARKと共に、子どもたちが音や創作遊具で遊んだりワークショップでレコードや音作りが体験できる『みんなで音をさがそう! Let’s! PLAY! SOUND PARK』を実施した。

2度目のコラボレーションとなる今回はその取り組みを拡大し、2023年10月22日から2024年3月31日までの期間『Let’s! PLAY! SOUND with Audio-Technica』として、さらに新しい音遊びの場を用意した。 今回はこのイベントの特徴や込められた思いについて、PLAY! PARKでキュレーターとして活躍する川合由美さんに話を伺った。

PLAY! PARKでキュレーターとして活躍する川合由美さん

川合さんはキュレーターとしてどのようなお仕事をされているのですか?

私はPLAY! PARKで少しへんてこで面白い遊具をつくったり、楽しいワークショップを企画したりしています。 私がPLAY! のチームに参加したのは2020年6月のオープンから約一年経った頃です。 それまでは大学で空間デザインを勉強していて、その時の大学の先輩から運よくお話をいただき、PLAY! に流れついてしまいました。

素敵なご縁があったのですね。 学生の頃と今とで、PLAY! の印象は変わりましたか?

まだ大学生だったころお客さんとしてはじめてPLAY! に来た時も、3年目のキュレーターの今も変わらずとてもユーモラスな場所です。

オーディオテクニカとのコラボレーションの第1回は、2022年に開催した『みんなで音をさがそう! Let’s! PLAY! SOUND PARK』でしたね。 そのときの率直な感想などあればお聞かせください。

PLAY! PARKでは企業さんとのコラボはこのイベントが初めてだったので、子どもたちに提供できるものの幅が大きく広がる予感がしてとてもワクワクしていました。

あまり外にプレゼンしに行くこともなかったので初めて御茶ノ水にあるテクニカハウスで企画の提案をさせていただいたときは一緒にキュレーターをしている小栗と2人で大丈夫かな…?とドキドキしていました(笑)。 ですがとても柔軟に面白がっていただいたので安堵してPLAY! に戻ったことも覚えています。

タコ足鍵盤ハーモニカ
くるっと木琴
第1回のコラボレーション『みんなで音をさがそう! Let’s! PLAY! SOUND PARK』で登場した創作遊具「タコ足鍵盤ハーモニカ」と「くるっと木琴」のイメージイラスト。 2022年11月から2023年7月9日までの期間、PLAY! PARKに設置された。

そうでしたか(笑)。 オーディオテクニカとの取り組みは2回目となりますが、企画にはどのような思いが込められているのでしょうか?

1つテーマとして「音の原体験」があります。

PLAY! PARKではあそびから子どもたちの興味の幅を広げ、きっかけとなる入口を提供しています。 このイベントでも、音楽という入口ではなく、レコードの形や機械的な面白さから子どもたちに興味を持ってもらったり、普段見たことのない形の楽器に触れることで、音を探し、音って楽しい!もっと知りたい!と思ってもらえるような企画を提案しました。

私自身、音を提供する人たちは楽器ができる人、歌がうまい人、かっこいいけど難しいという印象がありましたが、オーディオテクニカの担当者さんからヒアリングするなかでどんどん簡潔になり、難しいものから楽しいものとして企画を考えることができたのでとても良いコラボになったなと思っています。

音の原体験

今回のイベントは2023年10月からはじまっていますが、いつものPLAY! とはどのような部分が違うのでしょうか?遊べる内容はもちろんですが、子どもたちのリアクションに変化はありますか?

PLAY! にもピアノや木琴など楽器はありますが、今回のコラボイベントは少し違う音とのふれあいになっているので、その学校ではできない感じや、実際に見たことはあるけど使ったことのないレコードで音楽を聴くことへの新鮮な反応が見られました。

またターンテーブルや、ヘッドホン、マイクなどの既存のオーディオテクニカの機器をベースにコンテンツを考えられたことも今までとは違う取り組みになったので、ビジュアル的にもかっこよく新鮮でした。

ターンテーブルや、ヘッドホン、マイクなどの既存のオーディオテクニカの機器をベースにコンテンツを考えられた

子どもたちが自ら遊び方を見つけたり五感で楽しむ場は、大人がなかなかできない ”アナログ” な遊び方と捉えられると思いました。 川合さんの思うアナログの魅力についてお聞きしたいです。

現代だからこそのアナログの良さは様々な分野で広がっていると思います。
子どもたちに限らず、便利なことも増えていて必要な情報を得るための最短ルートが当たり前な世の中ですが、寄り道も自分の興味を見つけるためにとても大切だと思います。 その寄り道のためにPLAY! PARKで体験できるアナログな遊びはとても魅力的だと思います。

レコードを聴くことも、アナログな遊びのひとつといえますね。

ストリーミング再生がここ数年でどんどん広がっていて、子どもたちも大人たちも一曲がどんな曲なのかじっくり聴くというより、フィーリングで膨大な楽曲の中から好きな音楽を見つけることを当たり前にしているので、手間をかけてレコードで聴くことは、体験としては別物なんだろうなと感じます。

音を聴くためにレコードをセットしているというよりは、レコード盤を選んで、針を置いて、レコードを回して音を聴くという一連の流れに価値を見出しているような気がします。

レコードを聴くことも、アナログな遊びのひとつ

PLAY! PARKには他にはない遊びの道具がたくさんありますが、どのような視点やこだわりをもって遊具をキュレーションされているのでしょうか?

PLAY! PARKにはすべり台やジャングルジムといった既存の遊具がありません。 遊びを作るのはキュレーターだけでなく、子どもたちと直接かかわる運営スタッフや、遊具開発を手伝ってくれる学生、そして一番大切なのは遊びに来てくれる子どもたちと大人たち。 キュレーターとしてある程度方向性を決めて子どもたちに提供していきますが、そこでキュレーションは終わりではなく、みんなで遊んでいきながら遊びを更新していくので、余白のあるものを大事に企画をしています。

PLAY! PARKにはすべり台やジャングルジムといった既存の遊具がありません

それと、子どもだから・大人だからという線引きをなるべくしないように心がけて企画をしています。 子どもは大人が小さくなっただけ、大人も子どもが大きくなっただけで、一人一人に個性があります。 みんなが楽しいことはもちろんですが、その中でもその人が楽しい遊びを見つけられたり、楽しいを共有したり、広がっていけるコンテンツを生み出していきたいです。

子どもだから・大人だからという線引きをなるべくしないように心がけて企画
その人が楽しい遊びを見つけられたり、楽しいを共有したり、広がっていけるコンテンツを生み出していきたい

子どもたちの遊び場ということはもちろんですが、PLAY! PARKは大人にとっても新しい遊びや気付きを見つけられる空間だと思います。

PLAY! PARKは遊び方に決まりのない施設なので、初めて来場される大人の方は子どもたちに何ができるのか不安になられる方も多いです。 ですが子どもたちはみんな遊びを見つけるプロなので、そんな心配はそっちのけで楽しんでいる。 その姿を見て、周りにいる大人たちが「こんな単純なことで大丈夫なんだ」と気がつくように、子どもたちに学びを提供するというよりは子どもたちを解放して大人が子どもたちから発見を得られるような施設にしていきたいです。

PLAY!

PLAY!

東京都立川市にある美術館(PLAY! MUSEUM)と子どもの遊び場(PLAY! PARK)を中心とする複合文化施設。
PLAY! MUSEUM(プレイミュージアム)は、絵とことばがテーマの美術館。
PLAY! PARK(プレイパーク)は、子どものための屋内広場。
大人も子どもも楽しめる、「ありそうでなかった」があふれる場所です。

Let’s! PLAY! SOUND
with Audio-Technica

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Photos:PLAY! PARK
Edit:May Mochizuki