「レコードの色は?」と聞かれたとき、皆さんはなんと答えるでしょうか。真っ黒な盤面を思い浮かべて、「黒」と答える方がほとんどだと思います。

それでは、いったいなぜレコードは黒いのでしょうか?これだけ黒いレコードが一般的なのには、なんらかの理由があるはずです。

そこで今回はレコードが黒い理由について、音質や他の色が付いたレコードの話題を交えながらご説明します。

レコードが黒い理由

結論から言えば、レコードが黒いのは、盤面に「カーボン(カーボンブラック)」が混ぜられているためです。その理由を理解する背景として、まずレコードの原材料について確認しておきましょう。

レコードが登場した当初、原材料にはシェラックと呼ばれる樹脂が用いられていました。最初期のレコードである78回転のSP盤は、シェラック製というわけです。ちなみに、このころからレコードの色は黒がスタンダードとなっていました。

シェラックは割れやすいという難点を抱えていたため、その後1940〜1950年代になると、塩化ビニール製の「ヴァイナル(ビニール)盤」が主流になります。

塩化ビニールは無色透明の素材です。しかしヴァイナル盤を作る際には、硬度・強度を上げたり汚れを見やすくしたりする目的で、黒いカーボンが混ぜ込まれます。これが、レコードが黒い理由です。

黒以外のレコードはある?

レコードの色による音質の違い

レコードの色は黒がスタンダードですが、中には色鮮やかな見た目の「カラーレコード」も存在しています。塩化ビニールにカーボンではなく顔料を混ぜ込むことで、盤面を着色したものです。

レコードの色による音質の違いは?

ところで、色によってレコードの音質にも違いが出るのでしょうか?以降では、レコードの色と音質の関係性についてご紹介します。

前提としてこの件については、はっきりと検証されたエビデンスがありません。断言することはできません。また音質の良い・悪いは、各自の感性や好みによって差が出やすい問題でもあります。そのため、あくまで参考としていただければ幸いです。

さて、一般的にカラーレコードは、黒いレコードよりも音質が悪いと言われることがあります。

前述のとおり、黒いレコードはカーボンが混ぜ込まれているため、カラーレコードよりも硬度・強度が高くなります。そして黒いレコードはその硬度・強度から低音域がタイトに聴こえ、カラーレコードよりも音質に優れると考えられるのです。

しかし一方のカラーレコードも、「材質が柔らかいことで音質がマイルド」になると言われることがあります。

低音が響く音質が好きな人、高音の伸びが良い音質を好む人、トータルバランスの良さを好む人……など、好きな音は人によって違うものです。繰り返しになりますが、ここでは「色によって音質も違う“らしい”」という程度に捉えてください。

音質の良いカラーレコードもある?

ところで、ベテランレコードコレクターの間にはこんな都市伝説もあります。曰く、「『東芝の赤盤』は音が良い」と言うのです。

東芝の赤盤とは、東芝音楽工業が60年代から70年代初めにかけて、川口工場でプレスしていたレコードです。素材にホコリの付着を防ぐ帯電防止剤が入れられており、「エバークリーンレコード」とも呼ばれていました。

東芝の赤盤は、特にビートルズファンに人気があったレコードです。同じ東芝の黒いレコードと比較しても、ベース音が低音まで良く伸び、全体的にリアルで深い音質が楽しめると言われています。なお、黒盤の方もバランスよくまとまった音質で、高い評価を受けているそうです。

まとめ

今回はレコードが黒い理由や、色による音質の違いについてご説明しました。もし機会があれば、黒いレコードとカラーレコードを聴き比べてみるのも一興かもしれません。