これまでの規制や制限が大幅に緩和されて、今年の夏はコロナ禍以前のようなお祭りが日本各所で開催されていますね。 ところでみなさんは「レコードの日」というものがあるのをご存知でしょうか。 いわば、年に一度のレコードのお祭りの日です。

レコードのお祭りは、冬と春にやってくる

日本レコード協会が1957年11月に制定したもので、「レコードは文化財」であるという観点から、文化の日、つまり11月3日に設定されています。 現在は、レコード・プレス・メーカーの東洋化成株式会社が音頭を取って、 “レコードの普及” を目的に2015年から毎年様々な企画を展開。 レコードの日に合わせてタイトルがリリースされるほか、レコードショップではこの日に合わせてイベントが実施されるお祭りイベントとなっています。 注目のミュージシャンがアンバサダーを務め、2022年はこの日に約200タイトルものレコードが発売されたほか、2021年から2DAYS開催となっており、昨年は11月3日と12月3日に実施されました。

そして、「レコードの日」の発端とも言えるイベントが、「Record Store Day(レコード・ストア・デイ)」です。 こちらは、2007年に独立系レコードストアのオーナーとスタッフが集まって考案されたものです。 米国内の1400店近くの個人経営のレコードストアと、世界中の何千もの同様のレコードストアを取り巻くユニークな文化を祝福し、普及するために考え出されました。

毎年4月の第3土曜日に実施され、記念すべき最初のRecord Store Dayは2008年4月19日に開催されました。 その際、アメリカ出身の伝説的なヘヴィメタル・バンド「Metallica(メタリカ)」が、サンフランシスコのレコードショップ「 Rasputin Music(ラスプーチン・ミュージック)」でインストアライブ・イベントを開催してファンとの交流を深めたことは、もはや記念碑的な出来事となっています。 (この時の演奏動画はYoutubeでも見ることができます。 )

これをきっかけとして、Paul McCartney(ポール・マッカートニー)やNorah Jones(ノラ・ジョーンズ)、Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)など、著名ミュージシャンが賛同を表明。 その後、数多くの独立系のショップを巻き込んで大きな流れへとつながって今日に至ります。 この日は、やはりスペシャルなレコード盤やプロモーション製品が多数リリースされるほか、お祭りとしてパフォーマンスやパレード、そしてDJイベントなどが盛大に執り行われます。

なお、Record Store Dayは、15 年間にわたってニューヨーク、ロサンゼルス、ボイジー、チャールストン、ローリー、ラスベガスなど全米の都市が公式の休日と宣言してきたほか、2013年には共同創設者のMichael Kurtz(マイケル・カーツ) が、フランス国民の文化的および芸術的生活に対するRecord Store Dayの貢献を称えられ、フランスの芸術文化勲章シュヴァリエを授与するなど、まさに世界規模の祭典として広く知られています。

日本でもレコード店でも Record Store Dayには多くのお客さんで賑わう光景を見ることができます。 やはり、お祭りっていいですよね。

Record Store Dayについてはこちらの記事でも紹介しています:円盤好子のアナログジャーニー~RECORD STORE DAY~

Words:Saburo Ubukata