レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。

第35回のテーマは「ドーナツ盤って普通のレコードと何が違うの?」です。 会社の机に広げられた数枚のシングル盤。 よく見ると同じ7インチのレコードなのにちょっと穴の形が違うものが…。 なんだこれは!?

円盤好子とH先生のプロフィール

こんにちは、円盤好子です。 レコードにはいくつか種類があります*。 その中で、私が最近気になっているのが7インチ盤。 主にシングルやミニアルバムが収録されています。

*違いについてはこちらの記事をチェック:レコードの種類と違い〜オーディオライターのレコード講座〜

会社にある7インチ盤で少し変わった見た目のものを見つけました。 このレコードはなんだろう…?私が知っているのは、真ん中に穴がありドーナツの形をしたものです。 きっと何か理由があるはず!

ということで早速、アナログの師匠であるH先生に質問しました。

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円盤:このレコード、手裏剣みたいなのが真ん中にはまってます…!何か意味があるんでしょうか?

このレコード、手裏剣みたいなのが真ん中にはまってます

H先生:もちろんあるよ。 再生するにはプレーヤーにはめるわけだからレコードの形が違うということは再生側とも関係があるってことだよね。 OK、それを説明しやすいものがあるから、今度連れてってあげるよ。 来週水曜日に集合ね~。

ー数日後、とあるカフェにて。 ー

円盤:H先生、これって前に私が見つけた手裏剣入りのドーナツ盤ですか?

H先生:そうそう。 これは「EPアダプター」といって、ここを取り外したりつけたりできるんだよ。 中古ストアではたまにこういうEPアダプターがついたままのレコードもあるけど、プレーヤーに付属してたりするからそれを使う場合がほとんどだね。 このレコードを見たことがない人も多いと思う。

これは「EPアダプター」といって、ここを取り外したりつけたりできる

H先生:再生するプレーヤーに合わせてこの真ん中の部分をくりぬくんだよ。 グッと押すだけでくりぬけるよ。

円盤:へー!すごいですね!プラモデルみたい…!

H先生:この穴がドーナツ盤といわれる所以だね。 なんでだと思う?

円盤:んー、不良品?穴があるものしか見たことがなかったので、私にとっては新鮮です。

H先生:不良品ではないよ(笑) 。 レコードプレーヤーにはセンタースピンドルっていう軸があるんだけど、レコードを再生するにはここに差し込める穴があれば、これだけでも再生は可能。 じゃあ逆に、ドーナツ盤が存在する理由を考えてみて?

円盤:んー、、センタースピンドルの直径が太いプレーヤーがあるから、とかでしょうか?

H先生:大枠は合ってるね!実際に見た方が早いかもしれないから、今日はこのカフェの秘密兵器を特別にマスターに用意してもらったよ。

オートチェンジャーっていう、レコードの盤を切り替える機能がついたプレーヤー

円盤:これがレコードプレーヤー?デザインが可愛らしいですね!そして何より小さい。

H先生:オートチェンジャーっていう、レコードの盤を切り替える機能がついたプレーヤーで、これは自宅用に作られた小型のものだよ。 もう知ってると思うけど、レコードはCDみたいにボタンひとつで曲送りができないよね。 アルバムで曲を替えるためには針の位置をずらすし、シングル盤なら盤を取り替える。 その盤の取り替え作業をオート化したのがこの機械だよ。 ジュークボックスって聞いたことない?

円盤:洋画でバーにいるシーンとかに出てくるイメージはあります!実際に動いているのは見たことがないですが…

H先生:じゃあ動かしてみよう。 これは針が悪くなってるから再生ができないけど、見てて。 ここを押すと…

(マスターのご厚意で電源を入れてみることに…)

円盤:盤が落ちた!!!

H先生:そう。 こうやって切り替わることで、シングル盤を手間なく再生することができるんだ。 画期的だよね。

円盤:これを考えた人は頭が柔らかいですね。 盤ごと替えればいいなんて…!

H先生:これでドーナツ盤が存在する理由がわかったよね?プレーヤーの規格に合わせて、穴をくりぬくかどうか選べたんだよ。 ものによっては付け外しが自由な盤もあるよ。 いわゆるアダプターだね。

円盤:なるほど!じゃあこれまで私が見てきた穴が大きなシングル盤は、最初に買った人たちが穴をくりぬいたものなんですね。 このプレーヤーを見ることができて全てが腑に落ちました。

H先生、マスター、ありがとうございます!

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以前よりも多くのレコードを目にする機会が増えているはずなのに、まだまだ知らないことだらけ。 7インチ盤についてもっと知りたくなった一日でした!

最後に、今回お忙しい中貴重なプレーヤーとレコードをご紹介いただいたGINGER.TOKYOのオーナー髙山さん、本当にありがとうございました。

Words & Photos:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki
Cooperation:GINGER.TOKYO