アンプやプレーヤーの背面に並ぶ接続端子。最も一般的な「RCA端子」と、高級機やプロ用機材に見られる「XLR端子」、一体何が違うのでしょうか?
前編では、意外と知らないそれぞれの端子の由来や構造、そして「アンバランス」「バランス」という呼び名の定義について。さらに、RCAケーブルの「方向性」の知識まで、オーディオライターの炭山アキラさんが詳しく解説します。
RCAとXLR、端子の由来と接続の基本ルール
皆さんがお使いのアンプやディスクプレーヤーなどには、どんな接続端子が装備されているでしょうか。大半の場合、同心円状の端子にケーブルをつないで、プレーヤーからアンプへ音楽信号を受け渡しているのではないか、と推測します。
これを「アンバランス接続」といい、一般にジャック(機器側)およびプラグ(ケーブル先端)のことを、ピンジャック/ピンプラグ、あるいはRCAジャック/RCAプラグとも呼びます。20世紀アメリカの巨大電機メーカーRCA(Radio Corporation of America)がその原型を作ったことで、この呼び名が付きました。
一方、オーディオ装置グレードが上がるにつれ、一部メーカーの製品で増えてくる接続端子があります。丸いスリーブの中心部で3本の端子が接続されるXLR端子です。米Cannon社が開発した端子なので、キャノンジャック/プラグとも呼ばれます。これを「バランス接続」といいます。
RCAケーブルやXLRケーブルなど、インターコネクトケーブルと総称される製品群は、スピーカーケーブルと違って左右でプラスとマイナスを間違えるという事故は起きません。しかし、入力側と出力側で左右が入れ違わないように注意しましょう。具体的には、プラグのスリーブに赤いラインが入っていたり、全体が赤い樹脂で成形されていたりする方が右、同じように白だったり黒だったりする方が左と覚えておきましょう。
また、入力端子の左右が縦に並んでいるアンプが珍しくありませんが、それはごくごく少数の例外を除き、上が左で下が右と配列されているものです。
ケーブルの「方向性」で音は変わる? 構造の秘密
RCAケーブルは入り口側と出口側に全く同じプラグが用いられていますが、一部の製品で「方向性」に気をつけなければならないことがあります。多くのRCAケーブルは中心導体に1本の導線、周辺導体にシールドを兼ねた編組線をはんだ付けした、いわゆる1芯シールド構造が採用されています。というか、RCAプラグは本来1芯シールドケーブルと相似形にして開発された、とても合理的なものなのです。
ところが、1芯シールドケーブルはプラス側とマイナス側で大幅に導体の断面積や態様が違ってしまうものですから、オーディオ的な視点ではあまり好ましくありません。そこで、その条件をそろえるために2芯シールドケーブルが用いられている製品があります。2芯のそれぞれにプラスとマイナスの信号伝送を担わせ、シールド用の編組線をマイナス側の上流端か下流端へ接続して、導通のバランス良さとシールドを両立したケーブルです。シールド線を上流端と下流端のどちらへ接続するかは、メーカーによってさまざまな考え方があって、どちらとは決められていません。
そういった次第ですから、2芯シールドタイプのRCAケーブルには厳密な方向性があります。とはいっても、方向性を逆につないだら音が出なくなるとか機器が壊れるといったものではなく、メーカーが規定した音質ではなくなる、ということですけれどね。買ったはいいけれどもう一つ音がしっくりこない2芯シールドケーブルがあったら、試しに方向性を逆につないでみると音質傾向が変わって、ひょっとするとよりあなたにとって好ましい音質になってくれるかもしれません。ダメモトですから、一度試してみる価値はありますよ。
一方、XLRケーブルは方向性の指定が一切ありません。なぜかというと、XLRプラグは音の入り口側にメス端子、出口側にオス端子が装着されているからです。逆につなぎようがないのですね。ということはつまり、ケーブルを2本以上直列につないで使うことも可能というわけです。普通こんなことはしませんし、決してお薦めするものでもありませんが、超マニアの中には異種XLRケーブルを重連して双方の音質傾向を重畳させ、チューニングに活用している人がおいでです。
「アンバランス」は音が悪い? 「バランス」の仕組みを知る
RCA端子の「アンバランス接続」というと、何だか語感が悪くて、これじゃ不完全なのか、音が不満足なのかとお感じの人がおられるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
後述する「アース浮き」問題や、特に廉価なプラグでは、抜き差しを繰り返すとマイナス側の接点が徐々に広がってしまい、導通に不備が生じてしまうことがあるなど、オーディオ的には100%といえない端子ですが、世界中のオーディオエンジニアが規格の範囲内でこれでもかと高品位なプラグ/ジャックを開発し、そのクオリティを底上げしてきました。おかげで現在のオーディオ界では、世界中で揺るぎなきデファクトスタンダードとなっています。
それでは、RCA接続はなぜアンバランスなどという人聞きの悪い名前で呼ばれているのでしょう。それは、中心導体のホット(プラス)側のみに増幅回路が備えられており、コールド(マイナス)側はアースにつながっている、という回路構成だからです。
一方、XLR接続はホットとコールドの両方に増幅回路がつながっていて、プラス側からもマイナス側からも音楽信号が流れており、つまりホットとコールドでプラス/マイナスの極性こそ違うものの、同等の動作をしていることになります。それでバランス接続と呼ばれるのですね。
XLR端子にはホット(プラス)、コールド(マイナス)、アース(GND)の3本の端子が備わっています。多くの場合は2番がホット、3番がコールド、1番がアースとなっていますが、一部2番と3番が入れ替わっている製品があります。1番は信号線の外側を走るシールド線につながっており、これをアンプやプレーヤーなどのアースへ落とすことによって、信号線へのノイズの侵入を抑えています。なおアンバランス伝送の場合は、1芯シールドならマイナス側の導体がシールドを兼ね、2芯シールド線は信号線の外側のシールド線を、信号線のマイナス側へ落としています。
続く後編では、なぜプロはXLRを使うのかという「ノイズ」の仕組みから、家庭用オーディオにおけるRCAの実力、そして実際にケーブルを交換して好みの音を見つける楽しみ方まで、さらに深掘りしていきます。
Words:Akira Sumiyama