久々に針を落とした昔のレコード。思い出が蘇る一曲一曲。懐かしさにひたること十数分。
ん?聞き覚えのない変なザラつき音が。あわてて針先を見ると、こんもりとした綿ぼこりが針先に。
フッと息を吹きかけると、見事に綿ぼこりはどこかに。さて再チャレンジ。

でも、ちょっと待って。その針先には見えない汚れがこびりついているかも。
こういう時はスタイラスクリーナーの出番です。
針先にこびりついた見えない汚れを取り除いて、すっぴん針にすれば、音も気分もスッキリ。

針先(スタイラス)は最も過酷な音の現場

レコードの針先

音溝をなぞって、電気信号の素になる振動を生むスタイラス(カートリッジの針先)。
LPレコード一周分の音溝の長さは400m〜500mにも及びます。針先は直径0.25mm。小さな針先にとって、この距離はまことに長大。しかもずっと音溝をこすり続けるという何とも過酷な役割を担っているのがスタイラスなのです。
この長旅をする間に針先にはさまざまな汚れが付着していきます。
たとえ新品のレコード盤でも、針先が汚れたままだと汚れとともに音溝をこすることになり、音質に悪影響があるばかりか、レコード盤を傷める結果を引き起こします。

針先(スタイラス)をすっぴんにするスタイラスクリーナー

針先は定期的にクリーニングする必要があります。普段の針先のクリーニングは、専用のブラシを使います。目に見える大きなホコリなどはこれで除去できます。
でも、もっと微細な汚れが針先にこびりついていることがあります。そんな時は、専用のクリーナーである「スタイラスクリーナー」を使うのがおすすめです。

スタイラスクリーナーは湿式と粘着式の二種

湿式クリーナーと粘着式クリーナー

スタイラスクリーナーは、液体で汚れを溶かし出す「湿式」と、柔らかいゲル素材に針を押し当てて汚れを剥がす「粘着式」があります。

湿式では、洗浄液を染み込ませた専用ブラシで針先をなでるようにしてクリーニングします。
注意点は、ヘッドシェルの根本から針先へ一方向に動かすということです。決して往復させたり、横方向に動かしたりしてはいけません。針先の損傷を招きます。
また、液体が針の根本やカートリッジ内部に侵入しないようにすることも大切です。ゴム部品や電装部品を傷める可能性があります。カートリッジ製品によっては湿式を禁止しているものもあるので事前に確認しましょう。
クリーニング後は、針先が乾燥しているのを確かめてからレコード盤を再生するようにします。
弊社の湿式スタイラスクリーナー「AT607a」をご案内します。

AT607a

スタイラスクリーナー

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キャップにブラシが付いているから、ワンタッチ&スマート。ブラシを紛失する心配もありません。また速乾性の特殊液なので、濡れた針先にホコリが再付着するのを防ぎます。

粘着式では、ゲル素材の表面に針先を軽く押し当てます。ゲル素材は、粘着性が長期間維持できるポリウレタンゲルがおすすめです。汚れがついて粘着力が落ちてきたなと思ったら水洗い。粘着力が復活します。
粘着式のスタイラスクリーナーなら「AT617a」をラインナップ。

AT617a

スタイラスクリーナー

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高品質の日本製ゲル素材だから、粘性が長期に持続。水洗い可能で、洗うたびに粘着力が復活するという優れもの。

いずれの方式でも、ヘッドシェルごとトーンアームから取り外して、針先をしっかり視認できる状態で行います。

まとめ

レコードの音溝を針先が走る。そこは音楽の感動を生む場所。しかし振動とホコリにさいなまれる過酷な環境でもあります。
針先を守り、レコードを守る。それは音楽を守ること。
針とレコードをぜひすっぴん同士で引き合わせてあげましょう。この二人の本来生まれ持つ力を存分に発揮させれば、聴き慣れたレコード盤から、また新たな感動が生まれるに違いありません。

Words:Kikuchiyo KG