レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。

第23回のテーマは「お手入れのあれこれ」。 レコードの大敵といえば、空中に舞うホコリや触ることで盤面についてしまう手指汚れ。 これらが付着したまま放置しておくと、音質の劣化に繋がります。 大切なレコードのお手入れ方法をさぶろう先生に伝授してもらいましょう!

円盤好子とさぶろう先生のプロフィール

こんにちは、円盤好子です。 突然ですが、皆さんはお部屋の掃除はどのくらいの頻度で行っていますか?私は2~3日に1回は軽く掃除をするように心がけています。 …忙しい時期はちょっとだけ怠けたくなる時もありますが(笑)お部屋が綺麗になると「やっぱりやってよかったな〜」って嬉しくなって、お掃除後に飲むコーヒーはなんだかいつもよりちょっぴり美味しく感じます。

掃除が必要なのはレコードも同じ。 そこで今回はオーディオのプロ、さぶろう先生にレコード再生を楽しむために必要なメンテナンス方法を解説していただきます。 それでは先生にバトンタッチ!

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バトンを頂きました、さぶろうです。 みなさんご機嫌いかがでしょうか。 今日はお掃除のお話です。 アナログレコードは、盤面の汚れ自体が直接再生ノイズとなってしまうので、定期的なクリーニングが欠かせません。 クリーニングには、大切なレコードを痛めないよう市販のクリーニングツールを使うのがオススメです。 そこで今回は、頻度や汚れ具合に応じたクリーニンググッズをご紹介しましょう。

再生時に行うお手入れ…乾式クリーニング

普段のお手入れとして、レコードを再生する前にサッと掃除するのがもっとも手軽かつ効果的なクリーニング方法です。 ベルベットなどが付いたクリーナーで、レコードを溝方向に沿って撫でることでホコリやゴミを取り除きます。

シンプルな乾式クリーナーはいくつかの製品が市場に存在しますが、ホコリを取るベルベット面が大きくお手入れしやすいオーディオテクニカ製クリーナーが定番のロングラン製品です。 もっとも安価なものとして乾式タイプの「AT6012Xa」があります。

もっとも安価な乾式タイプの「AT6012Xa」
AT6012Xa

そのほか、お値段は高めですが、ホコリや静電気(後述します)を除去できるソフトブラシ型のクリーナーもあります。 独自の特許技術使用のSFC「SK-Ⅲ RHODIUM」は、なんと警察の現場鑑識でも使われるほどの信頼性を誇るクリーナー兼除電ブラシです。

著しく汚れてしまった場合に行うお手入れ…湿式クリーニング

ホコリなどの細かなゴミが盤にまとわりついている程度の汚れは乾式クリーニングで充分ですが、手脂や液体などが盤面に固着してしまった場合は湿式クリーニングが必要になります。 湿式クリーニングは、クリーナーと専用のクリーニング液を組み合わせて行ないます。

オーディオテクニカ製では、先述の乾式タイプのクリーナーの中に専用クリーニング液を注入して使える製品があります。 使い方は簡単で、本体に専用クリーニング液を入れて、盤面を溝方向に撫でるだけです。

方向性のあるベルベットを使用し、なおかつ専用クリーニング液が付属する乾式と湿式両対応の 「AT6012a」に加えて、上位モデルとして、クリーナー本体に乾式面と湿式面を別に備える2way構造を採用するとともに、クリーニング液の浸透具合を表示するカラーインジケーター搭載の「AT6018a」があります。 湿式クリーニングのあとは、最低でも数十分ほどレコードを乾かしてから針を落とすようにしましょう。

専用クリーニング液が付属する乾式と湿式両対応の 「AT6012a」
AT6012a
クリーナー本体に乾式面と湿式面を別に備え、クリーニング液の浸透具合を表示するカラーインジケーター搭載の「AT6018a」
AT6018a

ホコリや汚れの付着を防止するお手入れ…帯電防止スプレー

レコードはビニールでできているため、静電気が溜まりやすくなっています。 帯電するとホコリが吸着して離れなくなってしまうほか、ノイズや音質低下の原因にもなります。 そのため、先にご紹介した除電ブラシを使ったり、掃除の後に静電気帯電防止スプレーを使用するのがオススメです。

オーディオテクニカ「AT6086」は、軽くレコードにスプレーしてから乾式クリーナーで拭くだけで静電気の帯電を防止することができます。

定期的に行ないたい針先のお手入れ…スタイラスクリーナー

クリーニングが必要なのはレコード盤だけではありません。 レコードの音溝をなぞるカートリッジの針先にも汚れが溜まります。 そこで登場するのがスタイラスクリーナーです。

手軽なものとしては、粘着ゲルタイプがあります。 オーディオテクニカ「AT617a」がそれで、粘着ゲルに対して針先を何度か軽く押し当てることで付着した汚れを取ります。 ゲル部分は水洗いすることで何度も繰り返し使用できるので経済的です。

オーディオテクニカ「AT617a」は、粘着ゲルに対して針先を何度か軽く押し当てることで付着した汚れを取ります
AT617a

一方で、専用のクリーニング液を使うタイプもあります。 オーディオテクニカ「AT607a」は、クリーニング液容器のキャップの先についたブラシで針先を撫でて掃除します。 クリーニング液を使うことで、より強力に汚れを落とすことができます。 ブラシタイプのクリーナーは、針先を痛めないためにも、針先に対してレコード盤が進む方向のみにブラシを動かしてクリーニングすることが重要です。 速乾性ではありますが、こちらも湿式クリーニングと同じく、クリーニングが終わったら、ある程度針先を乾かしてからレコードに針を落とすようにしましょう。

オーディオテクニカ「AT607a」は、クリーニング液容器のキャップの先についたブラシで針先を撫でて掃除します
AT607a

スタイラスのクリーニングは再生時に毎回行なう必要はありません。 針先にホコリや汚れが溜まってきたなと思ったときに、針先を痛めないよう慎重に行うようにしてください。

レコードを良い音で末永く楽しむためには、日頃のお手入れが欠かせません。 そこまで神経質になる必要はありませんが、今回ご紹介したような使いやすいクリーナーを手元に揃えておくと、ストレス少なくお手入れすることができるのでオススメですよ。

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クリーナーだけでもこんなに種類があるんですね。 レコードの盤面はホコリを防ぎたいならスプレーを使って、普段のお手入れは乾式クリーナーでサッと拭く。 ちょっと汚れている時は湿式クリーナーでしっかりお掃除することもできるし、レコード針の先は時々のお掃除でOK…うん、私でもできそう!

では!

Supervision:Saburo Ubukata
Words:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki