今、世界的な再注目の最中にあるアナログ・レコード。 デジタルで得られない音質や大きなジャケットなどその魅力は様々あるが、裏面にプロデューサーやバックミュージシャン、レーベル名を記した「クレジット」もその1つと言えるだろう。

「クレジット」――それは、レコードショップに並ぶ無数のレコードから自分が求める一枚を選ぶための重要な道標。 「Credit5」と題した本連載では、蓄積した知識が偶然の出会いを必然へと変える「クレジット買い」体験について、アーティストやDJ、文化人たちが語っていく。 あの人が選んだ5枚のレコードを道標に、新しい音楽の旅を始めてみよう。

隅倉弘至が考える「アナログ・レコードの魅力」

ほぼ古い50’s〜70’sの中古レコードを買う事が多いので、その当時の音や空気がパッケージされているということに魅力を感じます。 あと、ジャケットのデザインの美しさや大きさ、ラベルのデザインなどなど魅力は沢山あります。 古い楽器や、過去のオーナーの管理状態によって状態もさまざまですが、自分が聴いた時、直観的に音が良い!と思ったレコードに出会えた時は嬉しいですね。

隅倉弘至が「クレジット買い」した5枚のアナログ・レコード

クレジット買いした5枚というと、なかなか難しいですけど、特に50’s〜60’sのジャズのレコードとかは、ほぼその参加メンバーのクレジットをチェックして買う事が多いです。

Herb Geller & His All Stars『Gypsy』

Herb Geller & His All Stars『Gypsy』

サックスのハーブ・ゲラー(Herb Geller)の作品でベースがスコット・ラファロ(Scott LaFaro)ということで、買いました。 ドラムは、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)。 スコット・ラファロは、25歳と若くして亡くなった事もあり、参加作品数も少ないので、見つけたら買うようにしてます。 スコット・ラファロと言えば、やはりビル・エヴァンス・トリオ(Bill Evans Trio)も素晴らしいですし、ブッカー・リトル(Booker Little)の1st(こちらもドラムは、エルヴィン・ジョーンズ!)も大好きです。

Lowrell『Lowrell』

Lowrell『Lowrell』

一時、シカゴソウルにハマった時に、それ系のレコードのクレジットに入っていた、トムトム84(Tom Tom 84)という、変わった名前の人が気になり、これもそれで買いました。 サンプリングネタで有名みたいですが、全然、知らずでした。 笑

1979年の作品なので、ディスコ〜モダンソウルですかね。 他の参加メンバーもバーバラ・アクリン(Barbara Acklin)、ユージン・レコード(Eugene Record)、ブルース・ハウズ(Bruce Hawes)など豪華です。

American Flyer『American Flyer』

American Flyer『American Flyer』

コレは、エリック・カズ(Eric Kaz)のバンドという事で買いました。 クレジット買いも何もという感じですが。 笑

ジョージ・マーティン(George Martin)プロデュースです。 ただひたすらエリック・カズが良いです。 どんなアレンジだろうが、音像だろうが、エリック・カズは最高です。

Mac Miller『Circles』

Mac Miller『Circles』

マック・ミラー(Mac Miller)の最後のアルバムですが、前作同様ジョン・ブライオン(Jon Brion)共同プロデュースということで買いました。 前作の『Swimming』と迷いましたが、アナログレコード的にはこちらの方が好きなので。 ただ前作1曲目の「Come Back To Earth」は、いつまででも聴いていられる超名曲だと思っています。

Bernard Wright『’Nard』

Bernard Wright『'Nard』

チャーリー・ドレイトン(Charley Drayton)は、今回選んだ中で唯一、直接お会いしたことがあります。 斉藤和義さんの2014年のツアーでご一緒させてもらいました。

ウェルドン・アーヴィン(Weldon Irvine)、マーカス・ミラー(Marcus Miller)、ドン・ブラックマン(Don Blackman)などの参加で有名みたいですが、自分的には、チャーリー・ドレイトンのクレジットを見つけた時は、嬉しくなりました。

彼はキース・リチャーズ &ジ・エクスペンシヴ・ワイノーズ(Keith Richards and the X-Pensive Winos)のメンバーで高校生の頃、良く聴いてました。 今回のこの作品は、1981年リリースなので、当時のチャーリー・ドレイトンは16歳。 恐ろしいです。

隅倉弘至

静岡県出身、ベーシスト。 2002年バンド初恋の嵐でメジャーデビュー。 初恋の嵐休止後、斉藤和義、トータス松本、中田裕二、石崎ひゅーいなど様々なアーティストのライブやレコーディングに参加。 2011年初恋の嵐としてのバンド活動も再開。 2021年より日本屈指の剛腕ドラマー “池畑潤二” 率いるフジロック馴染みのトップ・ミュージシャンにより結成されたFUJI ROCK FESTIVAL「ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA」に参加。 2023年8月31日に自身の生誕50周年を迎えるにあたり、今まで自身の活動などで関わりのあったアーティストを迎え、「隅倉弘至 生誕50年ライブ」2Days(8/31生誕祭バンド編と9/1初恋の嵐編)を渋谷wwwにて開催した。

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Coordination:Yuki Tamai
Edit: Yusuke Ono