癒しとウェルネスをテーマに、Face Recordsからのおすすめレコードを毎月お届け。 8月のテーマは「寝苦しい夏に睡眠の質を上げてくれそうな音楽」。 日中のまどろみから熱帯夜の熟睡まで、眠れない時におすすめの音楽をFace Recordsの藍隆幸さんがご紹介します。

音楽でリラックスして、良質な入眠準備を。

夜寝られなくなった時、「早く眠らなきゃ」と思うとなおさら寝られなくなることはよくありますね。 そんな時は、「無理しないで、翌日眠くなったら昼寝すればいいや」と決めて、少しでも昼寝をする方が心に余裕が生まれます。 その結果、夜もリラックスできて、睡眠にも良い効果が出ることもあるでしょう。 適度な昼寝の時間は15分くらいだと聞いたことがあります。 これくらいの時間なら誰でもなんとか作れそうですね。

さて、今回は「寝苦しい夏に睡眠の質を上げてくれそうな音楽」を紹介します。

費用も時間も気にせず、贅沢に楽しんで、一生忘れられない質の高い睡眠をとれるとしたら、こんな夏のバカンスの1日がいいなぁ、という内容で考えてみました。

Annette B / You’ll Never Get To Heaven

Annette B / You’ll Never Get To Heaven

まずは、昼寝にも向く音楽を1曲選んでみました。 「Lovers Rock系のレゲエ」は、夏のビーチでうとうとしているときに流れてほしい音楽の一つです。 リラックスできて眠りを邪魔しないこの音楽は、昼寝ができなくても、昼間をアップな気分にしてくれ、ネガティブな気分を忘れさせて気持ちを整え、落ち着かせることができるでしょう。
Annette B(アネット・ビー)による1989年の「You’ll Never Get To Heaven」は、元々はBurt Bacharach(バート・バカラック)作曲でDionne Warwick(ディオンヌ・ワーウィック)が1964年にレコーディングした曲のLovers Rockアレンジ版です。 タイトルとは違ってハッピーな歌詞が印象的です。
夜の安らかな睡眠を実現するためには昼間の過ごし方、聴く音楽から準備がはじまります。

Keep Shelly In Athens / Lazy Noon

Keep Shelly In Athens / Lazy Noon

次に、夕方のマジックアワーに聴きたい音楽をご紹介します。 「Lazy Noon」は、Keep Shelly In Athens(キープ・シェリー・イン・アテネ)によるバレアリックな楽曲です。 南の島の黄昏時、食前酒でも飲みながら、刻々と色が移り変わる夕空をながめて楽しむひとときに最適な音楽です。 浮遊感のある音楽で、ほてった身体や気持ちを整えてクールダウンでき、気持ちはだんだん部屋の中へと向かっていきます。
Keep Shelly in Athens は、ギリシャ アテネ出身のチルウェイヴデュオ。 この曲は2011年発表の『Our Own Dream』に収められています。

Daniel Kobialka / Angels Sleep

Daniel Kobialka / Angels Sleep

乳幼児の睡眠のために作られた音楽、Daniel Kobialka(ダニエル・コビアルカ)の「Angels Sleep」は、母親が一緒に添い寝していたころの優しい感触を思い出させてくれます。 大人でも安らかな気持ちになれることでしょう。
この曲が入っているアルバム『When You Wish Upon A Star』は、まだウチの子供が0~2歳くらいだった頃、毎晩寝かせる時にかけていました。
たいていアルバムの2曲目であるこの「Angels Sleep」が終わるまでには子供も私もぐっすり寝てしまうので、正直、3曲目以降の記憶はあいまいです。
Daniel Kobialkaはクラシック出身のバイオリニストでニューエイジのミュージシャンですが、難病との戦いの末2021年1月に亡くなられました。 廃盤になったままのこのアルバムがまた復刻されることを心から願います。

Max Richter / From Sleep

Max Richter / From Sleep

Max Richter(マックス・リヒター)は西ドイツ出身の現代音楽家でありピアニスト。 映画『戦場でワルツを』の音楽も手掛けていて、ヨーロッパ映画賞 作曲賞も受賞しました。
「From Sleep」のフルバージョンである「Sleep」は8時間もあり、単一の楽曲としてはレコーディング史上最長の音楽演奏です。
つまり、リスナーが聴きながら眠りに落ち、就寝中も朝起きるまでずっと流れていることを想定された音楽なのです。
映画音楽家としても評価されている彼の作品は、深い眠りを手助けしてくれることでしょう。

Miracle Tones / 432 Hz Deep Sleep

Miracle Tones / 432 Hz Deep Sleep

もし、さらなる深い眠りを求める場合は、「432 Hz Deep Sleep」がおすすめです。
「ヘミシンク」という原理を応用したこの音楽は、デルタ睡眠時の脳波パターンを促進し、深い眠りをサポートします。
左右の耳から異なる周波数を聴かせると脳幹で合成されて、周波数の差による振動で左右の脳が同調する仕組みを作り出し、リラックス状態や集中する状態を作り出すという原理のため、ヘッドホンやスピーカーを左右に置いて聴くことで効果が得られます。

夜寝られなくなったときには、これらの音楽を試してみてください。 きっと心地よい眠りに導いてくれることでしょう。

忙しい日常の中で、夏の夜に限りなく穏やかな眠りを求めることは大切です。 音楽は心の奥深くに届き、心地よいリラックスをもたらしてくれます。
これらの音楽を試してみて、贅沢なバカンスのような夏の夜を楽しんでみてください。

明日のために、心と体を癒す大切な時間を持つことをお忘れなく、深い眠りの中で新たな夢に包まれることを願っています。

Words: Takayuki Ai