癒しとウェルネスをテーマに、Face Recordsからのおすすめレコードを毎月お届け。 1月のテーマは「新年のスタート。 新しいことを始める上で前向きな気分になれそうな音楽」。 新年が始まり、新たな可能性が広がるこの季節。 新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれるおすすめの音楽を、Face Recordsの藍隆幸さんがご紹介します。

新しい年を迎えるとどうして新しいことを始めたくなるのでしょう?

人は日常のルーティンに飽きてしまうことがよくあります。
年末年始にひと息ついたとき、過去のルーティンを振り返る機会が出来ることと、新たな始まりの象徴である新年を迎えて、人間の本能である好奇心や自己成長への欲求に刺激が加わって、新しいことにチャレンジしたくなるのではないかと思います。
新しいことに対する興味や探求心は人を成長させ、挑戦することは自分の能力を試し、向上させ、豊かな人生を築くきっかけとなるでしょう。

新年のスタートはロックの疾走感で!

12月はソウル・ファンクを中心にご紹介しましたが、新年の「新たなスタート」に向いている音楽をあれこれ考えてみると、やはりロックが向いていると感じます。
ロックは常に既成概念を壊して進化してきた音楽です。 そういう意味で過去にとらわれることなく新しいことにチャレンジするマインド作りに向いていると言えます。
もちろんサウンド、特にリズムは大切で、疾走感のある楽曲なんて最高だと思います。

Learn To Fly / Foo Fighters

さて、1曲目
この疾走感がバッチリと前向きな気分になる後押しをしてくれそう。
特にサビの部分のこの歌詞がすべてを語ってくれています。

Learn To Fly / Foo Fighters

”I’m looking to the sky to save me.
Looking for a sign of life.
Looking for something to help me burn out bright.”
「生きる証を見つけるため、自分が輝く何かを探している」

フー・ファイターズ(Foo Fighters)は、ニルヴァーナ(Nirvana)の元ドラマーであるデイヴ・グロール(Dave Grohl)が中心となって結成されたオルタナティブロックのバンドです。 アメリカのロックらしい熱量のあるサウンドが最高です。

Whatever / Oasis

Whatever / Oasis

日本でも様々なCMで使われたことがあるので、洋楽に詳しくなくても知っている人は多いと思います。

“I’m free to be whatever I
Whatever I choose”
“Whatever you do
Whatever you say
Yeah I know it’s alright”
「自分が何になろうと自由、何を選ぶかも自由。 そして君が何になるのかも君の自由」

新年に何を始めるのも自由です。
オアシス(Oasis)は、よくビートルズ(The Beatles)との共通点を挙げられることもありますが、ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)のソングライティングはまさにビートルズ並みの破壊力がある。
ビートルズが解散して以来、ここまでビートルズと比較・共通点を挙げられるバンドはオアシスくらいでしょう。 個人的に彼らの楽曲はザ・フー(The Who)にも似ている雰囲気があると思うのですが。

Viva La Vida / Coldplay

Viva La Vida / Coldplay

もう20年近く前の冬にイギリスへ行って、郊外をドライブしたことがあります。
大都会のロンドンからでもハイウェイに乗るとすぐに郊外に出られます。 牧草の敷地に羊がいる丘が延々と続く中、車を走らせて、泊まる宿もその日の行く先で決める気ままな旅でしたが、イギリスを堪能することができました。 イギリスの郊外の景色は正直言って何も無く、寒々とした印象でしたがそれが魅力で、アメリカとはまた違うカルチャーが感じられました。

その旅の前後、コールドプレイ(Coldplay)の2ndアルバム『A Rush of Blood to the Head』をヘビーローテーションしていたので、不必要な音をそぎ落として、どこか寒々としたそのサウンドがイギリスの郊外の印象とマッチしていて、今でもコールドプレイを聴いて思い浮かぶのはあの時の景色と冷たい空気です。

冷たい空気を感じさせるその音楽は、やはり新年に新しいことにチャレンジするぴりっとした空気感にも通じると思うのです。
この流れで紹介する曲は「Clocks」がぴったりなのですが、新年らしい曲ということで「Viva La Vida(美しき生命)」を選びました。

次の2曲は古めではありますが、ぜひ新年に聞いて欲しいお勧めの曲です。

This Will Be Our Year / The Zombies

This Will Be Our Year / The Zombies

“You gave me faith to go on.
Now we’re there and we’ve only just begun.
This will be our year, took a long time to come.
And this will be our year, took a long time to come.”
「君は信じる力をくれた。
だから今、私たちはここにいる。 そして始まったばかり。
今年は私たちの年になるんだ。 時間がかかったけどやっとその年が来たんだ。 」

今年こそ良い年にしたいものです。
この曲が入っているアルバム『Odessey and Oracle』は当時、セールスが振るわなかったため、非常に少ない枚数だけが市場に出ました。 その後、再評価されて需要が上がったこともあり、UKオリジナル盤のレコードにはプレミアな値段がついています。

The Living Years / Mike + The Mechanics

The Living Years / Mike + The Mechanics

今年やりたいことの目標や計画の中に「長く会えなかった人に会う」なんて入れたりすることがありますね。 でも「いつでも会える」と思って、毎年実行できなかったりすることも「計画あるある」です。 そんな人にこそ聴いて欲しい曲です。

この曲は元ジェネシス(Genesis)のマイク・ラザフォード(Mike Rutherfor)が作った曲で、1989年にBillboardでも1位になったのでベタではありますが、歌詞がすごく考えさせられます。
ミュージシャンになることに反対して衝突したまま疎遠になり、亡くなってしまった父親に対する息子の後悔が歌われていると言われています。

“Say it loud, say it clear.
You can listen as well as you hear.
It’s too late when we die.
To admit we don’t see eye to eye.”
「はっきりと言葉で伝えよう。 永遠に会えなくなってからじゃ遅い。 そのときに気づいても遅い。 」

ちょっと重い歌詞ですが、どんな人にも例外なく時間には限りがあります。 「思い立ったが吉日」です!

2024年がどんな年になるのかはまだ分かりませんが、才能にあふれた新たなアーティストに出会えること、聴いたこともないような作品に感動できることを楽しみにしています。

Face Records

Face Records

1994年に横浜でメールオーダーのお店として始まり、1996年に渋谷区宇田川町に第1号店を開店した。 中古盤中心のアナログレコード専門店。 ヨーロッパやアメリカで買い付けたレコードと日本国内で集めたレコードを中心にセレクトしている。 現在は東京都内に3店舗、札幌、名古屋に各1店舗、ニューヨークに1店舗を展開。 廃棄レコードゼロを目指した買取サービスも行っている。

HP

Words: Takayuki Ai