音の分離感を高め、本来の情報量を引き出す。知らなかった音の素顔が垣間見れる、真鍮金メッキのスパイク型インシュレーター。

各ユニットの足元で重量を支えながらその振動を受け止め、自らの振動特性を返す。
自らはもの言わぬインシュレーターながら、これはもう立派なオーディオユニット。
最も得意とする相手は、あなたの部屋で盛大に振動を発生させているもう一人の住人、スピーカー。インシュレーターひとつで、彼は意外な顔を見せてくれます。
音が変わると、まるで模様替えしたかのように部屋の印象がガラリと変わる。
そんな力を秘めているのが、インシュレーターなのです。

素材選びは、音選び。

音を変えたい。そう思っても「今自分がどういう音が欲しいのか、今いちわからない…」そういうこともあるでしょう。
レストランに入るまでははっきりしていなくても、メニューを見れば食べたいものがイメージできる。
音にもいくつかの方向性が存在します。それを知れば、そこから自分が求めている音が見つかるというものです。
インシュレーターを選ぶ時は、使われている素材に注目。複雑な機械構成を持たない、ソリッドな固まりであるインシュレーターは、その材質が持ち味を決定づけています。

みかけの印象がそのまま中身。

インシュレーターの素材としてよく使用されるのは、金属・木・ゴム。その音の印象は、見かけのイメージと重なるのがおもしろいところです。それぞれの振動特性をつかんでおくと、インシュレーター選びも迷いなく行えます。

「金属」の素材は、すっきり・クリアでシャープな印象。硬度のある材質ほど、よく響く音域が高音に寄るためです。
ピアノを思い起こしてみてください。ピアノの前身はバロック時代の鍵盤楽器チェンバロ。すべて木で作られたチェンバロに比べ、のちに金属フレームを採用して弦を高張力で張ったピアノ。音量アップとともに得たそのクリアでシャープな響きは、金属の多用によって生まれたのです。
ただ、金属は多種多様。種類によって響きの性質は大きく異なります。合金となると、さらに複雑な音質傾向が出現します。
比類ない振動吸収性を持つ「ゴム」。特に低音域が豊かになり、甘く暖かい音になります。低音域の吸収力により、反力を機器に与えないため、機器の発する低音域がいわば自由に振る舞うことができるのです。

「真鍮削り出し」&「金メッキ」で、音が音楽に。

AT6901BR

スパイクインシュレーターAT6901BRは「真鍮削り出し」の本体に「金メッキ」を施しました。
真鍮は銅と亜鉛の合金。英語でいうとブラスバンドの「ブラス」。その美しく整った響き特性は、オーケストラやブラスバンドで活躍する金管楽器の材料金属として広く使われています。このことからも、響きの優秀さが伺えます。

その真鍮特有の響きに磨きをかけるために行ったのが金メッキです。金は比較的軟らかい金属。真鍮と音響的な相性がよく、高域成分のナチュラルな伸びが期待できます。
見た目のきらびやかさの通り、華やかながらも刺激成分がない、耳に心地よい高域は、音ではなく音楽に聴き手をいざなってくれます。

床からの振動をカットするスパイク。音の姿が見えるかのような情報量。

スパイクインシュレーターAT6901BRは 下部(床側)は尖った円錐上の突起形状になったスパイク式インシュレーター。
面ではなく点で床と接触するため、中低音域における床からの反射が極めて少なくなります。音の分離感が高まり、情報量の多い音像を創り出します。
特に最新録音のソースで、今まで聞こえなかった音を耳にするという楽しみを発見できるでしょう。

AT6901BR

スパイクインシュレーター

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華やかな高域か、くっきりした迫力か。2つのアレンジ。

AT6902BR、AT6902ST

上からの突起を床側で受け取める受け皿となるのが「スパイクベースインシュレーター」。スパイク型のインシュレーターに必須のアイテムです。
どのスパイクベースを使うかで音も変わります。
上下のセットをどのように組みわせるか。スピーカーの個性や部屋の状態。最後にあなたの好み。アレンジの興味は尽きません。
ポイントは同種の素材を合わせるか、異種素材にチャレンジするか。
同じく真鍮削り出しに金メッキのスパイクベースAT6902BRと組み合わせれば、さらに伸びやかな美しい高域を堪能できます。

AT6902BR

スパイクベースインシュレーター

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真鍮より固いステンレスを素材としたスパイクベースAT6902ST。
この組み合わせなら、スピーカーに接しているスパイク側の真鍮素材の性格をメインに、響きや高域の華やかさはほどほどに、くっきりとした迫力のある傾向を加えることができます。

AT6902ST

スパイクベースインシュレーター

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無視できないビジュアル。位置調整もストレスなく行える高さ18㎜設計の3点支持。

スピーカーはリスニングポイントから最も目に入りやすいユニット。その足元で存在をアピールするインシュレーターは、その美的側面も無視できません。

AT6901BRの控えめながらも美しい金メッキは、音質だけでなく耐蝕性にもすぐれ、ビジュアル面でも大切な役割を果たします。
一方、ステンレス素材のシャープさが魅力のスパイクベースAT6902STを組み合わせれば、スピーカーの足元の印象をグッと引き締めることができます。

セット内容は、ガタつきの心配がない3点支持の6個入り。21㎏までのスピーカーに対応。
3点を前に1つ、後ろに2つという配置がベストポイント。
また、端っこに置くか、中央寄りにするかでも音色が変わります。

本シリーズのスパイク+ベースの組み合わせでの全高は、指先の入る高さ18mm。位置調整をストレスなく行えます。 位置を少しずつずらして試聴をくりかえし、ベストポイントを見つけましょう。

寡黙なオーディオユニット、インシュレーター。

音の源である「振動」を直に相手にするインシュレーター。
スピーカーと接地面との間で起こる振動のせめぎあいをどう御するかで、スピーカーが生きたり、死んだりする。
そのダイナミックな反応を楽しむ。
もの言わぬインシュレーター。地味ながらも、静かに存在を主張する紛れもないオーディオユニットなのです。
あなたもひとつ、インシュレーターとのお付き合いを始めてみてはいかが?

Words:Kikuchiyo KG