坊主の女の子、スカートをはいた男の子。そんなキャラを登場させ、大人が持つジェンダーへの固定概念を一切持ち込まず「子どもが自由な発想で作り上げていく世界」をもとにゲームをつくるストックホルムのゲーム会社 Toca Boca 。それまでのゲームアプリ業界の鉄則「女の子向けゲームはピンクでなければ成功できない」を覆し、大ヒットを記録し続ける業界のゲームチェンジャーだ。

そんなToca Bocaにも、音を楽しむ人気作「 Toca Dance 」がある。ダンスプロデューサーになりきり、ダンスグループ結成から、楽曲の選択、振付、衣装選び、大会に出るチームのメンバー選抜までを通して、子どもたちがそれぞれの自己表現で作りあげ、楽しむことができるのだ。

Toca Dance画面

タップ1つ、スワイプ1つでダンスプロデューサー

5歳から8歳を対象にしたこのアプリでは、ダンサーの選出から衣装、振付、楽曲の設定など、細かいダンス表現までカスタマイズし、一つのダンスグループを作りあげる。遊び方はこんな感じ。

1、ダンスメンバーを3人選出
(うさぎのようなSahar、Bボーイ風のK-Boyなど、名前のついたキャラクターがいる。有料版では8人ほどのキャラクターから選択可能)
2、選出した3人のメンバーに着せる衣装を選ぶ
(ストリート感のある帽子やメガネ、カラフルなジャージやレオタードなど、種類は豊富だ。有料版では80アイテムも用意されている)。ここでもジェンダーフルイッドはもちろん、自由なアイデアで自分の好きに着せ替えしたりアイテムを持たせる(パンを持たせる、なんてチョイスも)などして、自分だけの個性的なダンサーに仕立てる。
3、ポップからダブステップまで5種類ある音楽からひとつ選ぶ。
4、いよいよ振付。キャラクターの腕、脚、頭をタップしたり、スワイプしたりし、操り人形のようにダンスを踊らせる
(たとえば、上にスワイプすればキャラクターはジャンプ。頭を上下に動かせばヘッドバンギング)。振付は、ゆっくりワンフレーズずつおこなうのでとても簡単でわかりやすい。
5、ダンスが完成したら、発表へ。発表会ではステージへ花やお金を投げる、拍手するなどパフォーマンスへ反応することができる
(そのほか、おならをする、卵を投げる、ダンサーの頭のサイズを大きくするなど、少しふざけた演出も)。

ダンス以外にも、音や振付、衣装でも自己表現できる

出来上がったダンス動画は保存できるので、完成したダンス動画を誰かに共有することも可能だ。また、同アプリには、スコアやレベル、勝敗はなし。あくまで、子どもたちが創造力を自由に表現すること、発表までをやりきることに重きをおいている。

「子どもたちは、ダンスを通してさまざまな方法で自己表現をします。私たちは、その方法をアプリで応援したい。ビートにあわせて、おふざけも楽しみながら自由に体を動かしてください!」と、同アプリプロデューサーのEmil Ovemarは話している。

自分で踊らないにしろ、ダンスが苦手な子もいるだろう。振り付けの楽しさや、曲の選択、衣装のコーディネートなど、いずれかのプロセスで自分が一番夢中になれるポイントを見つけられることも、このTocca Danceの魅力だろう。なんといっても、振り付けから衣装のコーディネートまで自由度がとても高いため、我が子がどんなダンスチームを作り上げて発表してくれるのか、親目線でもしっかりと楽しむことができる。

Eyecatch Illustration: YOHAKU YOKAI ART
Words: Ayano Mori(HEAPS)