この広い地球には、旅好きしか知らない、ならぬ、音好きしか知らないローカルな場所がある。 そこからは、その都市や街の有り様と現在地が独特なビートとともに見えてくる。

音好きたちの仕事、生活、ライフスタイルに根ざす地元スポットから、地球のもうひとつのリアルないまと歩き方を探っていこう。 今回は、タイのチェンマイへ。

若者の不安定な気持ちを赤裸々に綴った歌詞や、DIY感溢れるミュージックビデオが、とにかくエモい。 2019年のデビュー後、国内にとどまらず世界のインディーシーンで愛されるまでに急成長したニュージェネレーションバンド YONLAPA(ヨンラパ)。

チェンマイを拠点に活動する4人組で、メンバーはボーカル兼ギタリストで紅一点のNoina、ギタリストのGun、ベーシストのNawin、ドラマーのFewchy。

彼らが暮らすチェンマイは、タイ北部に位置する同国第二の都市。 美しい寺院の建築物で有名な古都として知られ、生活様式には仏教が根づいている。 そんな伝統的な都市で生活するインディーポップバンドはどんな日常を過ごしているのだろう。 YONLAPAメンバーに、メールの往復でチェンマイのリアルな歩き方を教えてもらった。

YONLAPAメンバー(右からGun、Noina、Fewchy、Nawin)。
YONLAPAメンバー(右からGun、Noina、Fewchy、Nawin)。
YONLAPA

みんなの出会いを教えてください。 もとはNoinaがシンガーソングライターとして1人で活動していて、そこにメンバーが加わっていったとか。

YONLAPA(Noina):大学を卒業した後、会社で働きながら夜はチェンマイ各地のバーで演奏をする生活をしていたんだ。 いろんなミュージシャンと知り合う機会に恵まれて、私が「バンドしない?」っていまのメンバーに声をかけたの。

Noinaが一人ひとり見つけて声をかけたんだ。

YONLAPA(Noina):私、年齢とか性別とかに縛られることなく友だちになりたいと思うから。

そうして現在のメンバーに。 曲作りもNoinaが率先しておこなっているんだよね?

YONLAPA(Noina): 歌詞は大体、私の人生の出来事について綴ってる。 日々どんなことを感じているのか、とか。 でも、私自身だけの想いというよりは、現代を生きるチェンマイの若い世代の想いを込めてるとも思ってる。

作曲はどんなふうにしているの?

YONLAPA(Noina):アコースティックギターを弾きながら家でデモを録る。 できあがったら、バンドメンバーに歌を披露する。 その後スタジオでドラム、ベース、ギターの順に、メロディーラインをみんなで丁寧に考えていく感じ。

曲作りだけではなく、ミュージックビデオ作りも自分たちでやっているんだよね。

YONLAPA:うん。 たとえば、楽曲『Last Trip』のミュージックビデオのディレクションはNoinaが担当して、他メンバーが撮影担当、機材担当をしたり。 この曲は車が前に進み続けるみたいな感じで、とても前向きな曲だから、山を車で駆け上がるシーンを入れたんだ。

レトロさもエモくていいね。 撮影場所はタイで一番高いと言われる山、Doi Inthanon(ドイ・インタノン)。

YONLAPA:街から車を2時間くらい走らせたところにあるんだ。 オレンジのレトロな車と撮影用のトラックで行って、iPhone1台で挑んだんだよ。 こんな日に限って車のエアコンが壊れてて、超暑かったーーーー。 まあでも、超楽しかったよ!

青春。 メンバーの仲が良いから楽しめてるんだね。 音楽活動以外では、普段チェンマイでどんなことしてる?

YONLAPA:チェンマイといえば、なんてったって食べ物!!!

YONLAPA
YONLAPA
YONLAPA

バンドメンバーのオススメのお店は?

YONLAPA:時間があるときは韓国焼き肉を食べに行ったりするよ。 行きつけは「Jae Soh’s BBQ place(หมจมเจโส)」。

外で焼肉かあ。 これまた超楽しそう。

YONLAPA:あとは、タイ北部のローカル料理「ラープ(Labb)」も僕らのお気に入り! ラープは、辛いスパイスで味付けされた生肉を葉っぱで巻いた料理。 これがとーっても美味しい。 日本でいう、ユッケみたいな感じかなあ。

ラープ
これがラープ。

僕らが行きつけのラープが美味しいお店は「Phorn Satien(พรเสถยร)」。 ここはとても地元感溢れるラープ専門店なんだ。 ラープ以外にも、「カン・ムー(Kang Moo)」っていう豚の顎肉を炒めた料理もかなり人気。 僕たちも大好き、大好物だよ。

お酒を飲みに行ったりもする?

YONLAPA:飲みにいくのも大好きだよ。 オススメは「Chai Blue House」と「Do You Ever Social Club」だよ。

YONLAPA
YONLAPA

ちょっと突っ込んだことを聞いちゃうかもだけど、仏教や寺院とのつき合いかたについても聞いていい? チェンマイといえば、寺院の建築物で有名な古都として知られているし、生活様式に仏教が根付いている印象。

YONLAPA:チェンマイで生活していると、日常で仏教をひしひしと感じるよ。 チェンマイに限らず学校に通えば仏教の勉強が必須だし。 でも、私たちの世代みんなが仏教の教えに沿って生きているかといわれたら、そりゃそうだけどそんなことはない。

自分でも仏教だけが正しいとも思ってないし、 現代社会に適応して生きていくべきだと考えている人も多いんじゃないかなと思うよ。

寺院に行ったりは?

YONLAPA:仏教のために行ったりはしないけれど、お祭りとかが開催されていればいまでも家族でお寺に行ったりするよ。 ワイワイしてる雰囲気が好き。 あ、オススメしたいお寺があった。 山の上にある「Wat Pha Lat Temple(ワット・パラット寺)」、頂上からチェンマイを見渡すことができて絶景なんだ。 滝も流れていて、落ち着く場所。

ほかにも、チェンマイには公園とかピースフルな場所がたくさんあるよ。 僕らは「Doi Suthep-Pui National Park(ドイ・ステープ プイ国立公園)」のキャンプサイトに行ったりもするんだ。

いいねえ。 最後に、いろんな国でツアーをするようになって改めて思うチェンマイの魅力を教えて。

YONLAPA:チェンマイにいると心が温かくなる。 チェンマイでライブを開催したら友だちや家族が観に来てくれて、それが嬉しいな。

9月に東京でおこなわれたライブの様子。
9月に東京でおこなわれたライブの様子。

YONLAPA/ヨンラパ

タイ第二の都市、チェンマイを拠点に活動する4人組インディーポップバンド。 女性ボーカルNoinaの透明感ある歌声と、シティーポップなメロディが心地いい。 2019年にデビュー。 楽曲『Let Me Go』はYouTubeで公開後すぐに約350万回以上再生を突破。 タイのインディーシーンだけでなく、世界各国で人気を集めている。 今年の夏は来日ツアーもおこなった。

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Image by YONLAPA
Words: Ayano Mori(HEAPS)