愛知県の老舗缶メーカー、側島製罐(そばじませいかん)。創業119年の歴史を持つ製缶工場の魅力を発信するため、工場音楽レーベル〈INDUSTRIAL JP〉とコラボレーションし、工場の機械音や金属音を活用した音楽と映像作品「SOBAJIMA CAN」を公開した。
楽曲を手がけたのは、東京拠点のDJ/プロデューサー、Guchon。一枚の巨大な鉄板が裁断され、ラインを静かに流れながら、少しずつ缶へと組み立てられていく。スリッターによる切断音、プレス機による打ち抜き音、かしめという手法による接合音、そしてシーマーによる巻き締めの音——それぞれの工程で響く金属音がGuchonの手により巧みにサンプリングされ、唯一無二のファンキーなテックトラックが見事に調和したミュージックビデオとなった。
町工場、製造業の魅力を発信する
日本のテクノロジーは高い技術力を持った町工場によって支えられているが、多くの製造業では人手不足で苦しんでいるのが現状だ。その問題から脱却し、これから先の時代も伝統の灯を絶やさずに缶づくりを続けていくために、側島製罐はこれまでも「ドローンによるバーチャル工場見学」などといった既存の中小企業・製造業のイメージを覆すような革新的な取り組みを重ねてきた。このプロジェクトでは製造業の魅力を再認識し、若い世代にその仕事の魅力を伝えることを目指している。
INDUSTRIAL JPもまた、町工場の魅力を音と映像で伝えるために、有志で立ち上げられたレーベルだ。東洋化成や富士フイルムなど、高い技術を持った工場と才能豊かなクリエイターがコラボレーションして作り上げられた作品は大きな話題を呼び、グッドデザイン賞金賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞などを受賞。国内外で高く評価されている。
YouTubeの字幕をONにすると、製造プロセスについての解説も確認できる。普段は目にすることのないダイナミックな工作機械の動きとインダストリアルなサウンドが見事にリンクしたミュージックビデオは、ぜひチェックしてほしい。
Edit:May Mochizuki