レコード再生中に「チリチリ」「ザラザラ」というノイズが気になったら、針先(スタイラス)の状態を確認してみてください。 息を吹きかけて大きなホコリを飛ばすだけでは、針先に焼き付いた微細な汚れまでは除去できません。
音質の劣化を防ぎ、大切なレコード盤を傷つけないためには、専用の「スタイラスクリーナー」によるメンテナンスがおすすめ。本記事では、汚れの原因とクリーナーの種類、正しい清掃方法を解説します。
針先(スタイラス)が汚れるメカニズム
レコードの音溝をトレースする針先は、非常に過酷な環境にさらされています。 LPレコード片面あたりの音溝の長さは約400m〜500m。直径わずか0.25mm程度の針先が、摩擦熱を帯びながらこの距離を走り続けます。
この「摩擦」と「熱」により、空気中のチリや盤面のカビなどが針先に固着します。 汚れた針先を使用し続けると、音質の低下やノイズの発生、さらに硬化した汚れが研磨剤となり音溝を削ってしまい、レコード盤の損傷にもつながりかねません。
針先のクリーニングにはスタイラスクリーナーを
新品のレコードであっても、針先が汚れていては本来の性能を発揮できません。定期的なクリーニングが必要です。
普段は専用ブラシを使って、目に見える大きなホコリを払うだけで十分ですが、長期間使っているとブラシでは落としきれない微細な汚れがこびりついてしまうことも。そんな頑固な汚れには、専用の「スタイラスクリーナー」を使うのがおすすめです。
【湿式】頑固な汚れを溶かして落とす
スタイラスクリーナーには大きく分けて「湿式」と「粘着式」の2種類があります。 「湿式」は、洗浄液で汚れを溶解させ、ブラシで拭き取るタイプです。長期間蓄積した汚れや、油分を含んだ汚れに効果的です。
湿式クリーナーの正しい使い方
洗浄液を染み込ませたブラシで針先をクリーニングします。 「ブラシを動かす方向」と「洗浄液を付けすぎないこと」に注意してください。
- 必ず「ヘッドシェルの根元(奥)から、針先(手前)」の一方向へ動かす。
- 往復させたり、横方向に動かしたりしない(カンチレバー破損の原因になります)。
- 洗浄液がダンパーゴムやカートリッジ内部に浸透しないよう、針先が拭き取れる最低限の量を使用する。
【おすすめ製品】オーディオテクニカ『AT607b』
キャップとブラシが一体化しており、手軽に使用可能。速乾性の特殊液を採用しているため、濡れた針先にホコリが再付着するのを防ぎます。
【粘着式】針を乗せるだけでホコリを吸着
「粘着式」は、ポリウレタンなどのゲル素材に針先を押し当て、汚れを吸着させて取り除くタイプです。強く押し付けたり、こすったりしないように気をつけましょう。
粘着式クリーナーの正しい使い方
- 製品をプラッターの上に置く(プラッターを動かさないように注意)。
- ヘッドシェルをしっかりと持ち、上下に動かしてカートリッジの針先を粘着面に軽く当て、汚れを取り除く。
- 数回繰り返し、付着したほこりや汚れが取り除けたか、ルーペなどを使って目視で確認する。
【おすすめ製品】オーディオテクニカ『AT617a』
高品質な日本製ゲルを使用し、安定した粘着力が長期間持続します。ゲル表面が汚れても水洗いが可能で、洗うことで粘着力が復活するため繰り返し使用できます。
レコード針の汚れは、音質劣化の原因の一つです。 日常的な軽いホコリは乾いたブラシで、こびりついた汚れには「スタイラスクリーナー」を使用するなど、汚れの度合いに応じたメンテナンスを行うことで、クリアな再生音を維持できます。
レコードと針の寿命を延ばすためにも、定期的なクリーニング習慣を取り入れてみてください。
Edit:Tom Tanaka
