スマートフォンひとつあれば、音楽や映画にドラマ、膨大なコンテンツと情報にアクセスできるようになった昨今。さまざまな領域でデジタル化は進むものの、写真や映像では感じられない手触りや温度を体験したり、ライブやフェスで身体を通じて音楽を感じることの価値は決して失われることはなく、むしろ高まっている感覚すらある。

ライブ後は、お風呂に浸かって疲れた体を癒したい——「音の余韻は湯けむりの中で」は、そんな思いを持つ人たちに送る連載企画。

初回は、10月11日〜10月13日に開催される音楽フェス『The Labyrinth 2025』に足を運ぶ人におすすめしたい温泉を紹介。群馬県・みなかみほうだいぎキャンプ場の近隣にある名湯をピックアップし、身も心も充実させる湯けむりの世界へご案内しよう。

群馬県・みなかみ町で行われる極上のパーティー『The Labyrinth』

The Labyrinth 2024のトレイラー映像

日本百名山ガイドに名を連ねる谷川岳のほど近く、美しい自然のなかで開催される『The Labyrinth』。

20年以上の歴史を誇り、アンダーグランドエレクトロニックミュージックの最高峰を目指すこのパーティーは、最高級のサウンドシステムを通じて、コンセプチュアルで壮大な音楽体験を提供することを掲げている。

今年はヴォイシズ・フロム・ザ・レイク(Voices from the Lake)、カンディング・レイ(Kangding Ray)をはじめとしたライブセットやDJがラインナップ。サイケデリックテクノ、ハウス、エクスペリメンタル、アンビエントをはじめとした前衛的な音楽が好きなら、きっとチェックされていることだろう。

開催地の群馬県・みなかみ町は、水上温泉郷、月夜野・上牧温泉郷、猿ヶ京三国温泉郷という3つの温泉地を持つことで知られる温泉地だ。以下、『The Labyrinth』とともに味わってほしい名湯を、温泉ライターの泉よしかがガイドする。

まずは定番の露天風呂ありの日帰り温泉「仏岩温泉 鈴森の湯」

まずは定番の露天風呂ありの日帰り温泉「仏岩温泉 鈴森の湯」

イベントの熱気が冷めやらない高揚した気分をそのまま湯船に持ち込んで、ハァーっと心地よくひと息つきたければ、車で35分ほどの「鈴森の湯」がおすすめ。日帰り専門の施設なので、旅館と違って営業時間内であれば気兼ねなく立ち寄れます。

ポイントは内湯にぬるめの源泉をそのまま掛け流した風呂と、加温した風呂の2種類があること。ゆったりぬる湯で副交感神経を優位にさせたり、温度の違う温泉を交互浴することでリフレッシュ効果も。

またロケーションの良い露天風呂があるので、手足を伸ばして川のせせらぎに耳を傾けてみてはいかがでしょう。

仏岩温泉 鈴森の湯

住所
〒379-1618 群馬県利根郡みなかみ町阿能川1009-2

アクセス
・『The Labyrinth』会場より車で約35分
・JR上越線水上駅よりタクシーで約5分

HP

※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください

ちょっと足を延ばしても寄りたい極上秘湯「法師温泉 長寿館」

ちょっと足を延ばしても寄りたい極上秘湯「法師温泉

足元湧出泉というのをご存じでしょうか? 天然温泉の中でも最上とされるもののひとつで、足元からお湯が湧いているその場所に湯船を作ったものをそう呼びます。当然お湯の鮮度は極上。みなかみ町にもそんな貴重な足元湧出泉があります。しかも建物は登録有形文化財。

まるで時間が止まったような秘湯の趣を楽しみながら、木造の廊下を歩いて、鹿鳴館を思わせる風格ある湯殿でアワとともに静かに湧いてくる温泉を全身で感じてはいかがでしょう。40度前後のお湯には鎮静効果も期待できます。

有名な「法師乃湯」は混浴ですが、女性専用の「長寿の湯」もあるので女性も安心して利用していただきたいです。

法師温泉 長寿館

住所
〒379-1401 群馬県利根郡みなかみ町永井650

アクセス
・『The Labyrinth』会場より車で約70分
・JR上毛高原駅よりバスで70分

HP

※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください

ツウな穴場を狙うなら「ゆびそ温泉 林屋旅館」

ツウな穴場を狙うなら「ゆびそ温泉 林屋旅館」

ここまでは気軽に寄れる日帰り温泉や有名な秘湯の旅館などをピックアップしましたが、最後は知る人ぞ知る名湯、お湯にこだわった穴場の旅館を紹介しましょう。

こぢんまりとした湯檜曽(ゆびそ)温泉街の一角に建つ大正11年創業の老舗「林屋旅館」。ここの自慢は加温、加水、循環などいっさいしない本物の源泉掛け流しです。それをシンプルに湯船へ。浴室はアーチ天井にモザイクタイルの風情ある大浴場と、大きすぎない浴槽の小浴場の大小ふたつがあり、露天風呂はありません。窓から聞こえるのは湯檜曽川のせせらぎのみ。

ただしあくまでも宿泊者優先の小さな旅館。大勢で問い合わせたり押しかけたりするのは避けたいもの。行って入れなかったら諦めるぐらいの気持ちで訪問してみて。

ゆびそ温泉 林屋旅館

住所
〒379-1728 群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽124

アクセス
・『The Labyrinth』会場より車で約30分
・JR湯檜曽駅より徒歩5分

HP

※お立寄りの際は、事前に営業時間や施設の案内、アクセス情報をご確認ください

Words & Photos:Yoshika Izumi
Edit:Shoichi Yamamoto

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