レコードを探す場合、お店に実際に足を運んで買うほか、インターネットショッピングや国内外のネットオークションで購入する方法があります。 前者は、店舗に赴くことで入荷したての中古盤や通販には出ないアウトレット品などをいち早く手にできるほか、お店の雰囲気を含め買い物自体を楽しめるというメリットがあります。 また、後述するように、実際にレコードの状態を確かめることができるのも大きなポイントです。

お値打ち品からレア物まで!レコードを探そう

クラシック音楽の場合、名盤やヒット作は、いくつもの再発盤が出ていることがあります。 そのようなタイトルは、内容的にも入門向けのものが多かったり、価格的にも安かったりするのでオススメのひとつです。 お店に足を運ぶと、何百円以下や何百円均一といったコーナーがあり、そのようなところにこの手の盤が入っていることも多く、これも実店舗ならではの探し方と言えます。 一方でその分、実店舗に足を運ぶ時間がかかったり、時間をかけてもお目当てのものが見つからなかったり、ということもあるでしょう。

逆にネットで購入する場合は、お目当てが決まっていればピンポイントで購入できるので、レアなものを探しているときにも便利です。 また、個人間のやりとりでは価格的にもお得に買えることも多いでしょう。 ただ、送料が割高になる場合や、盤の状態を直接確認できないという不安もあります。 お店の通販の場合はまだしも、個人間の売買となるオークション、それも海外のインターネットオークションはトラブルも覚悟する必要があるので、上級者向けと言えるかもしれません。 しかし、かなりのレア盤に出会える確率もグッと高まりますので、無事に購入できたときの喜びもひとしおです。

検盤をしよう

実店舗やネットショッピング問わず、商品には盤の状態が書かれているのが一般的です。 AやB、B+などがそれです。 お店によっても表記が異なり、専門店ではもっともっと細かい表記も採用されています。 そして、タグには備考欄があり、何か特記事項がある場合はそこにコメントがあります。 例えば、ジャケット下部に破れがあったり、ライナーノーツに書き込みがあったり、といった具合です。 ここに書かれている情報で大体の状態はわかりますが、やはり汚れや傷などに関しては、自分の目で確認しておきたいものですよね。 高価な盤になってくればなおさらです。

そこでリアル店舗で購入する場合に嬉しいのが「検盤」です。 検盤とは、レコードのジャケットやライナーノーツなどを含め盤の状態をチェックすることで、中古ショップでレコードをレジに持っていくと「検盤しますか?」と聞かれる場合があります。 そこで、検盤を希望すると、店員さんがレコードをビニール袋から出してくれますので、中身をチェックしましょう。 なお、盤の汚れや傷などに関しては目視でもわからない場合も多いので、気になる人は「検聴してもよいですか?」とお店の人に聞いてください。 試聴用のプレーヤーやヘッドホンがあるお店では、実際に音を確認することができます。 この際、くれぐれも盤の取り扱いには注意するようにしましょう。

とにかく聴いて欲しい1枚をご紹介

では、最後にぜひとも聴いて頂きたいレコードをご紹介します。 クラシック入門のお供にして頂けたら幸いです。

新・クラシック セレクション 1 ととのうクラシック (LP)

V.A.(オムニバス)

参考リンク

独自のサウナ・ミュージックを展開する気鋭の作曲家とくさしけんご選曲による、新たなクラシック入門の限定アナログ盤です。 洗練された曲調による印象派や近代の楽曲が中心に並び、クラシック好きも唸る、しかしながらクラシック入門者にも非常に親しみやすい新感覚クラシックオムニバスとなっています。 実は、筆者がマスタリングを担当したのですが、マスターに使用したデジタルデータの再生時と比べると、アナログ化によって艶めかしさや温かみの表現が引き出されており、耳に至福な音色を獲得していることに驚きました。 通常CDバージョンよりもさらに、“ととのう” 内容になっています。 特に弦楽器や木管楽器の流麗な音色が美しく、ぜひ耳休めに聴いて頂きたい、流して頂きたい内容です。

「サティ:ジムノペディ~ピアノ作品集」

アンヌ・ケフェレック

参考リンク

エラートやヴァージン・クラシックスといったレーベルに数多くの録音を残すフランス人女流ピアニスト、アンヌ・ケフェレックによる1988年に録音されたエリック・サティのピアノ作品集です。 サティの作品は、洗練されながらもどこかユーモアがあり、摩訶不思議な世界観に引き込まれる魅力があります。 誰もが一度は耳にしたことがあるジムノペディやグノシエンヌといったサティの代表曲が教会で収録されており、ピアノの姿が、奥の方で豊かな残響を纏って儚げな姿で描き出されます。 それでいて、タッチのダイナミクスやフレージングは明瞭さが保たれており、端正で注意深くも柔和さを備えた演奏によって、音楽を流した場所の雰囲気をガラッと変えてしまう力があり、作品の世界観が見事に表現されています。 イラストによるアートワークも印象的で素敵です。

シベリウス:交響曲第2番

ヴラディーミル・アシュケナージ指揮、フィルハーモニア管弦楽団

シベリウスは、以前の記事に書いたクラシック音楽の時代区分でいうと、後期ロマン派の時代から近代にかけて活躍したフィンランドの作曲家です。 彼は、自国の民族性や自然、歴史などを音楽の要とする国民楽派の作曲家ともいわれ、この作品も、フィンランドの雄大な自然を思わせる情景的な描写が印象的な楽曲となっています。 緑深い山々から優しく吹き降ろされるそよ風かのような、弦楽器による優しいフレーズから始まるこの曲は、ときに大自然の厳しく荒々しい表情を見せつけながらも、キラキラと光る朝焼けや夕映え、朝霧の立ち込める清涼な雰囲気など、自然が垣間見せる美しさを想像力豊かに伝えてくれます。 そういったイメージ豊かな情景描写だけでなく、それを数多くの楽器を巧みに用いながら綿密な時間構成とともにコンポジションしていく「交響曲」というジャンルの素晴らしさが、見事に伝わる作品なのです。 この盤は、演奏だけでなく音質も素晴らしいのでオススメの一枚です。

Words:Saburo Ubukata