ベッドのサイドテーブル

寝たいのになかなか寝つけない。そんな招かれざる夜はよく訪れる。原因のひとつには、睡眠環境の音がある。どれだけ静かな場合であっても、ドアの開閉音や犬の鳴き声、道路を走る車の音などの小さな物音が気になり、眠りにつけなかったり目覚めてしまうことがある。眠れないときほど音が気になってさらに眠れない、というのもよく聞く話だ。

そんな眠れぬ者たちがスマホに入れておきたいのが、眠りに誘うアプリ「 White Noise(ホワイト・ノイズ) 」。アプリに収録された40種類以上の音を選定し聞くことで、ぐっすり就寝できることを促す。

扇風機の音、掃除機の音が眠りのノイズ?

安眠に効く音と聞けば、波や小川のせせらぎ、鳥のさえずりなど癒しの音を想像するが、ホワイト・ノイズが提供する音はその上をいく。そのラインナップ、雷雨や風といった激しめの自然の音、車のボディに打ちつけられる雨音、水は水でもスプリンクラーの音といったちょっとツイストがかかったマニアックな音たち。さらに、キャンプファイアやアマゾン熱帯林、街の雑踏といった、シチュエーションくくりの音もある。扇風機や食器洗浄器、掃除機といった機械の音、カエルの鳴き声や猫のゴロゴロといった、本当に眠れるのか心配になってしまう謎サウンドなどが並ぶ。チベットシンギングボウル(チベットのラマ教の高僧が使う仏具)など、王道スピリチュアル系サウンドもあった。

安眠したいのに、なぜ扇風機や掃除機のうるさい音を聞くのだろう。その疑問はアプリの名前である「ホワイトノイズ」が晴らしてくれる。ホワイトノイズとは、換気扇の「ゴーッ」やテレビの砂嵐の「ザーッ」「シャーッ」など、音色を持たない雑音のこと。人間の耳に聞こえるすべての周波数が均等に混ざった音で、不意に聞こえる物音をかき消し、睡眠の質の向上に効果があるといわれる。

「暴風雨」の音を再生するスマートフォン画面

同アプリ最大の特徴は、複数の音を組み合わせ自分だけの“ホワイトノイズ”を作り出せること。たとえば大雨と雷を組み合わせ「暴風雨」を再現したり、鈴とチャイムの音を組み合わせ自分だけの癒し音を作ったりできる。最大で5つの音を組み合わせることが可能だ。「移動中の仮眠に一役買っている」というすきま時間に質のいい仮眠を取りたいビジネスピープルや、「子育て中の夜中の助っ人です」という赤ちゃんの夜泣きでぐっすり眠れない母親など、幅広いユーザーの睡眠を助けている。

“(物)音”で寝れないのなら“(ホワイト)ノイズ”で解消。これからの眠れぬ夜は、羊を数える代わりにホワイト・ノイズを使いたい。

Eyecatch Illustration: YOHAKU YOKAI ART
Images: White Noise
Words: Yu Takamichi(HEAPS)