もう一人カラオケは飽きた。さすがに一人ギターは疲れた。早くセッションがしたい、みんなと音楽が作りたい。都市封鎖、外出禁止令により孤独を感じずにはいられなかったコロナ禍の音楽好きたちへ実験的に発表されたのは「離れているけど、一緒に音楽を作ろう」と呼びかける遠隔セッションアプリ「 COLLAB(コラボ) 」だ。

COLLABバナー

Facebook社内の研究開発チームが考案した同アプリでは、楽曲や動画を「作って・観て・組み合わせて」あちこちにいるユーザーとその名の通り“コラボ”することができる。使い方は、こうだ。

1、自らの演奏風景を動画で撮影(15秒まで)。アプリに登録。
2、他ユーザーの演奏動画をスワイプ。コラボしたい音や演奏を見つける。
3、世界各国のユーザーと音のセッションをし、新しい楽曲を作る。

一度にセッションできるのは、3つの音まで。途中でスワイプして新しい音(コラボ相手)にチェンジすることも可能だ。組み合わせは無限大で、ギターとドラム、シンセを組み合わせて新曲を作ったり、自分と他ユーザーの歌声でハモったり、太鼓とオカリナとドラムマシンという異色の組み合わせサウンドを生み出すこともできてしまう。完成したコラボ動画はアプリ内で公開することはもちろん、インスタグラムやフェイスブックといったSNSでも共有可能だ。

「動画でコラボ」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、他ユーザーが投稿した動画とコラボできるティックトックの「デュエット」かもしれない。いや、そういえば名前も似ている。だが、TikTokではアプリが用意している既存の人気楽曲を使用して動画を作りコラボするのに対し、一方のコラボでは完全オリジナルの曲で動画を撮りコラボをする。

これまでも、プロやセミプロのミュージシャンたちがミキシングや編曲などの作業をコラボしておこなえるような音楽アプリは存在していたが、コラボが大前提からして違うのは「ユーザーに“プロ”を求めていない」ところ。肩の力を抜いて「音楽をたのしむこと・実験すること」が目的で、専門的な知識はいっさい不要。なんなら演奏はタンバリンを叩くのでもよし、おもちゃの木琴を演奏してもよし、もっと言えば自分の足でリズムをタップするだけでもオーケーという敷居の低さ。

演奏している様子

現在、アプリは招待制で、米国とカナダでのみ利用可能。まずはウェイティングリストに登録し、承認を受けてから利用開始となる。

コロナ禍、歌手の星野源が楽曲『うちで踊ろう』をソーシャルメディアで公開し、「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」と共作を呼びかけたところ、著名人やファンが参加し、瞬く間に世界中に拡散されたことは記憶に新しい。テクノロジーに大いに頼り、遠い者同士でも繋がれるという遠隔セッションアプリを通して、新しい音楽作りのたのしさや可能性を発見したい。

Eyecatch Illustration: YOHAKU YOKAI ART
Images via Collab
Words Yu Takamichi(HEAPS)