どちらも首から上のファッションのポイントになるメガネとヘッドホン。しかし組み合わせるとなると、「相性が悪そう」「主張が強くなり過ぎる気がする」「圧迫されて耳が痛くなりそう」というイメージもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、東京・恵比寿にあるメガネのセレクトショップ Continuer(コンティニュエ)にオーディオテクニカのヘッドホン3機種を持ち込み、スタッフの石川大貴さん、西原空さん、そして店長の志岐俊典さんに、それぞれのヘッドホンにおすすめのメガネ・サングラスを店内から2本ずつセレクトしていただきました。(ちなみにContinuerのスタッフさんは、普段もヘッドホンを使用している音楽好きが多いとか。)

石川さん
石川さん

石川さんが手にした『ATH-M50xBT2』は日常での使用はもちろん、プロの現場ではモニターヘッドホンとしても使われる製品。高品質の音を表現するために、しっかり耳を包み込む構造のヘッドホンです。

西原さん
西原さん

西原さんが選んだのは『ATH-S300BT』。音質はもちろん、⾝に着けたときのシルエットにもこだわって設計されており、ヘッドホンが頭に沿うようにフィットする形状が特長です。

志岐さん
志岐さん

そして志岐さんが手に取ったのは、ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン『ATH-CC500BT2』。耳をふさがずに音を聴くことができるので長時間使用しやすく、耳穴が蒸れないので衛生面でも安心です。

――本題に進む前に、今回の記事で登場するメガネ用語について、簡単にご紹介します。

たとえば「インナーセル」を「インナーリム」など、同じ箇所でも違う呼び方をする場合があります。
たとえば「インナーセル」を「インナーリム」など、同じ箇所でも違う呼び方をする場合があります。

存在感のあるブラックのヘッドホンには、線の細いメガネでバランスを

まずお話を伺うのは、ATH-M50xBT2を選んだ石川さん。ヘッドホンとの組み合わせに選んだ2本のフレームについて、ご紹介ください。

石川:普段はワイヤレスイヤホン派の僕ですが、今回初めてヘッドホンを試してみました。実際に装着してみると、イヤホンに比べて見た目にも装着感にも重厚な存在感があり、音楽にしっかりと没入できる印象を受けました。特にこのモデルはモニターヘッドホンということもあり密閉感が高くて、音楽に集中したいときにはぴったりの仕様ですね。

ただ、耳まわりをしっかり覆うことで全体にボリュームが出るため、今回はその印象を軽やかに整える意味でも、 “見た目にも、かけ心地にも軽さを感じさせる” フレームをテーマに眼鏡を選んでみました。

まず1本目は〈YUICHI TOYAMA.〉の「U-168 Gyorgy Col.02」というモデルです。色々なコンセプトのデザインをシリーズで展開しているブランドなのですが、今回選んだのは「Double Dutch」と呼ばれる、デザイナーの外山さんが縄跳びのダブルダッチから着想を得てできたデザインシリーズのフレームです。

普段の営業ではどのような方におすすめしているのでしょうか?

石川:メガネを日常のスタイルにさりげなく取り入れたい方や、気分を変えたいときに装いのアクセントとして楽しみたい方におすすめしています。いわゆる黒縁眼鏡などに比べて主張が控えめな分、これまであまりメガネをかける習慣がなかった方にも取り入れやすい一本だと思います。

YUICHI TOYAMA. Mod.U-168 Gyorgy Col.02
YUICHI TOYAMA. Mod.U-168 Gyorgy Col.02

こちらのブランド、他のフレームでも迷われていましたよね。

石川:YUICHI TOYAMA:5というプレステージラインの「MALIBU Col.02」とも迷いました。ただ今回は、あえて “軽量ながらも存在感のあるビッグシェイプ” という、一見ギャップのある組み合わせを選んでみました。ほんのりナードなニュアンスを含んだ「U-168 Col.02」は、テクニカルな印象のモニターヘッドホンにも合うかと思いますし、フレームは細身でありつつもレンズの余白が大きいシェイプは、カラーリング次第では見た目の印象も思いのほか軽やかなんです。

YUICHI TOYAMA:5 Mod.MALIBU Col.02
YUICHI TOYAMA:5 Mod.MALIBU Col.02

U-168とヘッドホンとのかけ心地の相性はいかがですか?

石川:抜群ですね。通勤時間やおうちでリラックスするときでも、安心して使っていただけそうなかけ心地です。

それにしてもヘッドホンって、音の没入感がすごいですね。電車で使ったらうっかり乗り過ごしそう(笑)。

ATH-M50xBT2で聴きたい音楽はありますか?

石川:音楽に浸りたいので、エレクトリック・ライト・オーケストラ(Electric Light Orchestra)とか。「Mr. Blue Sky」なんか良さそう。

いいですね!では続いて、2本目のご紹介をお願いします。

石川:はい。2本目に選んだのは〈Lunetta BADA(ルネッタ・バダ)〉のサングラスです。1984年に東京・代官山で誕生したアイウェアブランドで、80年代当時、その革新的なデザインで多くの著名人やファッションフリークを魅了していました。その後、ブランドは休止したのですが、2022年にその当時を知る職人や関係者、ブランドに魅せられた有志の方達によって新たに始動しました。こちらはその最新作です。

ここ十数年ほどはクラシックな形のフレームが人気なのですが、この「73/05 Col.1070」というモデルは90年代〜00年代初頭のデザインを感じる形です。定番とは一味違った、新しいアイウェアのスタイルを取り入れたい方におすすめですね。

先ほどのYUICHI TOYAMA.もそうですが、日本のブランドです。どちらも「メガネの産地」と呼ばれている福井県の鯖江市で生産されています。

Lunetta BADA Mod.73/05 Col.1070
Lunetta BADA Mod.73/05 Col.1070

こちらのフレームを選んだ決め手は?

石川:黒いヘッドホンの存在感に対して、シャープなフレームがよく映えると思い、このモデルを選びました。黒のトーンは揃えつつも、線の細いメタルフレームと薄めのレンズで、視覚的に重さを感じさせない、抜け感のある印象になります。

この組み合わせでレンズが濃いと全体の印象が強くなりすぎてしまうので、あえて目が透けるくらい薄い色で。夏場にはサングラスとしての機能も大切ですし、音楽を楽しむ時間や気分を上げたいときに、目元でもテンションを演出できる一本だと思います。

ベージュのヘッドホンには、色で遊びを取り入れてみました

では続いて西原さん。ATH-S300BTとの組み合わせに選んだ2本のアイテムについて、ご紹介ください。

西原:ヘッドホンの色がベージュだったので、カジュアルでヘルシーなイメージに合うフレームを選びました。僕自身も気に入っている、ドイツのブランドからセレクトしています。

まず1本目は〈HAFFMANS & NEUMEISTER(ハフマンス・アンド・ノイマイスター)〉です。ねじを使わない構造の、シンプルな美しさとデザインが特徴的なブランドです。

メタルとセルが組み合わせになっているメガネですね。

西原:石川さんのようにシンプルなメタルフレームを選ぶのもありだと思ったんですが、ヘッドホンのカラーがベージュなのでラフというか、カジュアルでヘルシーな印象にしたいと思ったんです。だからインナーセルで色が入っているもの、HAFFMANS & NEUMEISTERからはグリーンのフレームを選びました。

この「Harper Col.507」は一見するとややマニアックなデザインですが、柔らかな色合いとサイズ感が意外とかけやすいモデルなんです。こういった形は、どちらかといえば男性に選ばれやすい傾向がありますが、極細のシートメタルのシルバーとモスグリーンのカラーが上品かつ知的なアクセントになって、メガネをファッションの一部として楽しみたい女性にもぜひ手に取っていただきたい一本です。

HAFFMANS & NEUMEISTER Mod.Harper Col.507
HAFFMANS & NEUMEISTER Mod.Harper Col.507

ヘッドホンとのかけ心地はいかがですか?

西原:僕自身もヘッドホンを使うのですが、自前のメガネはメタルのものが多いので、今まではそこまで「かけづらい」という印象はなかったんです。でも今日改めてヘッドホンと色々なフレームをかけ比べてみると、やはりセルフレームのようにテンプルに厚みがあるものよりは、メタルのほうがスッキリかけやすいなと思いました。

ATH-S300BTで聴きたい音楽、ありますか?

西原:音楽ではないんですが、最近ラジオが好きで。やはり『おぎやはぎのメガネびいき』ですね(笑)。

…やはり!(笑)では続いて、2本目のご紹介をお願いします。

西原:2本目は〈MYKITA(マイキータ)〉です。先ほどのHAFFMANS & NEUMEISTERよりも、より個性的なモデルも多く発表されているブランドですが、こちらの「HELMI Col.701」はデイリーでも使えるデザインです。

他にもいくつかのフレームも手に取っていましたよね。

西原:そうですね。アシンメトリーなデザインが特徴の〈MASAHIROMARUYAMA〉の「MM-0071 Col.2」や、僕たちContinuerのオリジナルブランド〈ARCH OPTICAL(アーチ・オプティカル)〉の「A/a-HEG Ⅱ SUN Col.CKH」もヘッドホンのクリーンなベージュカラーとの組み合わせをより楽しめるかなと思い、迷いました。

ARCH OPTICAL Mod.A/a-HEG Ⅱ SUN Col.CKH(着用しているサングラス)、MASAHIROMARUYAMA Mod.MM-0071 Col.2(手に持っているメガネ)
ARCH OPTICAL Mod.A/a-HEG Ⅱ SUN Col.CKH(着用しているサングラス)、MASAHIROMARUYAMA Mod.MM-0071 Col.2(手に持っているメガネ)

最終的にこちらを選んだ決め手は?

西原:やはり色ですね。ベージュとオレンジの組み合わせでかわいい感じでありつつ、サングラスにするとレンズの色が入るので、雰囲気が締まります。シンプルなファッションのアクセントにもおすすめです。

この「HELMI Col.701」のテンプルエンドはセルですが細身なので、ヘッドホンと合わせても耳が痛くなりにくいと思います。実際に自分でもこのATH-S300BTと合わせてかけてみましたがそこまで違和感はなかったし、メタルのフレームとほぼ同じかけ心地に感じました。

MYKITA Mod.HELMI Col.701
MYKITA Mod.HELMI Col.701

骨伝導ヘッドホンは耳の後ろが干渉されないので、幅広い眼鏡を選びやすい

志岐さんが選ばれたのは、骨伝導ヘッドホンのATH-CC500BT2ですね。他の2機種とは一味違いますが、いかがでしょうか?

志岐:骨伝導ヘッドホンって初めて使いましたが、おもしろいですね!このATH-CC500BT2は形がシンプルだし、耳が塞がれないので、あまり干渉を気にせずにフレームを選べそうです。装着しても髪型が崩れないのも良いですね。

ではさっそく、選んだ2本のアイテムについてご紹介ください。

志岐:まずはフランスの〈MAX PITTION(マックス・ピティオン)〉というブランドから。かつて作られていたデザインを忠実に再現したモデルの「POLITICIAN Col.PIANO BLACK」です。

僕も普段からヘッドホンを使っていますが、普通のヘッドホンだとどうしても耳が痛くなってしまうので、こういうテンプルが太いフレームは敬遠してしまうんですよね。でもこのATH-CC500BT2は構造が全然違うので、フロントも太くて存在感のあるデザインのフレームを選びました。男性はもちろん、女性にもおすすめのモデルです。女性で黒ぶちのフレームを選ぶ方も増えてきましたが、中途半端に太いものよりも、しっかり太いほうが実はファッションとも合わせやすいのでおすすめなんです。

MAX PITTION Mod.POLITICIAN Col.PIANO BLACK
MAX PITTION Mod.POLITICIAN Col.PIANO BLACK

ATH-CC500BT2とのかけ心地はいかがですか?

志岐:かけ心地はかなり良いですね。ヘッドホンからの圧迫を受けないので、長時間つけていられそう。耳の上に引っ掛ける部分はテンプルと当たるけど全然気にならないですし、素材も柔らかいのでフレームを傷つけないのが嬉しいですね。

これをかけて聴きたい音楽はありますか?

志岐:古いジャズですかね。フレームがデザインされた時代にあわせて。マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「In a Silent Way」なんか聴きたいですね。

リラックスしたいときに良さそうな組み合わせですね。

では続いて、2本目はどんなフレームでしょうか?

志岐:〈PETER AND MAY(ピーターアンドメイ)〉から選びました。これは2012年にパリで立ち上がって、近年日本に本格的に上陸したブランドです。こちらの最新作「SKYLOOP SUN Col.BLACK」は割とベーシックというか、スタンダードな形をしているんですが今っぽさを感じるというか。デザインが立体的で美しいんです。

シンプルなので幅広い人におすすめできるサングラスですが、僕的には普段はカタイ仕事をしている人に、プライベートでかけてほしいですね。品があるけど遊びとして取り入れられるのでおすすめです。

PETER AND MAY Mod.SKYLOOP SUN Col.BLACK
PETER AND MAY Mod.SKYLOOP SUN Col.BLACK

ご紹介いただいたフレームはどちらも太いセルのフレームですが、選んでいたときは真逆の細いメタルのフレームも手に取られていましたよね。

志岐:そうですね。個人的にメタルが気分だったので〈10 eyevan(10 アイヴァン)〉の「no.9 Col.1S」を検討していました。ただ、このATH-CC500BT2は、いわゆるヘッドホンと比べるとガジェット感が強い印象を受けたんです。だからメタルで線が細いフレームだとかなりシンプルにまとまるので、僕の好みとしてはちょっと物足りない気がして今回は外しました。スーツのようなカッチリした服装には似合いそうですけどね。

10 eyevan Mod.no.9 Col.1S
10 eyevan Mod.no.9 Col.1S

志岐:ヘッドホンとメガネやサングラスを一緒に使っていると、特に長時間の着用でかけ心地が気になったり、フレームのネジがゆるみやすくなったりすることがあります。多くのアイウェアショップでは顔の形や普段のライフスタイルに合わせてフレームのかけ心地を調整してくれるので、ちょっとでも気になることがあれば、気軽に相談してみてください。


Continuer

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Words & Edit:May Mochizuki

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