御茶ノ水の小さな路地に面したジャズ喫茶『Donato(ドナート)』。
もともとは昭和60年にオープンした喫茶店だったが、現オーナーの加藤寛之さんが店舗を丸ごと引き継ぎ、装いを新たにして2021年11月に開店した。
居抜きの店内に加藤さんが加えたものは本棚と少しの装飾品、オーディオスペースのみ。本棚にはジャズや映画の本の他に、AKIRAやドラゴンヘッドなどの漫画も並ぶ。壁にはモダンな写真が飾られる一方で、昭和から吊るさっている味のあるランプシェードや少し黄ばみがかったテーブルや椅子など、クラシックな喫茶店の匂いも色濃く感じられる。

レコードプレーヤーとアンプ
レコード盤

レトロモダンなオーディオスペースには、空間との相性を考慮したAltecのコロナド、Marantzのパワーアンプ、Dynacoのプリアンプが置かれている。ターンテーブルには忙しい営業時の利便性も考慮してオート機構のついたTechnicsのSL-1600を揃え、壊れにくくもしっかりと鳴るシステムに仕上げている。
開業以前はレコードショップで働いていた加藤さん。ジャズだったら古いもの新しいものに限らずなんでも流す、と言いつつもMuse Recordsが好きだったりブルーノートレコードや新譜は流さないなど、選曲へのこだわりには抜かりがない。

音楽を楽しんでもらうために会話の音量に対する注意書きも見受けられるがそこまで頑固なスタンスではなく、誰でも気軽に音楽を楽しみに来て欲しいと語る加藤さん。古典的で敷居が高く感じるようなジャズ喫茶の重苦しさは皆無で、むしろ誰でも気軽に入れるような新しい時代のジャズ喫茶という印象を受ける。若い女性客が一人で訪れる事も多いそう。

電話ボックスの中
電話室

メニューはサイフォンで淹れたコーヒーの他に、トーストやカレーなどの軽食、さらにお酒も楽しめる。モーニングからディナータイムまで、幅広いシチュエーションで利用できるのではないだろうか。往年のジャズファンから若い世代まで、幅広い年代に刺さるセンスで作り上げられた次世代のジャズ喫茶Donato。今後の展開が楽しみなお店だ。

Donato外観

Donato

〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台3-3-8 五明館ビル1F

Photos & Words by Masahiro Takai