吉祥寺駅から徒歩約15分、吉祥寺通りに面したバー『SILENCIO(シレンシオ)』。
ライトグレーに塗られた壁とウッドを基調にした店内からは、クリーンでモダンな印象を受ける。本棚にはナンゴールディンやダイアンアーバス、ロバートフランクの写真集、音楽やコーヒーの雑誌、ルイーズネヴェルソンのアートピースなど、心地のよい趣味がうかがえる。

店主の荒山さんは十代の頃から音楽が好きで、クラブに通い始めたことをきっかけにターンテーブルを購入してレコードを集めだした。ディープハウスのDJとして都内のクラブなどでもプレイしていた経験もある。開業前は17年ほど運送業をしていたが、コロナの影響で仕事が減り、自宅で好きなレコードを聞く日々を過ごしていた。その中でこの先に何をしたいのかと考え、自分の好きな音楽に関わる事を生業にしようと心に決めた。
しかし物件を探し始めるも、なかなか思うように物件は見つからなかった。そんなある日、居抜きで条件にあった空間を吉祥寺で見つける。着々と準備を進め、2021年11月にSILENCIOをオープンした。

店内のレコード棚

店内の壁は自身で塗りなおし、バーカウンターや棚などは株式会社デキマスワークスによって手掛けられた。六畳ほどの小さな店は音楽好きな友達の家に遊びに来たような感覚を覚える。
店名の由来はデヴィット・リンチの映画「マルホランド・ドライブ」に出てくる「クラブSILENCIO」。荒山さんは幅広いカルチャーに精通しているので、音楽以外の話をしに訪れるのも楽しそうだ。

店内のカウンター
真空管アンプ

オーディオコーナーにはAlpha Recording Systemのロータリーミキサーが鎮座しており、Softoneの真空管アンプにJBLのNOVA 88スピーカーが繋がれている。The Blue Nileの名盤「Hats」をかけてもらったが、小さい店内とあいまってしっかり響いて快い重さの音が聞けた。

筋金入りのジャズ喫茶ではなく、”レコードバーあるいはお酒も飲める喫茶店”というスタンスで、ウィンドウのサインにはJazzとOtherの文字が掲げられている。
オープン当初はジャズ関連のTwitterで話題になったこともあいまってこだわりの強い客層が多かった。しかしジャズ以外にもAORやブラジリアンサイケ、アシッドフォークなど、荒山さんの趣味がより反映された幅広いジャンルの音楽を流すようになった結果、今ではさらに広い客層から支持を集め続けている。

コーヒー

メニューはクラフトジンを中心にしたメニューで、お酒が飲めない人にはコーヒーなどのソフトドリンクも揃えている。
今後は荒山さんがセレクトしたレコードをお店で販売したり、よりレコードを愛する人々が楽しめるような空間にしていきいたいとのこと。

ルイーズネヴェルソンのアートピース
店舗外観

SILENCIO(シレンシオ)

〒177-0054
東京都練馬区立野町10-37
月~金 18:00-24:00
土日祝 14:00-21:00
不定休

Photos & Words by Masahiro Takai