赤坂の雑居ビル二階に位置する40年以上の歴史を誇る老舗ジャズ喫茶Volontaire。

オーナーの坂之上京子さんは、故郷の鹿児島で親族が音楽の聴けるお店を経営していた関係で、幼少期からミュージシャンの生演奏に触れ、音楽が近くにある環境で育ち、ジャズはもちろんビートルズやローリングストーンズなど様々な音楽を聴いて10代を過ごした。グラフィックデザインの学校に通うため18歳で上京、25歳の時知り合いづたいにたまたま聞いた原宿のお店を引き継ぐ形でボロンテールを1977年にオープン。神宮前交差点近くに店舗を構えた当時の原宿は今のようにお店も多かったわけではなかったが、デザイナーやカメラマン、ファッション関係者などのクリエイターのオフィスがあったりしたので、自然とカルチャー色の強い顧客が増えていった。
そんな原宿の店舗は34年後に区画整理のため移転を余儀なくされ、100件以上の店舗を見て回った末、京子さんが直感で選んだ赤坂の地に移転オープン。

店内のスピーカー

店内に足を踏み入れると明るい色味の木を基調にしたバーカウンターや壁、浅い色合いの赤いカーペットとバースツールが優しい雰囲気と笑顔が素敵な京子さんの人柄を表している。
VolontaireのスピーカーJBL LE8TとプリメインアンプSA660は原宿時代から親交がある一ノ関にあるジャズの聖地とも呼ばれる名店ベイシーのオーナー菅原さんから薦められたセットアップで40年以上訪れる人々の耳を楽しませている。ターンテーブルはこちらも原宿時代から店を支え続けているガラード401、購入後一度しか故障がないという。全体的に柔らかい音だが鳴らす時は鳴るそんな音色がとても気に入っているとのこと。

コースター

様々な文化人が愛したボロンテールの中でもイラストレーターの和田誠さんとの関係はとても深い。原宿店オープン当初からの常連であった和田さん。京子さんの大好きなビリーホリデイのイラストをコースター用に描いてもらったのをはじめに今ではレスターヤング、カウントベイシー、デュークエリントンの愛らしいコースターが揃っている。
その他店内にはチャップリンの名曲スマイルの譜面のイラストや和田さんの作品が所々に飾られておりジャズ界の偉人達の写真などと共に店内に優しい雰囲気を添えている。

飾られている絵

お店では3000枚ほどあるレコードから京子さんの好きなビリーホリデイやレスターヤングを中心にモダン、ニューオリンズやスウィングなどオールジャンルなジャズを流しているが時には京子さんが青春期に慣れ親しんだビートルズなどのロックもかけているとのこと。
原宿時代から通いつめてくれているお客様や移転してからのお客様、最近ではSNSや雑誌を見てお店に来てくれる若い世代も増えていて、そんな人々といい音楽を共有して、楽しんでもらえることがとても嬉しいと笑顔の京子さん。

オーナーの坂之上京子さん

とにかく自由な雰囲気が漂う京子さん。いろんな音楽を楽しんで欲しいとのことで、隔月でオーディオファブ社の古屋 明氏が作るSP盤用カートリッジを使用したSP盤大会や、ドーナツ盤大会なども原宿時代からずっと続けている。ジャズはもちろんロックや歌謡曲など幅広い選曲で訪れる人を楽しませている。

とても明るく陽気な京子さん。ポジティブな雰囲気が流れる店からは多くの文化人に愛されてきた理由を垣間見ることができる。ちょっと疲れた時はボロンテールに行ってみると良いかもしれない。

飾られている楽譜

Volontaire(ボロンテール)

〒107-0052
東京都港区赤坂5-1-2 赤坂エンゼルビル2F
営業時間 12:00 – 24:00
Cafe Time 12:00 – 18:30 (L.O.18:00)
Bar Time 18:00 – 24:00 (L.O.23:30)
定休日:日曜

Photos & Words by Masahiro Takai