「レコードは音質がいい」「レコードの音には温かみがある」とはよく耳にしますが、いまの令和の時代において発売されたレコード、その音質はいかに?ここではクラシックからジャズ、フュージョン、ロックやJ-POPなど、ジャンルや年代を超えて日々さまざまな音楽と向き合うオーディオ評論家の小原由夫さんが最近手に入れたレコードの中から特に<音がいいにもほどがある!>と感じた一枚をご紹介いただきます。

豪華ゲストが集結した注目作

現代ジャズ界を牽引するミュージシャンの一人、クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)。今日数少ないビックバンドジャズのリーダーとして活躍するベーシストでもあり、これまでもその大所帯を率いてスタジオアルバム、ライブ盤などを多数リリースしてきた。

その最新作は、ゲスト・ヴォーカリストを迎えて臨んだスタジオ作で、スティング&アンディ・サマーズ(Sting & Andy Summers)といった「ポリス(The Police)」組の大御所から、重鎮ヴォーカリストのダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)やホセ・ジェイムズ(Jose James)、今をときめく若手スターのサマラ・ジョイ(Samara Joy)などが1曲ずつ参加した、たいへん豪華なアルバムだ。

録音スタジオは、米ニューヨークのPower StationやSear Soundなど4箇所が使われており、録音時期は2022年10月から2024年10月までと、何故か飛び飛び。ミキシングはSear Soundにて、トッド・ホワイトロック(Todd Whitelock)が担当。マスタリングは米ニューヨークのBlue Engineにて、マーク・ワイルダー(Mark Wilder)が担った。

Without Further Ado, Vol.1

全8曲全編に渡り、マクブライドのベースがサウンドステージの中央にどっしりと鎮座している。まさしく軸として演奏全体をがっちり支えている様相だ。

A-1「Murder by Numbers」では、サマーズのディストーションギターがありきたりなビッグバンドジャズに止まらない異色のムードを生み出している。スティングの声も、円熟な色気を醸し出しているかのようだ。

サマラが歌うA-3「Old Folks」は、丁寧に歌う彼女の姿がステレオイメージの中央に浮かび上がる。伴奏が紡ぎ出す雄大なスケール感を背にして、実に堂々とした表現力だ。

A-4「Moanin’」では、50年代から60年代にかけてのビッグバンドジャズ黄金時代の雰囲気を彷彿させるスウィング感が味わえる。ホセの歌は時折フェイクを交え、まさしく王道的な熱唱を展開する。

個人的には、アルバムタイトル末尾の「Vol.1」という記載から、第2弾、第3弾のリリースを期待しているのだが、果たして……。

Words:Yoshio Obara

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