トリリンガル(日・英・韓)ソロアーティストとして歌・ダンスを巧みに操る表現者であり、自身で楽曲制作にも携わるNOA。俳優業にも精力的に取り組んでおり、直近では主演を務めるドラマ主題歌の書き下ろしに挑戦するなど、マルチな才能を開花させている。今回は、そんなNOAの「音楽を聴く・制作する」視点にじっくりフォーカスしたインタビューをお届けする。
「無音でいるときはあまりない」というほど音楽漬けの日々を送る彼が音楽を楽しむ/制作する環境の話題から最新曲の制作について、さらには昨年よく聴いた楽曲やお気に入りのアナログレコードの魅力までたっぷり話を聞いた。
「ずっと聴いています」制作中もプライベートも音楽とともに
普段はどんな環境で音楽を聴くことが多いですか?
パッと思い浮かぶのは車の中ですね。ドライブが好きで、運転しながら音楽を聴いていて。制作中の曲をかけて良し悪しを判断する場所でもあるんです。スピーカーはちょっとだけ低音を強めにしています。すごく気持ちのいい音で、あとでモニターヘッドホンで確認したときに「あれ?ちょっと感じが違うな」と思ってしまうこともあるので、注意は必要ですが。
車以外の場所ではどうですか?
家の中でもずっと音楽を聴いています。スピーカーにつないだりイヤホンだったりするんですけど、無音でいるときはあまりなくて。基本的には低音がしっかり出ている機種を選ぶことが多いですね。
イヤホンはフィット感によって聴こえ方がだいぶ違うので、カナル型、インナーイヤー型などいろいろ試しています。ショップに行って、実際に手に取ってみることも多いです。サイズ感や重さは触ってみないとわからないので。できるだけカバンを持ちたくないので、イヤホンは極力軽いほうがいいんですよね。
楽曲制作の環境についてはどうですか?
家で作ることが多いんですけど、自分の部屋にオーディオインターフェイス、モニタースピーカーがあります。マイクはオーディオテクニカの『AT2020』。デビュー前から使っていてすごく気に入っているし、使いやすいです。
普段使っているイヤホンでミックスチェックをすることもけっこうあります。リスナーの皆さんもそれぞれの環境で聴いてくださっていると思うんですけど、おそらくモニタースピーカーで聴くことはあまりないと思っていて。皆さんと近いリスニング環境でチェックするのがいちばんの正解じゃないかなと。
ツアーのたびに既存曲をリアレンジ ビートに対する飽くなき探究心
制作中、パフォーマンスするときのことも想定していますか?
それはやっと考えられるようになってきましたね。ライブを重ねるなかで「こういう音でも盛り上がりそう」とか、振付や演出に合わせた音作りをイメージできるようになって。最近はツアーのたびに既存曲をリアレンジしています。
それもライブのなかで盛り上がるポイントが見えてきたからなんですけど、「ここはもうちょっと盛り盛りにしたい」とかいろんなアイデアが出てきて。自分でビートを作っているからこそ「今だったらもっとしっかり打ち込める」「クオリティを上げられる」という考えにつながっているんだと思います。
ライブに来てくださる方も、毎回、新鮮な気持ちで楽しんでくれていたらうれしいです。
新曲「Say Yes」は、NOAさんが主演をつとめるドラマ『救い、巣喰われ』エンディング主題歌です。
最初からドラマの主題歌として制作しはじめた曲ですね。曲調やサウンドもドラマの雰囲気としっかり交わっていけるようにしたくて。最初は「メロウな感じがいいのかな」と思っていたんですけど、ドラマ自体にサスペンスの要素があって、(NOAが演じた主役)宝生千秋が狂気的になるシーンもあるので、曲にも勢いや強気なところもあったほうがいいのかなと。
曲調はすぐに決まって、ドラマのプロデューサーの方から「最高です」というお言葉もいただけました。曲の制作とドラマの撮影が重なっていたのもあって、僕が演じさせてもらった役を降臨させて書けた感覚もありました。基本的には作りたいように作らせてもらったし、すごく楽しかったです。
サウンドメイクで試行錯誤した部分は?
Aメロに関しては、これまでの曲に比べて音数が少なくなっています。普段は音数を増やすことが多いので、自分にとってはかなり挑戦でした。サビは「どれだけ歪ませられるか?」という方向性がありつつ、そのなかに洗練された雰囲気も入れたくて。それも含めて上手くドラマとリンクできたんじゃないかなと思っています。
1月のホールツアーの東京公演で「Say Yes」を初披露したんですけど、皆さんすごくいい感じで受け止めてくれて。そのときはハーフサイズだったので、フル尺を披露するのも楽しみですね。ドラマと一緒に楽しんでいただきたいです。
レコードで音楽を聴く楽しみ「香りのようにフワッと音が広がっていく」
NOAさんにとっていつでも聴いていたい楽曲は?
いろいろあるんですけど、やっぱりビッグバン(BIGBANG)ですね。朝の情報番組で「ビッグバンが日本デビューします」というニュースを見たのがビッグバンを知ったきっかけで。
そのときに聴いたのが、日本デビュー曲の「MY HEAVEN」でした。いつでも聴きたくなるし、何度聴いても新鮮で。ずっと好きな曲ですね。
昨年よく聴いていたアルバムは?
それも、ビッグバンのG-DRAGONさんが昨年リリースした『Übermensch』です。ストリーミングでも “あなたのトップソング” の1位になっていたし、ずっと聴いてましたね。8年ぶりのアルバムだったのですが、いい意味で変わっていなくて「王様が戻ってきた」という感じがありました。
自分がアーテイストとしてデビューした後、G-DRAGONさんが戻ってきてくれたのがすごくうれしい。ライブにも行きましたし、昨年はずっとG-DRAGONさんの音楽に触れていた気がします。「いつか絶対に会う」と決めているので、実現できるようにがんばります。
その他には、ジャンル的にはインディーポップが好きです。いろんなプレイリストを聴いて、まだ出会っていないアーティストを探し続けています。
アメリカのデュオ、ジョーン(joan)とはコラボレーションさせてもらって(「superglue feat. NOA」)、2023年の来日公演にもゲスト出演させてもらいました。一昨年はカナダのヴァリー(Valley)とも一緒に曲を出したし(「Natural – Japanese Version」)、もともと好きだったアーティストとコラボできるのはすごくうれしいですね。
普段は打ち込みで作ることが多いんですけど、バンドと一緒にやると「生音じゃないと出せないテイストがある」と実感できたり。いつも違う刺激があるし、得られることも多いです。
アナログレコードも普段から楽しんでいるそうですね。
はい。そんなに持っている枚数は多くないですけど、たまに家でレコードをかけています。レコードで聴くと部屋の雰囲気が変わるし、香りのようにフワッと音が広がっていく感じもあって。デジタルの音も好きですけど、やっぱり音質が違いますよね。
サブスクだとどんどん飛ばしながらいろんな曲を聴いたりしますが、レコードはそれができないのが逆によくて。「当時の人たちもこの音で聴いていたんだな」と感じられるのもいいんですよね。
お気に入りの1枚として、スウィッチ(Switch)のアルバム『Switch Ⅴ』を挙げていただきました。スウィッチは70年代後半~80年代に活躍したR&B、ソウル系のバンドです。
YouTubeで70年代くらいのディスコ、ソウル系のバンドを検索しているときに見つけました。当時の音楽番組に出演したときの映像だったんですけど、それがすごくかっこよくて。彼らの音楽はサブスクでも聴けるんですけど、『Switch Ⅴ』はアップされてなかったんですよ。
あとは、ジャケ買い的なところもありますね。レコードショップで見たときに、ジャケットがすごくかわいくて。壁にかけてインテリアとしても楽しんでいます。
70年代のブラックミュージックもお好きなんですか?
そうですね。いろんなプレイリストを聴きながら掘るのも好きだし、知らないアーティストに出会うのも楽しいので。今はテクノロジーが発達していますけど、当時の音楽はすべてミュージシャンが演奏しているし、「生きている」という感じがあって。今聴いても素晴らしいなと思うことが多いです。
今後、リスニング環境でアップデートしたいところはありますか?
部屋のいろんなところにスピーカーを置きたいんですよね。たとえば料理しているときに音が聴こえなくなるのがイヤなんですよ。いつでもどこでも聴ける状態にしたいし、家の中で空間オーディオを楽しめたらすごくいいだろうなって。音楽が好きなので、できるだけ快適な環境で聴きたいですね。
NOA
12歳から18歳まで韓国にてYGエンターテインメントの練習生として経験を積み、作詞・作曲・振付までを自ら手がける、日本語・韓国語・英語を自在に操るトリリンガルのソロアーティスト。
帰国後、2020年よりソロ活動をスタート。2021年にUniversal Musicよりメジャーデビュー。Tofubeatsとのフィーチャリング楽曲「TAXI」がSpotifyバイラルチャート(タイ)で1位を獲得するなど、国内外で注目を集める。2023年にリリースした1stAlbum『NO.A』ではオリコンウィークリーチャート2位を記録。香港・台北・バンコク・ソウルを巡るアジアツアーを開催し、同年には有明アリーナ公演2DAYSを成功させた。
2024年リリースの2nd Album『Primary Colors』では同チャート3位を記録し、自身初の全国ホールツアーを完走。さらに「SUMMER SONIC BANGKOK 2025」ではThonburi Stageのヘッドライナーとして出演し、2026年1月からは全国ホールツアーを開催。カナダのオルタナティブ・ポップ・バンド「Valley」や、オルタナティブ・ポップ・デュオ「joan」など、海外アーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組み、グローバルに活動の幅を広げている。
NOA「Say Yes」配信
2026.3.25 Wed. 0:00AM
Photos:Shohei Hayashi
Words:Tomoyuki Mori
Edit:Chie Hisakura(Real Sound)