探検家が集めた野生の鳴き声と、ビートをミックスして音楽作りを楽しめるオンラインプラットフォーム「Beast Box(ビースト・ボックス)」。音の制作、遊びを通して、世界がいま共通課題として足早に対応せねばならない「野生の生態系」について、考えるきっかけもくれる。

世界野生生物の日、野生動物の声

2022年3月3日は、世界野生生物の日(3月3日)。国連事務総長は「今日、世界中で野生生物が危機に瀕しています。4分の1は絶滅の危機に直面しています。なぜなら、それらが生息する生態系のほぼ半分を私たちが破壊したためです」とメッセージを発した。生物の多様性や自然保護についてをより多くの人が考えはじめたいま、音楽を通しても考えられたら。

その最も気軽なきっかけの一つになり得るのが、野生動物の鳴き声とビートボックスが融合した「Beast Box(ビースト・ボックス)」だ。「Beast Box」は、ナショナル・ジオグラフィックの探検家、Ben Mirinが米コーネル大学鳥類学研究室の協力のもとPC上のプラットフォームとして開発。

Ben Mirin
Beast Boxの音を集めた探検家Ben Mirin。
Photo by Katie Garrett

探検家として世界中を旅しながら、野生動物の声を録音。ユーザーは、その録音されたキリギリスやゾウ、コヨーテなどの鳴き声を楽器として使用し、キャッチーなビートと合わせて、独自のサウンドを無料で作成して楽しめる。サウンド制作をしなくても、聴いてみるだけでも十分楽しめる。老若男女向けだ。

サウンドアーティストでもあるBenは、世界中を旅して動物の鳴き声を録音し、その声をサンプリングして保護を促す音楽を作成することから「wildlife DJ(野生生物DJ)」としても知られている。「Beatboxがきっかけであなたと自然が繋がり、あなたが自然への愛を深め、意欲的に保護しようと思えるようになることを願っています。自然は、私たち全員が共有する未来だからです」と話している。

Beatboxに録音されたサンプルは、30種類ある。野生動物は、アフリカゾウ、オグロヌー、コヨーテ、キリギリス、テイオウゼミ、バンドウイルカ、シロナガスクジラ、ハゲブダイ、テッポウエビ、キホオゴシキドリ、ホオジロカンムリヅル、ハイイロアマガエルなど。エビなどは水中に投打をくりだすときの音であったりと、鳴き声だけでなくさまざまな音がおもしろい。

Beast Boxトップ画面
Image via Beast Box
動物の鳴き声選択画面
Image via Beast Box

ビートボックスには「Basic Beatbox」の他に、生態系にインスパイアされた「Great Barrier Reef Beatbox(オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁地帯グレート・バリア・リーフ)」、「Sonoran Desert Beatbox(米国アリゾナ州・カリフォルニア州・メキシコのソノラ州に広がる砂漠地帯ソノーラン・デザート)」「Madagascar Rainforest Beatbox(マダガスカルの熱帯雨林)」などがある。それらのビートと物の鳴き声がミックスされて、オリジナルのサウンドが完成する。

選択した動物のイラスト
Image via Beast Box
選択した動物のイラスト
Image via Beast Box

野生動物の声や音を聴きながら、そこに記載されてるそれぞれの生息地や生態などのインフォメーションから学べるようになっている。動物の写真を見たり、フィールドレコーディングされた声を聞いたり、生態系やコミュニケーションの取り方を知ることができるため、野生生物についての理解を深めたい人にも向いているコンテンツだ。

決して人の手ではつくりだすことのできない、野生に存在する声や音が地球には数え切れないほどある。一度壊せば取り戻せない自然や野生の生態系について、音からも考えてみたい。

Beast Box

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Eyecatch Image Photo by Derek Rowe for Hello Ocean, Graphic by Yu Takamichi
Words: Hiroko Aoyama (HEAPS)