ヘッドホンを選ぶとき、多くの人が最初に戸惑うのが「種類の多さ」かもしれません。形状の違い、密閉型と開放型の違い、モニター用とリスニング用の違い…調べていくほど、専門用語も増えていきます。
自分に合った一台を選ぶための基礎知識として、ヘッドホンの基本となる形状やドライバーの種類から、それぞれの特徴、スペックの読み方まで、これまでにAlways Listeningで紹介してきた記事をまとめました。さらに詳しく知りたい方は、各項目の詳細記事もあわせてチェックしてみてください。
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ヘッドホンにはどんなタイプがある?形状とドライバーの種類
迫力のある低音、自分だけの世界。密閉型ヘッドホンの特徴
快適な装着感、広がりのある音。開放型ヘッドホンの特徴
モニターヘッドホンとリスニングヘッドホンの違い──モニター用は音楽鑑賞に使える?
知っておきたい『スペック』の読み方
ヘッドホンにはどんなタイプがある?形状とドライバーの種類
ヘッドホンは形状によって、大きく「オーバーイヤー」と「オンイヤー」の2タイプに分けられます。
オーバーイヤータイプは頭上からヘッドバンドで支える構造で、耳を覆うイヤパッドとドライバーユニットを覆うハウジングを備えた形状をしています。オーディオテクニカでは「オーバーヘッド型」と呼ばれています。オンイヤータイプは、より小ぶりなハウジングを持ち、耳に載せるように装着するタイプです。
音を発するドライバーには、多くの製品で「ダイナミック型(動電型)」という発音方式が採用されています。そのほかには高電圧と専用アンプが必要な「コンデンサー型(静電型)」というもの、さらにダイナミック型が発展した方式として、樹脂製薄膜を用いる「プリンテッド・リボン型」も存在します。また、ハウジングの構造や振動板の素材によっても、ヘッドホンの音の聴こえ方は大きく変化するのです。
迫力のある低音、自分だけの世界。密閉型ヘッドホンの特徴
密閉型(クローズド型)ヘッドホンとは、ハウジングが密閉された構造のヘッドホンのこと。音漏れしにくく、外部の音も入りにくいので、電車内やカフェなど環境音の多い場所でも安定したリスニングができ、音のニュアンスを掴みやすいのが特徴です。
また、ハウジング内に音が保持されるため、力強い低域を鳴らしやすく、重心の低いサウンドや迫力を求める人に向いています。一方で、密閉構造による圧迫感や蒸れを感じる場合があり、開放型に比べると高音の抜けはやや控えめになる傾向があります。
モデル選びでは、「ワイヤード(有線)かワイヤレスか」「装着感や使いやすさ」「ノイズキャンセリングやハイレゾ対応などの機能」の3点を中心に意識するとよいでしょう。
快適な装着感、広がりのある音。開放型ヘッドホンの特徴
開放型(オープンエアー型)ヘッドホンは、ハウジングの背面が完全にふさがれておらず、空気や音が外に抜けるように設計されています。ハウジング内を空気が自由に出入りすることで、音に広がりが生まれ、スピーカーに近い音質になるとも言われています。
音の広がりに加え、通気性が高く軽量化しやすいため、長時間使用しても疲れにくい装着感が大きなメリットです。一方で、音漏れしやすく、静かな公共空間での使用には向いていません。また、一般的に密閉型に比べて低音の量感は控えめに感じられる傾向がありますが、モデルによっては十分な低域を備えたものもあります。
開放型ヘッドホンを選ぶ際は、「音質(音の広がりや低音のカバー力)」と「装着感(イヤパッド、ヘッドバンド、重量)」に注目するとよいでしょう。
モニターヘッドホンとリスニングヘッドホンの違い──モニター用は音楽鑑賞に使える?
モニターヘッドホンは、主に録音や放送の現場で「音声信号をできる限り正確に再現すること」を目的として使用されています。また、現場使用を前提としているので、耐久性や実用性を重視した設計が多く見られます。たとえば『ATH-R70xa』のケーブル交換は、音質変化を楽しむためではなく、長さ調整や断線時の交換を想定したものです。一方、リスニングヘッドホンは「音楽を心地よく楽しむこと」を重視しており、メーカーやブランドによって音質傾向もさまざまです。
なお、モニターヘッドホンは音楽鑑賞にも使えます。はじめは素っ気なく感じられるかもしれませんが、それが音楽の本質やアーティストの意図に近づく手がかりになる場合もあります。
知っておきたい『スペック』の読み方
製品のカタログやウェブページには、必ず「スペック(テクニカルデータ)」が記載されていますが、並んだ項目や数値の意味がわからず、戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。形式、ドライバー、インピーダンスなど、以下の記事で各項目について詳しく解説しているので、ヘッドホンを選ぶときの参考にしてみてください。
Edit:Tom Tanaka






